Pallas - Arrive Alive (1981)
Pallas『Arrive Alive』について
スコットランド、アバディーン出身のPallasが残した『Arrive Alive』は、後のスタジオ作とは少し役割の違う、初期のバンド像をそのまま封じ込めた作品である。オリジナルは1981年に自主制作のカセットとして登場し、1983年にはUKのCool KingからLPとして出し直された。録音は1981年4月、スコットランドでのライヴ収録で、ミックスはグラスゴーのCa-Va Studiosで行われている。Pallasがまだ全国区の知名度を得る前、現場の熱量を頼りに動いていた時期の記録だ。
バンドの立ち位置と当時の空気
Pallasは1976年にアバディーンで結成され、当初はRainbow名義だったが、Ritchie BlackmoreのRainbowと重なるためPallasへ改名した経緯を持つ。のちにMarillion、Pendragon、IQ、It Bitesらと並んで、UKの第二波プログレ復興の流れに位置づけられるバンドになった。『Arrive Alive』は、そうした後年の文脈に入る前段階の作品で、まだ音楽産業の大きな後押しがないまま、ライヴの実力で存在感を示していた時期の空気が濃い。
公式サイトの回想によれば、1980年11月のグラスゴー・アポロでのコンテスト出演をきっかけに資金を集め、ペイズリーのBungalow BarでRadio Clyde Mobileを使って録音したものが本作の出発点になっている。初回は1000本のみのプレスで、その後に増刷も行われた。地元スコットランドで支持を広げ、やがて1983年のLP再発につながった流れが見える。
収録内容と作品の輪郭
この作品は、版によって内容がかなり異なる。1981年のカセット版には6曲のライヴ・トラックが収められ、後の版では「Paris Is Burning」のスタジオ・テイクが加わるものもあった。1983年のLP版は4曲のライヴと1曲のスタジオ録音という構成で、1998年のCD版はさらに別の組み方になっている。つまり『Arrive Alive』は、単純な再発盤というより、時期ごとに形を変えながらバンドの初期像を伝えてきた作品である。
収録曲としては「Five to Four」「Queen of the Deep」「Flashpoint」「Heart Attack」「Crown of Thorns」「The Ripper」などが知られている。ライヴ録音中心のため、曲そのものの完成度だけでなく、演奏の押し引きや会場との距離感が作品の印象を決めている。スタジオ盤の整った音像とは違い、会場で鳴っていたバンドの手触りが前に出る構成だ。
1983年LP再発の意味
1983年のLP化は、この作品を単なる自主制作の記録から、流通可能なアルバムへ押し上げた出来事だった。公式年表では、再発売後にHeavy Metalチャートへ長く載り、約1万枚を売ったとされている。プログレ復興の気運がまだ完全には定着していない時期に、こうした数字を残した点は重要で、Pallasがローカルなカルト・バンドから、より広い聴き手に届く段階へ進んだ足場になった。
また、1982年のデモ録音から生まれた「Arrive Alive」という題名の素材は、後のシングル「Eyes in the Night」へつながっていく。1984年の『Music Week』ではその流れにある曲がAOR寄りと評され、チャート入り候補として扱われた。『Arrive Alive』は、そうした後続の展開を支える初期の土台でもある。
作品の位置づけ
Pallasの後年を知っていると、『Arrive Alive』はかなり素朴な記録に見えるが、バンドにとっては重要な出発点である。のちのスタジオ作品で見られる構成力や大きなスケール感の前に、まずライヴで鍛えた演奏をそのまま残した盤、という性格が強い。再発ごとに曲順や内容が変わる点も含めて、固定された完成品というより、初期Pallasの動きそのものを追うための資料に近い。
第二波プログレの流れの中では、MarillionやIQのようにスタジオ作で存在感を広げたバンドも多いが、Pallasはこの時点でまず現場から名を広げている。その意味で『Arrive Alive』は、バンドのキャリアの起点であり、スコットランドのシーンからUKのプログレ再興へつながる導線のひとつでもある。ライヴ盤としての荒さと、後の展開につながる確かな輪郭、その両方が見える1枚である。
トラックリスト
- A1 Arrive Alive
- A2 Heart Attack
- A3 Queen Of The Deep
- B1 Crown Of Thorns
- B2 The Ripper