Pet Shop Boys - Please (1986)
Pet Shop Boys「Please」(1986) レコード紹介
Pet Shop Boysのデビュー・アルバム「Please」は、1986年3月24日にUKで発売された作品で、同年のシンセ・ポップ、エレクトロニック・ポップの流れをきれいに押さえた1枚だ。Neil TennantとChris Loweの二人組による初のフル・アルバムで、のちのPet Shop Boysらしさをかなり早い段階で示している。白地を基調にしたミニマルなジャケットも含めて、作品全体の設計がはっきりしている印象がある。
デビュー作としての位置づけ
Pet Shop Boysは1981年にロンドンで結成された英語圏のデュオで、80年代半ばに頭角を現した。「Please」はその初期成果をまとめたアルバムで、後年の大作志向や洗練されたポップ・プロダクションに比べると、曲ごとの輪郭がやや直接的だ。とはいえ、単なるデビュー盤というより、すでに制作の段階で明確な美意識が通っている作品でもある。
この時期のPet Shop Boysは、同時代の英国ポップやクラブ・カルチャーと接続しながら、アメリカ寄りのダンス・ポップとも少し違う、都会的で距離感のあるサウンドを作っていた。Depeche ModeやErasureのような80年代シンセ・ポップ勢と並べて語られることが多いが、「Please」はその中でも、メロディの明快さと語り口の冷静さが目立つ。
収録曲と代表曲
このアルバムには、Pet Shop Boysの代表曲として知られる「West End Girls」が入っている。もともと1985年版の録音があり、そこから再構築された1986年版が全英・全米で1位を記録した。アルバム版では、その成功曲を核にしつつ、同じく初期の重要曲である「Opportunities (Let's Make Lots Of Money)」「Suburbia」「Love Comes Quickly」などが並ぶ。
制作面では、全曲を一人のプロデューサーが統一的にまとめたわけではない。Stephen Hagueがアルバム全体の中心にいる一方で、「Opportunities (Let's Make Lots Of Money)」はJ.J. Jeczalik、「I Want A Lover」はBlue Weaver、「Why Don't We Live Together」はRon Dean Millerが担当している。収録曲ごとに手触りが少しずつ違い、それが初期作らしいまとまり方につながっている。
制作背景にあるエピソード
盤面クレジットに「Special thanks to Bobby Orlando and Ray Roberts」とある通り、Pet Shop Boysの初期にはニューヨークのプロデューサーBobby Orlandoとの関係があった。特に「West End Girls」周辺の経緯は有名で、当初のシングルは商業的に大きく伸びなかったが、その後Stephen Hagueによる再録で大きく開花した。アルバムに収められた1986年版の「West End Girls」は、その転機をそのまま記録したような存在だ。
また、タイトル「Please」は、レコード店で「Pet Shop Boysのアルバムをください」と言えるように、という発想から付けられたと伝えられている。ジャケットの白い余白と小さな写真も、その言葉の短さとよく合っている。Mark Farrowによるデザイン、Eric Watson撮影の写真という組み合わせで、派手さよりも整理された見せ方が印象に残る。
このUK盤について
今回の盤は1986年UK盤で、Parlophone(PCS 7303)からのリリース。クレジットには「Made in England」「Printed inner sleeve」とあり、内袋付きの仕様だ。音源面ではTownhouseでマスタリングされた版で、同じオリジナル期の別版とはランアウトの刻印が異なる。こうした細部はコレクター向けの要素だが、80年代UK盤らしい制作・流通の空気をそのまま残している。
なお、アルバムの権利表記は℗ 1986だが、A2とA3のみ1985年のオリジナル・サウンド録音が使われている。これは「West End Girls」周辺の制作史とつながる部分で、アルバム全体の中でも初期の試行錯誤がうかがえる箇所だ。全体としては、Pet Shop Boysが後に築く緻密なポップ・ミュージックの出発点として、非常に分かりやすい一枚になっている。
まとめ
「Please」は、Pet Shop Boysのデビュー作であると同時に、80年代中盤の英国シンセ・ポップが持っていた都市感覚、ダンス感覚、ポップの整理された構造を一枚に収めたアルバムだ。大ヒット曲「West End Girls」を軸にしながら、他の曲も含めて、二人の作曲センスと制作の選び方が早い段階からはっきり見える。UKオリジナル盤として手元に置くと、作品そのものだけでなく、当時のレーベル表記やクレジットの細部まで含めて楽しめる内容になっている。
トラックリスト
- A1 Two Divided By Zero 3:34
- A2 West End Girls 4:45
- A3 Opportunities (Let's Make Lots Of Money) 3:43
- A4 Love Comes Quickly 4:19
- A5 Suburbia 5:30
- B1 Tonight Is Forever 4:31
- B2 Violence 4:27
- B3 I Want A Lover 4:30
- B4 Later Tonight 2:46
- B5 Why Don't We Live Together 4:44
動画プレイリスト
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Two Divided by Zero (2001 Remaster)
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West End Girls (2001 Remaster)
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Opportunities (Let's Make Lots of Money) [2001 Remaster]
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Love Comes Quickly (2001 Remaster)
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Suburbia (2001 Remaster)
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Opportunities (Reprise) [2001 Remaster]
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Tonight Is Forever (2001 Remaster)
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Violence (2001 Remaster)
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I Want a Lover (2001 Remaster)
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Later Tonight (2001 Remaster)
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Why Don't We Live Together? (2001 Remaster)