Pugh Rogefeldt & Rainrock - Bolla Och Rulla (1974)
Pugh Rogefeldt & Rainrock『Bolla Och Rulla』
1974年にスウェーデンのMetronomeから出た、Pugh Rogefeldt & Rainrock名義のアルバム『Bolla Och Rulla』。Pugh Rogefeldtは、1960年代末からスウェーデン語ロックの先駆的存在として知られたシンガー/ギタリスト/ソングライターで、この作品はその流れの中でも、よりバンド色を前に出した時期の1枚として位置づけられる。ソロ名義の初期作で見せていた遊びのある感覚を残しつつ、ここではギター中心のロックに重心が移っている印象が強い。
Rainrock名義での転換点
本作は、Pugh Rogefeldtが1974年にRainrockを結成していた時期の作品で、彼の音楽がソロ・シンガーの表現から、よりまとまったバンド・サウンドへ向かう過程を示している。制作は1973年11月から1974年2月にかけてストックホルムのMetronome Studioで行われ、内袋付きでのリリース。クレジット上は℗ 1974 Metronome Records ABとなっている。
AllMusicでは、以前の作品にあったジャズ由来の感覚やファンキーなリズムを残しながら、Rainrockではより重いギター主体の音像へ寄っていると評されている。そうした見方に沿えば、『Bolla Och Rulla』は、Pughの初期の個性を保ったまま、ハードめのロックへ足を踏み入れた転換点として聴かれてきた作品といえる。
スウェーデン語ロックの文脈の中で
Pugh Rogefeldtは、1969年のデビュー作『Ja, Dä ä Dä』で大きな注目を集めた人物で、スウェーデン語でロックを鳴らすこと自体を前に進めた存在として語られることが多い。本作『Bolla Och Rulla』も、その流れの延長線上にある。英語圏のロックの模倣ではなく、自国語の響きのままロックを成立させる姿勢が、ここでもはっきりしている。
同時代のスウェーデン・ロックやプログレッシブ・ロックの周辺で考えると、技巧や長尺の構成を前面に出すタイプとは少し違い、もっと直線的にバンドの推進力を押し出す作りに寄っている。結果として、同じ70年代スウェーデンのロックでも、より泥臭いグルーヴやギターの押し出しが耳に残るタイプの作品になっている。
内容の輪郭
収録曲の中では「Hog Farm」が強い曲としてしばしば触れられる。全体としては、派手な装飾よりも、演奏のまとまりやリズムの踏み込みで聴かせる場面が目立つ。Pughの歌い回しは、言葉を前に出しながらも、ロックのビートにきちんと乗っていくタイプで、そこがこの時期の魅力になっている。
実弟のIngemar Rogefeldtがギターで参加していたことも確認できる。バンドの核が固まった状態で録音されたことで、ソロ作よりも「一緒に鳴っている」感じが強い。こうした編成の変化が、そのまま音の厚みにつながっているように聞こえる。
当時の受け止め方
後年の回想では、本作を含む1970年代の作品群は商業的に成功しつつも、プログレ寄りの文脈からは批判も受けたとされる。つまり、当時のスウェーデン音楽シーンの中で、Pugh Rogefeldtは単なる人気歌手ではなく、ロックの表現をめぐる議論の中心にもいた、ということになる。
国外での反応としては、1974年のBillboardのレコードレビュー欄に本作が掲載されていたことが確認できる。スウェーデン国内のチャート記録については、この作品の明確な順位実績は確認できないが、少なくとも国外の音楽メディアの目には留まっていたようだ。
1974年作品としての位置づけ
『Bolla Och Rulla』は、Pugh Rogefeldtがスウェーデン語ロックの先駆者であることを保ちながら、より硬質なバンド・ロックへ寄った時期の記録として重要な1枚。初期の実験性やユーモアを引きずりつつ、演奏の輪郭はかなりロック寄りに整理されている。1970年代前半の北欧ロックの空気を、Pugh流の言葉とギターでまとめた作品、と言える内容になっている。
トラックリスト
- A1 Hog Farm
- A2 Silver-Lona
- A3 Bolla Och Rulla
- A4 Pansar Och Blod
- B1 Dinga Linga Lena
- B2 Grävmaskinen
- B3 Mona
- B4 Kajans Sång