Prefab Sprout - Steve McQueen (1985)
Prefab Sprout 1985

Prefab Sprout - Steve McQueen (1985)

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Prefab Sprout『Steve McQueen』(1985) レビュー

Prefab Sproutの2作目『Steve McQueen』は、1985年にUKのKitchenware Recordsから出たアルバムで、彼らの名前を広く知らしめた重要作だ。Witton Gilbert, County Durham出身の英ポップ・バンドとして頭角を現した彼らは、この時期に洗練されたメロディと緻密なアレンジで評価を集めていく。その流れの中で本作は、バンドの輪郭をはっきり示した一枚として扱われることが多い。

トーマス・ドルビーの参加と制作の流れ

本作のプロデュースを担ったのはトーマス・ドルビー。BBC Radio 1で前作『Swoon』収録の「Don't Sing」を賞賛したことがきっかけで、Kitchenware Recordsのキース・アームストロングから依頼を受けたという経緯がある。制作時、ドルビーはデモのない状態でパディ・マカルーンの実家を訪ね、40〜50曲ともいわれる楽曲群を聴いたうえで選曲したという。本人は自分の役割を「エディター、フィルター」と表現しており、曲を整理したあとにキーボードで少しだけ色を足す、という立ち位置だった。

レコーディングはロンドンのノーミス・スタジオでリハーサルを行い、マーカス・スタジオで録音、バッキンガムシャーのファームヤード・スタジオでミックスされた。「When Love Breaks Down」だけはフィル・ソーナリーがプロデュースを担当している。この曲の扱いは少し別格で、アルバムの中でも外向きの完成度が高い。

アルバムの性格と代表曲

『Steve McQueen』は、Prefab Sproutの中でも特にメロディの輪郭がくっきりした作品として耳に残る。パディ・マカルーンの書く曲は、甘さだけに寄らず、言葉の運びに細かい引っかかりがある。その上に、ウィンディ・スミスのコーラスや、軽やかだが密度のある演奏が重なり、曲ごとの印象がきれいに分かれる。聴感としては、派手に押すよりも、音数の配置で引き込むタイプの仕上がりだ。

代表曲としてまず挙がるのが「When Love Breaks Down」。1984年の初出時にはチャートインしなかったが、1985年の再発でUK25位を記録し、アルバムの知名度を押し上げた。曲そのものは、切ない旋律と整った構成が前面に出ていて、Prefab Sproutの魅力が最もわかりやすく出た一曲になっている。ほかにも、アルバム全体を通して、軽快さの裏に少し陰影を置く作りが続く。

タイトルとアメリカ盤の改題

アルバムタイトルとジャケットは、俳優スティーヴ・マックイーンの愛したトライアンフのバイクや映画『大脱走』に由来する。だがアメリカでは、遺族との権利関係を避けるため『Two Wheels Good』というタイトルで発売された。内容は同じでも、国ごとに題名が変わるケースとして記憶されている。

なお、オリジナルUK盤の初回プレスには「Home taping」ロゴが裏ジャケットに入っている。1980年代半ばらしい、時代の空気がそのまま残る細部だ。コレクターの目線では、こうした初回盤の仕様も含めて作品の表情になる。

同時代の中での位置づけ

1980年代のUKインディー・ポップ/ポップ・ロックの文脈で見ると、『Steve McQueen』は、バンドの個性とスタジオ作品としての完成度が両立したアルバムとして置かれている。NME系のギター・バンド的な荒さよりも、楽曲の設計や和声の運びに重心がある。Thomas Dolbyの関与もあって、シンセや音色の整理が効いた、同時代の中でもかなり整った鳴り方だ。

当時の評価もはっきりしていて、Record Mirrorは満点、Smash Hitsも9/10、NMEは「brilliant and flawed」と評した。UKアルバムチャートでは21位、NMEの1985年年間ベストアルバムでは4位、Village VoiceのPazz & Jopでは28位に入っている。評価が割れつつも、存在感は強かった作品だ。

Prefab Sproutにとっての意味

Prefab Sproutは、1980年代にUKチャートで7枚のアルバムをトップ30に送り込んだバンドだが、『Steve McQueen』はその中でも特に名前を決定づけた一枚として語られることが多い。派手なロック・バンド像とは違い、言葉、旋律、編曲の組み合わせで勝負する姿勢が、ここでかなりはっきり見える。後年の作品に比べても、曲の推進力と整った構成が前に出ていて、バンドの基礎がはっきり見える時期の記録になっている。

英ポップの洗練、インディーらしい距離感、そしてThomas Dolbyの整理されたプロダクション。その3つが噛み合ったアルバムとして、『Steve McQueen』は1985年という年のUK音楽の一断面をきれいに残している。

トラックリスト

  1. A1 Faron Young 3:48
  2. A2 Bonny 3:42
  3. A3 Appetite 3:55
  4. A4 When Love Breaks Down 4:05
  5. A5 Goodbye Lucille #1 4:28
  6. A6 Hallelujah 4:19
  7. B1 Moving The River 3:57
  8. B2 Horsin' Around 4:37
  9. B3 Desire As 5:20
  10. B4 Blueberry Pies 2:23
  11. B5 When The Angels 4:29

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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