Ovrfwrd - Starstuff (2020)
OVRFWRD「Starstuff」について
OVRFWRDの「Starstuff」は、2020年に発表された4作目のスタジオ作。ミネアポリスを拠点に2012年から活動してきたインストゥルメンタル中心のプログレ・ロック・バンドで、ここでもその持ち味がはっきり出ている。楽曲はすべて演奏で進み、歌に頼らずに構成と展開で聴かせるタイプの作品だ。リリースはUS盤で、Prog Recordsからのアナログ盤。単一ジャケットに抗静電スリーブという仕様でまとめられている。
この作品は、2020年7月15日から19日にかけて地元ミネアポリスのThe Hideaway Studioで録音され、同年10月2日に世に出た。バンドの核は、Richard Davenport(ドラム)、Mark Ilaug(ギター)、Kyle Lund(ベース)、Chris Malmgren(鍵盤類)の4人。結成以来ほぼ固定された編成で、長く同じメンバーで音を重ねてきたことが、演奏のまとまりに直結している。派手な入れ替わりよりも、積み上げてきた連携が前面に出た一枚。
作品の位置づけ
「Starstuff」は、OVRFWRDのキャリアの中でも、バンドの現在地をそのまま記録したようなアルバムとして受け取られている。レビューでは、短めの収録時間ながら密度が高く、シンフォニック・プログレを軸にフュージョンの要素も織り込んだ完成度の高い内容として扱われていた。40分弱という尺は長大作を好むプログレ文脈では控えめだが、そのぶん各曲の展開が引き締まり、無駄の少ない構成になっている。
バンド自身の制作色も強い。地元で長く一緒に活動してきたメンバーが、そのまま作品の骨格を作っているため、曲ごとの方向性が散らばりにくい。年を追うごとの成長が、演奏の精度とアンサンブルの安定感として表れている、という見方がされている。
収録曲の印象
レビューで特に評価されていたのは、「Firelight」「Let It Burn (King George)」「Zathras」「From Parts Unknown」といった曲。いずれもインスト曲としての輪郭がはっきりしていて、リフ、鍵盤のレイヤー、リズムの切り替えが曲の流れを作っている。メロディを前面に押し出すというより、各パートが噛み合いながら場面を進める作りで、シンフォニックな広がりとフュージョン由来の動きが同居している。
中でも「Let It Burn (King George)」は、この作品の背景を知るうえで重要な一曲。2020年6月にミネアポリスで起きたジョージ・フロイドの死に捧げられた曲として明記されている。バンド自身が活動する土地で起きた出来事への反応が、そのまま作品に刻まれている形だ。タイトルだけでは見えないが、アルバム全体の中でこの曲は、単なる演奏曲以上の意味を持っている。
同時代の文脈
2020年のプログレ・シーンでは、長尺志向だけでなく、曲の密度やアンサンブルの精度を重視する作品が目立っていた。「Starstuff」もその流れの中に置ける。ドイツやポルトガル語圏のレビューでは、同年の優れたプログレ作品の一つとして扱われ、年末の好作候補にも挙げられていた。派手な話題性より、演奏と構成の確かさで評価を積み上げたタイプのアルバムだ。
音の感触としては、シンフォニック・ロックの流れを引きつつ、ジャズ・ロックやフュージョンの機動力も入ってくる。キーボードが空間を広げ、ギターがリフとフレーズの両方で推進力を作り、ベースとドラムが細かく形を変えながら全体を支える。インストゥルメンタル・プログレの中でも、技巧の見せ場だけに寄らず、曲としての流れを保っている点が印象に残る。
まとめ
「Starstuff」は、ミネアポリスの4人組OVRFWRDが、安定した編成と地元スタジオでの制作を通じてまとめ上げた2020年作。短い収録時間の中に、シンフォニック・プログレの構成感とフュージョン的な動きを詰め込み、インストゥルメンタル・バンドとしての現在地をはっきり示している。中でも「Let It Burn (King George)」は、制作年の現実と結びついたエピソードを持つ曲として、アルバムの輪郭を強めている。
トラックリスト
- A1 Firelight 5:37
- A2 Let It Burn (King George) 5:58
- A3 Starstuff 5:09
- B1 Lookup 8:21
- B2 Daybreak 2:48
- B3 Zathras 4:35
- B4 From Parts Unknown 6:25