Genesis - A Trick Of The Tail (1976)
Genesis『A Trick Of The Tail』
1976年に発表されたGenesisの7作目のスタジオ・アルバム。ピーター・ガブリエル脱退後、最初に出た作品であり、バンドの体制が大きく変わった直後の一枚でもある。UK盤はCharismaのCDS 4001、テクスチャード加工の外袋とピクチャー・インナー付きの初回仕様で、ジャケットにはSoho Squareの旧住所表記が入る。録音はロンドンのTrident Studiosで1975年10月から11月にかけて行われ、クレジットには℗ 1976 Charisma Recordsとある。
制作背景・エピソード
1975年8月、『眩惑のブロードウェイ』ツアー終了後にピーター・ガブリエルが脱退すると、当時のメディアには「Genesisは終わった」といった論調も目立ち、さらにバンドは約40万ドルもの負債を抱えて存続の危機に瀕していた。残されたトニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズ、スティーヴ・ハケットは、インストゥルメンタル・バンドとして続ける案も視野に入れつつ後任ボーカルを探し、音楽誌に広告を出して集まった約400通の応募からオーディションを行ったが、ガブリエルの代役は見つからなかった。
1975年10月からトライデント・スタジオでバックトラックの録音を開始。以前からエンジニアとして関わっていたデヴィッド・ヘンツェルが共同プロデューサーに加わった。オーディション参加者(ミック・ストリックランド)への手本として、フィル・コリンズが「Squonk」を歌ってみせたところ、その力強い歌声にメンバー全員が納得し、フィルが正式にリード・ボーカルを担当することになった。その後のツアーではフィルが歌に専念できるよう、元キング・クリムゾン/イエスのビル・ブルーフォードがサポート・ドラマーとして参加し、インストゥルメンタル・パートではツイン・ドラム編成も披露された。
アートワークはヒプノシスとイラストレーターのコリン・エルジーが担当し、各曲に登場する架空のキャラクターたちを絵本のようなタッチで描いている。
時代の文脈
1976年初頭のプログレッシブ・ロック界は、パンク・ロックの胎動前夜にあたり、多くのビッグバンドが方向性の転換や様式美の行き詰まりに直面していた時期にあたる。本作では、ガブリエル時代の演劇性やシュールな毒気を整理しつつ、英国民話的な寓話性、牧歌的なファンタジー、そして洗練されたポップ・センスを前面に打ち出した。
楽曲では、スリリングな7/8拍子で始まる「Dance on a Volcano」、レッド・ツェッペリンの「Kashmir」に触発されたヘヴィなリズムを持つ「Squonk」、叙情的な名バラード「Ripples」、アルバム全体のモチーフを回収するインストゥルメンタル「Los Endos」などが並ぶ。トニー・バンクスのメロトロンやARP Pro Soloist、スティーヴ・ハケットとマイク・ラザフォードの12弦アコースティック・ギター、フィル・コリンズの躍動的なドラミングが一体となった結晶のようなアンサンブルとして高く評価されている。
後世への影響
本作は、バンド最大の危機をメンバーチェンジによる減速ではなく、新しい体制の力強い出発点に変えた作品として高く評価されている。ドラマーがフロントマンを兼ね、その後の世界的な成功につながっていく流れの原点となった。また、変拍子と親しみやすいメロディを組み合わせる手法は、マリリオンをはじめとするネオ・プログレッシブ・ロック勢やプログレッシブ・メタル勢にも影響を与えた。
発売後のセールスは好調を極め、全英アルバムチャートで3位を記録して39週チャートイン、全米Billboard 200でも31位まで上昇してゴールドディスクを獲得。当時のジェネシスにとって過去最高のセールスとなり、バンドが抱えていた巨額の負債を完済させ、新生ジェネシスの基盤を決定づけた。
トラックリスト
- A1 Dance On A Volcano 5:52
- A2 Entangled 6:25
- A3 Squonk 6:26
- A4 Mad Man Moon 7:32
- B1 Robbery, Assault And Battery 6:13
- B2 Ripples 8:02
- B3 A Trick Of The Tail 4:32
- B4 Los Endos 5:47
動画プレイリスト
このアーティストについて
Genesisは、1967年にイングランド南東部サリー州ゴダルミングのチャーターハウス校で結成されたロック・バンドだ。メンバーにはピーター・ガブリエル...
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