Rhombus Of Doom - Rhombus Of Doom (1998)
Rhombus Of Doom / Rhombus Of Doom(1998)
Rhombus Of Doomの同名アルバム『Rhombus Of Doom』は、1998年にUKのMagneto Recordingsから出た作品。録音は1996年冬至から1997年春分のあいだに行われており、完成までの時間の流れまで含めて、ゆっくりと熱をため込んだような背景がある。アーティスト紹介では、元WalkingseedsのベーシストLee Websterを軸にリヴァプールで結成されたイングリッシュ・ロック・バンドとされ、元StairsのギタリストGed Lynnも参加している。名義そのものをタイトルに置いたセルフタイトル作で、バンドの輪郭をそのまま作品にした形だ。
この時期のRhombus Of Doomは、Walkingseedsの流れを引きながらも、単なる延長線上の名前替えには収まっていない。公開情報では、再始動の文脈が強く、旧来の感触を保ったまま新しい名義で出し直したアルバムとして扱われている。Ptolemaic Terrascope誌でも1998年夏に紹介されており、当時のサイケデリック/オルタナ系の文脈の中で受け止められていたことが見える。商業的な前面よりも、アンダーグラウンドの流れの中での存在感が先に立つ一枚だ。
音の印象
実際の音は、轟音のかたまりを軸にしながら、ギターのざらつきと推進力のあるリズムが前へ出る作り。Piero Scaruffiはこの作品を、ウォーキングシーズ再結成後のデビュー作として位置づけ、サイケデリックなギターと強いドライブ感を備えたアルバムとして触れている。聴感上も、その説明と大きくずれない方向にある。音がきれいに整えられるというより、歪みの層を重ねて押し切る場面が多く、リフの反復とノイズの粘りが曲の骨格を作っている。
アシッド・ロックやサイケデリック・ロックの系譜で見ると、60年代型の甘い浮遊感よりも、90年代UKインディーの硬さが前に出る。Thee HypnoticsやSpacemen 3周辺の感触、あるいはThe Stairsに通じる荒いギター感覚を思い浮かべる人もいるはずだが、Rhombus Of Doomはそこにさらに直線的な圧を足している。長く伸びる音の中に、妙に乾いたリズムの踏み込みが残るのが面白いところだ。
作品の位置づけ
このアルバムは、バンドにとっての出発点であり、同時に過去の名前を持ち込まずに現在形を作るための1枚でもある。タイトルがバンド名そのままなのも、その姿勢とつながって見える。再結成や再始動の作品は、どうしても過去の焼き直しとして読まれがちだが、本作は少なくとも公開されている資料の範囲では、サイケデリックな感覚を保ちながら、90年代末のUKインディーの中で鳴らすことに重心が置かれている。
また、録音時期が冬至から春分にまたがっている点も、この作品の雰囲気をよく表している。季節の変わり目をまたいで作られたことは、音の中に見られる停滞と前進の両方と相性がいい。じわじわと熱を上げる展開、同じフレーズを繰り返しながら少しずつ密度を増す構成は、ライヴ感覚の強い録音にも通じる。
同時代との関係
1998年という年は、UKインディーの中でもサイケデリックな要素が再び別の形で現れていた時期だが、Rhombus Of Doomはその流れを大きく飾らず、むしろ剥き出しのギター・ロックとして鳴らしている。華やかなメロディで押すタイプではなく、ノイズの圧力と反復で引っ張る作りなので、同時代の整理されたオルタナティブ・ロックとは距離がある。そこがこの作品の輪郭をはっきりさせている。
ヒット曲や代表曲として広く定着した楽曲については、少なくとも公開情報の範囲では前面に出てこない。アルバム全体の流れで聴かれる性格が強く、曲単位の知名度よりも、バンドの音像そのものが印象に残るタイプの作品だ。Rhombus Of Doomという名前、1998年という時期、そして録音の季節感まで含めて、UKアンダーグラウンドの一断面をそのまま閉じ込めたアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 The Key Of Joy
- A2 The Second Aether
- A3 Land-0-Smiles
- B1 Disco-In-Furness
- B2 Rhombus Of Doom
- B3 I Love You/Paul
- B4 Nosin' Aroun'
- B5 Flegenheimer