Raw Material - Raw Material (1970)
Raw Material『Raw Material』(1970 / 2012年盤)
Raw Materialの『Raw Material』は、1970年に発表された英国ロンドンの6人組によるデビュー作で、のちに2012年にドイツのSoundvisionから限定1000枚で再発された盤。バンドは1969年に結成され、初期はサイケデリックやブルースの要素を土台にしながら、やがてより複雑な構成を持つプログレッシブ・ロックへ向かっていく。その変化が、最初期の作品であるこのアルバムにもすでに見えている。
ロンドン発、しかし活動の軸は大陸側へ
Raw Materialは英国のバンドだが、当時の本国では大きな注目を集めきれず、むしろコンチネンタル・ヨーロッパで一定の支持を得ていたグループとして知られる。大学での活動から始まり、もともとはソウル系のバンドだったという経歴も特徴的だ。そこからCreamの影響を受けて作曲へ進み、R&B、ブルース、ジャズの要素を取り込みながら、自作中心のバンドへ変わっていった流れが確認できる。
この時期の英ロック周辺では、ブルース・ロックの延長線上からプログレッシブ・ロックへ接続する動きが各地で起きていた。Raw Materialもその文脈に置くと見えやすい。King CrimsonやVan Der Graaf Generatorと比較されることがあるのは、単にハードさや重さのためではなく、オルガンや管楽器を含む編成、長めの展開、リズムの組み替え方に共通点があるからだろう。
オルガン主体の長尺演奏と、ブルースの骨格
このアルバムの中心にあるのは、当時らしいオルガンを前面に出した演奏と、ブルース/R&B由来の骨格。そこへジャズ的な運びが差し込まれ、単純なリフの繰り返しにとどまらない構成が続く。歌ものとしての分かりやすさよりも、バンド全体で曲を押し広げていく感触が強い。初期プログレの中でも、サイケデリックな浮遊感と、演奏そのものの緊張感が同居している部類に入る。
実際に耳にすると、派手なフックで引っ張るタイプではなく、演奏の中で少しずつ景色が変わる作りが目立つ。ギター、オルガン、管楽器がそれぞれ前に出る場面があり、ロックの基本編成に収まりきらない広がりを持っている。曲によっては、ブルースの癖を残したフレーズが、そのままプログレ寄りの展開へ滑り込んでいく印象もある。
デビュー作としての位置づけ
本作はRaw Materialの出発点にあたる作品で、のちの『Time Is...』へ進む前段階としても重要だ。1970年の時点で、彼らはすでに自作曲を育て、クラブやドイツ遠征を重ねながらライブの比重を高めていた。カバー中心から離れ、自分たちの曲で勝負する姿勢が、このアルバムの内容にも反映されている。
商業面では大きなヒットには結びつかなかったが、のちに再評価される際には「希少盤」として語られることが多い。後年の再発盤には当時の写真や資料、関係者証言を反映したブックレットが付いたとされ、プロモ用ポスターの存在も伝えられている。2012年盤はドイツ盤として再発されたもので、オリジナル期の空気を補足する資料性も持つ。
同時代の英プログレ前夜として
1970年という時点で見ると、この作品はサイケデリック・ロックの余韻と、プログレッシブ・ロックの輪郭が重なり始める場所にある。より硬質で構築的な方向へ進む前の段階として、ブルース、R&B、ジャズの要素がまだ自然に混ざっているのが面白い。英国本国では埋もれがちだった一方で、大陸では受け止められたという経緯も、この手の作品らしい。
Raw Materialというバンド名のとおり、素材をそのままぶつけるのではなく、そこから少しずつ形を作っていく過程が記録されたアルバム。ロックの枠に収まりきらない演奏、オルガン主体の組み立て、ブルースからジャズへ触手を伸ばす感触。そのあたりが、この1枚の核になっている。
トラックリスト
- A1 Time And Illusions
- A2 I'd Be Delighted
- A3 Fighting Cock
- B1 Pear On Apple Tree
- B2 Future Reculection
- B3 Hi There Hallelujah
- B4 Bobo's Party
- B5 Destruction Of Amerika