Sally Oldfield - Playing In The Flame (1981)
Sally Oldfield 1981

Sally Oldfield - Playing In The Flame (1981)

Rock Pop Downtempo Pop Rock Synth-pop

Sally Oldfield『Playing In The Flame』(1981)レビュー

Sally Oldfieldの『Playing In The Flame』は、1981年にUKのBronzeから出たアルバム。サリー・オールドフィールドは、マイク・オールドフィールドの姉として知られるだけでなく、フォーク寄りの感触とポップな整理の仕方を行き来しながら、自分の歌を前に出してきたシンガーソングライターだ。本作もその流れの中にあり、70年代のフォーク色を引きずりつつ、80年代初頭のUKポップ/ロックの空気に接続した作品として受け止められている。

1981年という時期のサリー・オールドフィールド

本作が出た1981年は、サリーにとってBronze移籍後の活動がある程度定着していた時期にあたる。前作『Celebration』の流れを受けながらも、曲のまとまりや歌の置き方がより明確になっているのが『Playing In The Flame』の特徴だ。制作面ではサリー自身に加えてDave Davani、Laurie Jayが関わり、録音は1981年6月にRidge Farm、7月から10月にRoundhouseで行われたとされる。こうした制作クレジットからも、単独の弾き語り的な作品ではなく、バンド編成とスタジオ作業を前提に組み上げられたアルバムであることが見えてくる。

Bronzeは当時、Uriah Heep、Motörhead、Girlschool、Hawkwind、Manfred Mann’s Earth Bandなどを抱えた英国の独立系レーベルで、ロック色の強いカタログで知られていた。本作もその中に置かれたことで、サリーの作品としてはやや硬質な棚に入っていた印象がある。とはいえ、サリーの歌そのものはフォークやシンガーソングライターの文脈を残していて、レーベルの持つロック寄りの空気と、本人の持ち味の間に独特の距離感がある。

サウンドと曲の印象

『Playing In The Flame』は、派手なロック・アルバムというより、歌を中心に据えたポップ・ロック寄りの作り。ダウンテンポな運びやシンセの使い方が前に出る場面もあり、80年代初頭らしい整った質感がある。一方で、サリーの声は軽さだけに寄らず、フレーズの置き方にしっかりした芯があるため、表面的なシンセ・ポップには収まらない。実際、当時のレビューでは「ヒッピー時代の残り香」を指摘されつつも、歌の強さやプロダクションのまとまり自体は認められていた。

聴感上は、70年代のフォーク・シーンにいた歌い手が、80年代のスタジオ・ポップへ少し歩み寄ったような印象が残る。分厚いギターで押すタイプではなく、アレンジの隙間に声を置いていく作りで、メロディーの輪郭が見えやすい。派手な転調や技巧で引っ張る作品ではないが、曲ごとの温度差を抑えながら通して聴けるまとまりがある。

批評と当時の受け止められ方

当時の英業界紙では評価が割れている。『Water Bearer』については「穏やかなフォーク志向で、良い声と良いプロダクションを備えた有望作」といった見方があり、『Playing In The Flame』については、現代的な要素を加えても決定打に欠けるという辛口の反応もあった。Kate Bushを思わせるという比喩まで出ているが、これはサリーの声質や女性シンガーとしての存在感を、同時代のUK女性アーティストの文脈で捉えようとした表現だろう。

ただし、こうした反応は本作が売れ筋のシングル志向ではなく、アルバム全体で聴かせる作りだったこととも関係している。商業的には大きなヒット作として扱われたわけではなく、むしろサリーのキャリアの中で、歌とアレンジのバランスを詰めた一枚として位置づけたほうがしっくりくる。ノルウェーでは彼女の作品の中で比較的高いチャート記録があるが、英国本国での大きなヒットを示すものではない。

盤としての情報

今回のUK盤はBronzeのBRON 536。オリジナルの1981年盤で、リリースノートにはプリントされたインナー・スリーブが付く。80年代初頭のBronze盤らしく、レーベルのロゴやカタログ管理の雰囲気も含めて、当時の英国インディペンデント・ロック周辺の空気がそのまま入っている。サリーのアルバムを集める場合、この時期のBronze期は、初期のフォーク色からポップ寄りへ移る流れを追ううえで重要な区間になる。

まとめ

『Playing In The Flame』は、Sally Oldfieldの持つ澄んだ歌声とフォーク由来の感触を保ちながら、1981年のUKポップ/ロックの文法に寄せた作品だ。大きなヒット作ではなく、当時の批評もかなり手厳しいものがあるが、歌を軸にしたアルバムとしての輪郭ははっきりしている。マイク・オールドフィールドの姉、という見られ方に留まらず、サリー自身の作品世界を確認する一枚として、キャリアの中でも興味深い位置にある。

トラックリスト

  1. A1 Playing In The Flame 5:03
  2. A2 Love Of A Lifetime 4:08
  3. A3 River Of My Childhood 3:57
  4. A4 Let It All Go 2:55
  5. A5 Song Of The Lamp 3:16
  6. B1 Rare Lightning 4:45
  7. B2 Man Child 3:57
  8. B3 It's A Long Time 3:35
  9. B4 Song Of The Being 4:41

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Downtempo"

toast