Laurin Rinder & W. Michael Lewis - Seven Deadly Sins (1977)
Rinder & Lewis 1977

Laurin Rinder & W. Michael Lewis - Seven Deadly Sins (1977)

Electronic Funk / Soul Disco

Laurin Rinder & W. Michael Lewis『Seven Deadly Sins』について

1977年にUSのAVI Recordsから出たLaurin Rinder & W. Michael Lewis名義の『Seven Deadly Sins』は、70年代後半のロサンゼルス・ディスコの空気をそのまま閉じ込めたような作品だ。Laurin RinderとW. Michael Lewisは、El Coco、Saint Tropez、Le Pamplemousseといったプロジェクトを裏方で支えた制作コンビとして知られ、このアルバムは彼らが自分たちの名義で出した最初のアルバムにあたる。コンセプトはタイトルどおり「七つの大罪」。罪の名を冠した曲を並べた構成で、インストゥルメンタルを軸に進む内容になっている。

作品の輪郭

この盤は、AVIが強かった70年代ディスコ路線の中でも、かなり制作色の強い一枚として位置づけられる。レーベルはAVI Records、品番はAVI-6035。録音とミックスはハリウッドのProducers Workshopで行われたとクレジットされている。RinLew Productionとしてまとめられたサウンドは、単なるダンス盤というより、スタジオ・プロダクションの精度を前面に出した作り。ディスコのビートを土台にしながら、曲ごとに打楽器、ストリングス、ベースの動きが細かく組み替えられていく。

全体を通して感じるのは、フロア向けの推進力とコンセプト・アルバムらしい統一感の両立だ。各曲が独立したダンス・トラックとして機能しつつ、ひとつのテーマのもとで流れがつながっている。楽曲を細かく追うと、ディスコの定型に収まらないリズム処理やアレンジの切り替えが目立つ。とくに「Anger」は、アフリカン・パーカッションを前面に出した構成で、後年のクラブ・ミュージックにもつながる感触を持つトラックとして語られてきた。

同時代のディスコとの関係

Rinder & Lewisの仕事は、70年代後半のロサンゼルス発ディスコの文脈で見ると分かりやすい。彼らはEl CocoやSaint Tropezなどの名義で数多くの制作を手がけ、洗練されたスタジオ・ディスコの流れを形づくった側の人たちだ。『Seven Deadly Sins』は、その延長線上にありながら、本人名義という点でより作家性がはっきり出ている。のちに『Warriors』などのコンセプト作も出していくが、その出発点としてこのアルバムは重要な位置にある。

当時のディスコは、単なる歌モノだけでなく、長尺のインストやクラブ仕様のアレンジが発展していた時期でもある。この盤もその流れにあり、華やかさだけでなく、反復の中に細かな変化を仕込む作りが印象に残る。シカゴのRon HardyやMusic Box周辺で支持されたという話も、この手のプロダクションが現場で強く機能していたことを示している。

「Anger」とその後の広がり

収録曲の中でも「Anger」は、このアルバムを語るうえで外せない。アフリカン・パーカッションを強く打ち出したこの曲は、後年のハウスやテクノの感覚に近い素材として再評価されてきた。Carl CraigとLaurent Garnierによる“Tres Demented”名義のプロジェクトでサンプリングされたこともあり、ディスコの枠を越えた参照点として扱われている。70年代のディスコ盤でありながら、クラブ・ミュージックの後続世代に素材を残した一曲という見方が定着している。

一方で、この作品は「七つの大罪」を題材にしながら、説教臭さよりも祝祭性が前に出ている。罪を断罪するというより、リズムと編曲でそのテーマを遊ぶような感触がある。そうした温度の低さと手数の多さの組み合わせが、いま聴いてもこの盤を単なる時代物に留めていない。

オリジナル盤とその後の流通

オリジナルは1977年のAVI盤。後年、同名タイトルの流通にはいくつかのバリエーションがあるが、1977年盤はこの作品の出発点として見るのが自然だ。AVIは70年代後半以降、ラベル・デザインを変えていくが、本作にもその後の配色違いの版が存在する。とはいえ、作品そのものの核はこの1977年の初出時点で固まっている。

『Seven Deadly Sins』は、Rinder & Lewisが裏方の名手から作家性のある制作ユニットへ移っていく途中に置かれた一枚だ。70年代ディスコの文脈、ロサンゼルスのスタジオ文化、そして後年のクラブ・ミュージックへの接点。その三つがこの盤の中でつながっている。

トラックリスト

  1. A1 Lust 7:30
  2. A2 Sloth 7:48
  3. A3 Gluttony 7:15
  4. B1 Pride 5:35
  5. B2 Envy (Animal Fire) 5:17
  6. B3 Anger 5:50
  7. B4 Covetousness 5:37

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Disco"

toast