Infringement - Alienism (2019)
Infringement 2019

Infringement - Alienism (2019)

Rock Prog Rock

Infringement『Alienism』について

ノルウェー・オスロのプログレッシブ・ロック・バンド、Infringementが2019年に発表した2作目が『Alienism』である。収録は全4曲、演奏時間は約40分。2015年にオスロで結成されたバンドが、じっくり時間をかけて組み上げた作品で、ギタリストのStig André Clasonを中心に、Kristoffer Utby、Hans Andreas Brandalらの音楽的な交流から始まった背景も伝わっている。レーベルはノルウェーのCrime Records。ハードロック、メタル、プログレッシブ・ロックを扱う独立系レーベルらしく、この作品も北欧の硬質な空気と構築感を持つ仕上がりになっている。

アルバムはコンセプト作としてまとまっており、精神科医療の現場にある「Gentmire Institute」を舞台に、患者や“Commissioner of Lunacy”の記録を通して、疎外感や狂気の内側へ入っていく構成が取られている。曲数は少ないが、1曲ごとの展開は長く、物語を追うように聴かせる作り。短いスケッチを積むタイプではなく、長尺の中で場面を切り替えていくスタイルで、プログレッシブ・ロックらしい組み立てがはっきりしている。

サウンドの印象

『Alienism』の軸にあるのは、70年代由来のシンフォニック/メロディックな感触と、ロックバンドとしての押し出しの強さだ。クリーンで厚みのあるギター、曲の途中で表情を変える展開、変拍子を含むリズムの切り替えが目立つ。そこにHans Andreas Brandalの少し荒さを残した歌が乗ることで、整いすぎない生々しさが出ている。プログレの精密さだけでなく、ハードロック寄りの熱量も残るところが、このバンドの持ち味として見える。

レビューでは、レトロ・プログの文脈に置かれながらも、ロック色の強さが新鮮だと受け止められていた。実際、YesやGenesisのような大仰な装飾だけに寄らず、演奏の芯はかなり直線的だし、ファンクやグルーヴの要素も差し込まれる。Background Magazineでも、70年代風のシンフォニック/メロディック・プログの流れに、グルーヴやハードロックの要素を織り込んだ点が拾われていた。

バンドの位置づけ

Infringementにとって『Alienism』は、バンドの方向性を明確に示した作品として見やすい。結成時点からロックとシンフォニック・ロックへの関心を共有していたメンバーが、長い制作期間を経てまとめた2作目であり、単なる勢い任せではない。ギタリストのStig André ClasonはThe Windmillでも知られ、北欧プログの文脈に接続する人物でもある。そのため、この作品もオスロ発の現代プログレとして、同地域のメロディ重視のバンド群と並べて語られることが多い。

同時代の北欧プログレを思い浮かべると、技巧だけを前に出すのではなく、歌と展開のドラマを両立させる流れがある。Infringementもその中に置きやすく、ただし本作では硬いギターリフやロック・ソウル寄りの歌唱が前面に出るぶん、シンフォニックな優美さ一辺倒にはならない。そこが『Alienism』の輪郭をはっきりさせている。

フィジカル盤の仕様

2019年盤はゲートフォールド・ジャケット仕様で、フロントにハイプステッカーが貼られ、カラーの紙ジャケットLPスリーブがPVCスリーブに収められている。限定200枚、サイン入りかつナンバリング付きという扱いで、コレクター向けの性格も強い。作品そのものがコンセプト性のあるアルバムなので、こうした物理的な作り込みとも相性がよい。

まとめ

『Alienism』は、オスロのInfringementが2019年に出した、全4曲構成のコンセプト・プログレ作品。精神医療施設を舞台にした物語性、70年代由来のシンフォニックな骨格、ハードロック寄りの推進力が同居している。派手なヒット曲で引っ張るタイプではなく、長い曲の中で場面を積み重ねる設計。北欧プログの現在形を確認するうえで、ひとつの具体例として整理しやすいアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Disorder 7:58
  2. A2 Triad 10:37
  3. B1 Therapy 4:37
  4. B2 Delirium 16:56

動画プレイリスト

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