Santana - Inner Secrets (1978)
Santana 1978

Santana - Inner Secrets (1978)

Rock Funk / Soul Pop Rock Funk

Santana『Inner Secrets』

カルロス・サンタナ率いるサンタナが1978年10月に発表した通算10作目となるスタジオ・アルバム。前作『Moonflower』の世界的ヒットを経て制作された本作は、プレイヤー(Player)の「Baby Come Back」やフォー・トップスを手掛けた名ヒットメイカー・チーム、デニス・ランバート&ブライアン・ポッター(Dennis Lambert & Brian Potter)をプロデューサーに迎えて制作された。従来のスピリチュアルなジャズ・ロック/ラテン・フュージョン路線から、ラジオ・エアプレイを意識したキャッチーなAOR/ポップ・ロック、ブルー・アイド・ソウルへと大胆にアプローチを進化させた、バンドの歴史における大きな転換点となる作品である。

制作背景・エピソード

録音はロサンゼルスの名門スタジオ「ウェスタン・レコーダーズ(Western Recorders)」で1978年7月から8月にかけて集中的に行われた。デニス・ランバート&ブライアン・ポッターはプロデュースのみならずソングライティングにも深く関与し、ヒット性重視の洗練されたアレンジメントをバンドに持ち込んだ。

ヴォーカルには、ソウルフルで艶やかな歌声を持つグレッグ・ウォーカー(Greg Walker)を大々的にフィーチャー。バンドの象徴であるカルロス・サンタナのエモーショナルなギター、アルマンド・ペラーサ(ボンゴ)とラウル・レコウ(コンガ)による鉄壁のパーカッション部隊を基盤にしつつ、外部作家の名曲カヴァーと新曲をバランスよく配置した。アルバム全体の構成は明快かつタイトに設計されている。

サウンドと聴きどころ

本作の最大の魅力は、サンタナ特有の灼熱のラテン・パーカッションと、洗練を極めたウェストコーストAOR/ロック・サウンドの鮮やかな融合にある。冒頭の「Dealer / Spanish Rose」は、英ロック・バンドのトラフィック(Traffic)のカヴァー「Dealer」から自作曲「Spanish Rose」へとシームレスに雪崩れ込むメドレー。アコースティック・ギターの叙情的な響きから一転して情熱的なラテン・ビートが炸裂する展開が素晴らしい。

バディ・ホリーやブラインド・フェイスの演奏で知られる名曲をパーカッシヴに再構築した「Well All Right」では、グラハム・リアのタイトなドラミングとカルロスのドライブ感あふれるギター・リフが楽曲を牽引する。続くクラシックス・IVのカヴァー「Stormy」は、本作の白眉といえるメロウな名演。グレッグ・ウォーカーの甘くソウルフルな歌声に寄り添うように、カルロスが奏でる咽び泣くようなギター・トーンが都会の夜の哀愁を描き出している。

さらにフォー・トップスのヴァージョンでも有名な「One Chain (Don't Make No Prison)」では、ディスコ/ファンク調のうねるベースラインとパーカッションがフロアを直撃。後半の「Open Invitation」でのストレートなハード・ロック・アプローチや、ラストを飾るインストゥルメンタル「Wham!」における痛快なギター・バトルなど、卓越したミュージシャンシップが随所で光る。

時代の文脈

1978年当時のUS音楽シーンは、ボストンやフォリナーらによるスタジアム・ロックの台頭と、ボズ・スキャッグスやトトらに代表されるAOR/ウェストコースト・ロックの全盛期にあった。サンタナもまた、時代の空気を敏感に捉え、長尺インプロヴィゼーション主体の実験作から、3〜4分台のコンパクトでメロディアスな楽曲群へとフォーカスを絞り込んだ。

本作は米Billboard 200アルバム・チャートで27位を記録し、全米レコード協会(RIAA)よりゴールド・ディスクを獲得。シングル・チャートでも「Stormy」が全米32位、「One Chain (Don't Make No Prison)」が59位、「Well All Right」が69位(全英53位)と複数のヒットを連発し、FMラジオ時代におけるサンタナの存在感を確固たるものにした。

後世への影響

熱心なラテン・ロック/フュージョン・ファンからは作風の変化に戸惑いの声も上がったが、エモーショナルなラテン・ギターと親しみやすいポップ・ソングライティングを融合させるこの試みは、のちの1980年代のヒット曲(「Hold On」など)や、1999年にグラミー賞を総なめにした世紀のメガヒット作『Supernatural』の青写真となった。

また、近年のAOR/ヨット・ロック(Yacht Rock)の世界的再評価ブームのなかでも、「Stormy」をはじめとする本作のメロウ・トラックは「洗練されたラテンAORの隠れた名盤」としてDJやレコード・コレクターから再発見され、新たなリスナーを魅了し続けている。

トラックリスト

  1. A1 Dealer / Spanish Rose 5:50
  2. A2 Move On 4:27
  3. A3 One Chain (Don't Make No Prison) 6:13
  4. A4 Stormy 4:45
  5. B1 Well All Right 4:09
  6. B2 Open Invitation 4:45
  7. B3 Life Is A Lady / Holiday 3:47
  8. B4 The Facts Of Love 5:28
  9. B5 Wham! 3:24

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Santana

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Santanaは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコで結成されたラテン・ロック・バンドだ。ギタリストのCarlos Santanaを中心に、1966年にSanta...

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