Michael Jackson - Thriller (1982)
Michael Jackson 1982

Michael Jackson - Thriller (1982)

Electronic Pop Funk / Soul Funk Soul Disco

Michael Jackson『Thriller』(1982 / US Epic QE 38112)

マイケル・ジャクソンの『Thriller』は、1982年にUSのEpicから登場した6作目のソロ・アルバムで、彼のキャリアの中でも最重要作のひとつとして扱われる作品だ。前作『Off the Wall』で見せたポップ、R&B、ディスコの整理された感覚をさらに押し広げ、ここではファンク、ロック、ソウルの要素まで含めて、収録曲ごとの輪郭がはっきりしたアルバムに仕上がっている。プロデュースはクインシー・ジョーンズ。制作面の統率が強く、各曲の役割が明確で、アルバム全体の流れも組み立てられている。

このUS盤はEpic QE 38112のオリジナル期のプレスにあたるタイトルで、見開きジャケット仕様、歌詞入りスリーブ封入という体裁。リリースノートにある通り、バックカバーにマイケル・ジャクソンの共同プロデューサー表記が入るプレスで、初回盤とは区別される後発プレスのひとつとして扱われる。実物のレコードとして見ると、音楽そのものだけでなく、80年代初頭のメジャー・ポップ作品らしいパッケージの作り込みも印象に残る。

アルバムの位置づけ

『Thriller』は、マイケル・ジャクソンがソロ・アーティストとして世界的な存在へと定着する決定打になった作品だ。1970年代のジャクソン5、ソロ初期を経て、ここでは歌唱、リズム感、曲の選び方、映像表現まで含めて、ひとつの完成形に近いまとまりがある。全米ビルボード200で通算37週1位を記録し、ソロ・アーティストとしての記録面でも突出している。1984年のグラミー賞では『Thriller』関連で多数の受賞につながり、音楽産業の中での存在感を一気に決定づけた。

同時代の文脈で見ると、R&Bやディスコがポップ市場に深く入り込んでいた時期で、プリンスやライオネル・リッチー、スティーヴィー・ワンダーらと並べて語られることが多い。ただし『Thriller』は、その中でもロックのギター・ソロやホラー映画の語り、ショートフィルム的なMV発想まで取り込み、単なるヒット作の枠を越えている。音だけでなく、見せ方まで含めてポップ・アルバムの基準を更新した作品として受け取られてきた。

収録曲と代表曲

収録曲の中では、「Billie Jean」「Beat It」「Thriller」が特に重要だ。「Billie Jean」は、ベースラインとドラムの間合いがはっきりしていて、歌の抑制された運びが曲全体を引っ張る。「Beat It」では、エディ・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロが大きな話題になった。ロック側の音色をポップの中心に置いた構成で、ジャンルの壁を越える作りが明確だ。「Thriller」は、ヴィンセント・プライスの語りを含む演出が特徴で、楽曲と映像が一体になった代表例として知られる。

また、「The Girl Is Mine」ではポール・マッカートニーとの共演が入っていて、ソウル、ポップ、AOR的な親和性が前面に出る。「Human Nature」は静かなコード感とメロディの流れが印象的で、アルバムの中でも温度の低い瞬間を作る。「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」や「Wanna Be Startin' Somethin'」は、リズムの推進力が強く、ファンク寄りの動きがはっきりしている。全体として、強い曲を並べただけでなく、配置のバランスがよく、聴き進めるうちに色合いが切り替わる作りになっている。

音と作りの印象

この盤を聴くと、まず音の分離の良さが目立つ。低域は締まりがあり、ボーカルは前に出るが埋もれない。クインシー・ジョーンズの制作らしく、細部の音が整理されていて、各楽器の役割が見えやすい。大きな音圧で押し切るタイプではなく、リズムの配置と歌の抑揚で引っ張るタイプのアルバムだ。ダンス・ミュージックとしての機能と、ラジオ向けの明快さが両立している点も、この作品らしいところ。

『Thriller』の重要性は、単に売れたことだけではない。アメリカのポップ・アルバムが、R&Bの文脈を保ちながらロック市場にも届き、さらに映像作品としても消費される流れを強くした点にある。後続のアーティストに与えた影響も大きく、ポップ、R&B、ダンス・ミュージックの境界をまたぐ作り方の手本として参照され続けている。マイケル・ジャクソンのディスコグラフィの中では、単独の名盤というだけでなく、世界的スーパースターとしての立場を固定した中心作として見るのが自然だ。

まとめ

Epic QE 38112の1982年US盤『Thriller』は、マイケル・ジャクソンの代表作であり、80年代ポップの基準を大きく押し上げたアルバムだ。ヒット曲の強さ、曲順の設計、クインシー・ジョーンズの制作、そして映像と結びついた展開まで含めて、作品全体のまとまりが非常に高い。オリジナル期のプレスとしては、アルバムの歴史的な初期の姿をそのまま伝える一枚でもある。

トラックリスト

  1. A1 Wanna Be Startin' Somethin' 6:02
  2. A2 Baby Be Mine 4:20
  3. A3 The Girl Is Mine 3:42
  4. A4 Thriller 5:57
  5. B1 Beat It 4:17
  6. B2 Billie Jean 4:57
  7. B3 Human Nature 4:05
  8. B4 P.Y.T. (Pretty Young Thing) 3:58
  9. B5 The Lady In My Life 4:57

動画プレイリスト

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