The New Rotary Connection - Hey, Love (1971)
Rotary Connection 1971

The New Rotary Connection - Hey, Love (1971)

Jazz Funk / Soul Soul Soul-Jazz Psychedelic

The New Rotary Connection『Hey, Love』(1971)

『Hey, Love』は、1971年にUSのCadet Conceptから出たThe New Rotary Connection名義のアルバム。Rotary Connection名義で続いてきた一連の流れの最終盤にあたり、同時にCadet Conceptレーベルの終末期を示す作品でもある。録音はシカゴのTer-Mar Recording Studiosで行われ、制作の中心にはやはりCharles Stepneyがいる。彼のアレンジとプロデュース、そしてMinnie Ripertonのリード・ボーカルという核がこの作品でも保たれている点が重要だ。

Rotary Connectionは、Chess系のサイケデリック路線を担うために組まれたグループで、ロック、ソウル、ジャズ、クラシカルな要素をひとつの箱に入れたような存在だった。『Hey, Love』はその集大成に近く、編成の変化を受けて「The New Rotary Connection」とクレジットされているが、音の骨格はこれまでの作品とつながっている。黒人音楽の文脈にあるソウル感と、ストリングスを使った構成、そしてRipertonの高音域が前面に出る作りが、アルバム全体を通してはっきりしている。

Rotary Connectionの終着点としての位置づけ

Rotary Connectionは1960年代後半から1970年にかけて、全6作を残した。『Hey, Love』はその6作目であり、最終作。ここでのCharles Stepneyは、単なるバンドの裏方ではなく、作品の設計者としての役割が強い。彼はChess周辺で鍛えられたアレンジャー、プロデューサーで、ジャズ的な和声感とソウルの推進力をつなぐ仕事に長けていた。そのStepneyの手つきが、このアルバムでも細部に出ている。

メンバーにはMinnie Riperton、Sidney Barnes、Phil Upchurch、Jim Donlinger、Mitch Aliottaらが名を連ね、シカゴのソウル/セッション界隈の人脈がそのまま盤面に反映された形だ。バックの演奏は、ロック寄りの粗さを残しつつ、リズムの組み立てやホーン/ストリングスの置き方に整理がある。サイケデリックな色彩を保ちながらも、単なる実験盤には寄らないバランス感がある。

「I Am The Blackgold Of The Sun」の存在感

このアルバムを語るうえで外せないのが「I Am The Blackgold Of The Sun」。Rotary Connectionの代表曲として扱われることが多く、本作の中でも特に知られた一曲だ。Ripertonの声が上に伸びていく一方で、下ではソウルらしいグルーヴがしっかり続く。旋律の運びと編曲の組み方がきれいに噛み合っていて、このグループが持っていた“重さと透明感の同居”がまとまっている。

聴き進めると、単に派手な曲が並ぶというより、曲ごとに配置されたストリングスや鍵盤、リズムの密度が少しずつ変わっていく。録音の輪郭は70年代初頭のシカゴ・ソウルらしく明瞭で、音数を増やしても混み合いすぎない。Ripertonのボーカルは、オペラ的と形容されることが多いが、ここでは技巧の誇示よりも、曲の構造に沿って上昇と着地を繰り返す役回りになっている。

レーベルの終わりと作品の時代性

Cadet Conceptは、Chess RecordsがGRTへ売却された後に整理されていく流れの中で、1971年に終息したレーベルだ。『Hey, Love』はその最終期の一枚にあたり、レーベルの方向性そのものを示すような内容になっている。Muddy Watersのエレクトリック化とは別のベクトルで、ソウルをサイケデリックに拡張するというCadet Conceptの企画性が、このアルバムではかなり明確だ。

同時代の文脈で見ると、Marvin GayeやCurtis Mayfieldのようなソウルの深化と、ロック側のサイケデリアが接近していた時期でもある。Rotary Connectionはその接点で、ストリングスやコーラスを使いながら、黒人音楽の側から実験性を押し出したグループとして機能していた。後年のソウル再評価や、ネオソウル、レアグルーヴの視点からも参照される背景がここにある。

盤としての情報

オリジナルは1971年のUS盤、Cadet Concept CC 50006。今回の盤にはオリジナルのCadet内袋が付属している。再発盤ではなく、当時のリリース時期に出た作品として捉えるのが自然だ。アルバム単位で見ると、Rotary Connectionの流れを締めくくる記録であり、同時にMinnie Ripertonがこの直後にソロ・キャリアへ向かっていく前段階としても重要な位置を占めている。

『Hey, Love』は、バンドの看板曲「I Am The Blackgold Of The Sun」を含みつつ、Stepneyの編曲美学とRipertonの声の個性が最後まで噛み合った一枚。Rotary Connectionというプロジェクトの輪郭をつかむうえで、外しにくい作品だ。

トラックリスト

  1. A1 If I Sing My Song 2:53
  2. A2 The Sea & She 3:30
  3. A3 I Am The Blackgold Of The Sun 5:20
  4. A4 Hanging Round The Bee Tree 3:32
  5. A5 Hey, Love 4:00
  6. B1 Love Has Fallen On Me 4:10
  7. B2 Song For Everyman 5:32
  8. B3 Love Is 4:42
  9. B4 Vine Of Happiness 4:36

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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