The Syn - Original Syn (The Complete History Of The Syn 1965-69) (2005)
The Syn『Original Syn (The Complete History Of The Syn 1965-69)』について
The Synは、1960年代半ばに活動した英国のバンドで、後にPeter BanksやChris SquireがYesへつながっていく前史としても知られるグループだ。本作『Original Syn (The Complete History Of The Syn 1965-69)』は、2005年にUKのAcmeから出た2枚組のコンピレーションで、1965年から1969年までの音源をまとめた編集盤になる。初期シングル、別名義時代の素材、リハーサル、再結成期のインタビューまでを含み、バンドの流れを一通り追える構成になっている。
作品の位置づけ
The Synは、商業的に大きく売れたバンドではないが、後年のロック史では重要な接点を持つ。Chris SquireとPeter Banksが参加していたことから、Yes以前の英国ロックの文脈で語られることが多い。本作は、その前史を整理した資料盤としての意味が強い。単なるベスト盤ではなく、バンドの初期から再結成までをひとつの流れとして見せる編集になっている点が特徴だ。
2005年という時期も重要で、2004年の再結成を受けてまとめられた作品という性格がある。60年代の音源を中心にしながら、当時の証言や再結成期の素材を加えることで、過去と現在をつなぐ作りになっている。20ページのブックレット付きという点からも、アーカイブ作品としての意識がはっきりしている。
収録内容と聴きどころ
中心になるのは、1960年代のシングル曲「Created by Clive / Grounded」「14 Hour Technicolor Dream / Flowerman」あたりだ。とくに「Grounded」と「14 Hour Technicolor Dream」は、英サイケデリック・ロックの初期らしい響きがあり、モッド寄りの感触と実験性が同居している。派手な展開で押すタイプではなく、当時のロンドンの空気をそのまま切り取ったような質感が残る。
また、The Selfs時代の音源やリハーサルテープが入っていることで、正式な作品だけでは見えにくいバンドの輪郭も見えてくる。完成された代表曲を並べる編集盤というより、試行錯誤の過程を見せる編集盤だ。2004年録音のインタビューも含まれていて、Chris SquireやSteve Nardelliの回想を交えながら歴史をたどる構成になっている。
音の印象
音の中心は、60年代英国ロック特有の乾いた質感と、サイケデリック期の少しねじれたアレンジにある。ギターはまだ後年のプログレほど大仰ではなく、リズムも比較的素直だが、そのぶん曲の細部が見えやすい。とくに「Grounded」や「14 Hour Technicolor Dream」は、メロディの置き方とコーラスの処理に当時らしい工夫があり、短い曲でも印象が残る。
一方で、全体を通してみると、強く引っ張る代表曲ばかりが並ぶわけではない。編集盤としての役割が前面に出ていて、曲単体のヒット性よりも、資料としてのまとまりが勝っている。The Synの音源を初めてまとめて聴くと、Yesへつながる前段階の英国ロックが、かなり地に足のついた形で存在していたことがわかる。
同時代の文脈
この時代の英国サイケデリック・ロックは、The Move、The Pretty Things、Pink Floyd初期、The Creationあたりと並べて語られることが多い。本作のThe Synも、その流れの中で理解しやすい。しかも、後年の大物バンドへ接続する前史として見られる点が独特だ。Yesのファンにとっては、プログレ以前のChris SquireやPeter Banksの感触を知る手がかりにもなる。
収録曲の中心が1960年代後半のシングルということもあり、ヒット曲集というよりは、英国ロックの小さな断片を拾い集めたような性格が強い。そのぶん、当時のシーンに関心があると、曲の並びや録音の差も含めて楽しめる作りになっている。
2005年盤としての特徴
AcmeのADLP1042番で出たこの盤は、限定500枚のリリースで、コレクター向けの色合いが濃い。2005年のオリジナル盤として扱われるもので、後年の再発盤とは異なり、当時の編集意図やブックレットの内容がそのまま反映された版と考えられる。レーベル自体も、60年代以降のレア音源や再発を手がけることで知られており、本作はそのカタログの中でも資料性の高い一枚だ。
まとめ
『Original Syn (The Complete History Of The Syn 1965-69)』は、The Synの代表曲を気軽に並べた作品ではなく、バンドの来歴を音と証言でたどる編集盤だ。聴きどころは、60年代英国サイケの手触りが残る「Grounded」「14 Hour Technicolor Dream」と、再結成期の視点が加わることで見えてくるバンドの全体像にある。Yes以前の前史としても、英国ロック史の資料としても、位置づけがはっきりした一枚になっている。
トラックリスト
- A1 The Syn Grounded
- A2 The Syn 14 Hour Technicolour Dream
- A3 The Syn Flowerman
- A4 The Syn Created By Clive
- A5 The Syn The Last Performance Of The Royal Regimental Very Victorious And Valiant Band
- A6 The Syn Mr White's White Flying Machine
- B1 The Syn Flowerman (Demo)
- B2 The Syn Merry-Go-Round (Demo)
- B3 The Selfs I Can't Explain (Demo)
- B4 The Selfs Love You (Demo)
- B5 The Syn Gangster Opera (Rehearsal)
- B6 The Syn Sunset Boulevard (Demo)
- B7 The Syn Cadillac Dreams (Demo)