Doors - L.A. Woman (1971)
The Doors『L.A. Woman』
The Doorsの最後のスタジオ・アルバムとして知られる『L.A. Woman』は、1971年に発表された作品で、ここでの録音は長年のプロデューサー、ポール・A・ロスチャイルドと距離を置き、ブルース・ボトニックを迎えて進められた。ロスチャイルドはこの作品に関わらず、ボトニックが制作の中心に立ったことで、録音の進め方も前作までとは少し違う形になっている。レコーディングはロサンゼルスのDoors Workshopを中心に行われ、曲の多くは綿密な作曲というより、ジャムから発展したとされている。
制作背景と収録曲のエピソード
アルバムのタイトル曲「L.A. Woman」は、ロサンゼルスそのものを寓意化した楽曲として語られている。イントロではロビー・クリーガーのギター、レイ・マンザレクの鍵盤、ジョン・デンスモアのシンバルが少しずつ重なり、そこへセッション奏者ジェリー・シェフのベースが加わる流れ。曲が組み上がっていく過程がはっきり分かる構成で、制作時の組み立て方がそのまま表に出ている印象がある。タイトル曲はアルバム発表前の1971年6月にシングルとしても扱われている。
「Riders on the Storm」については、デモ段階ではよりラフな形で、マンザレクがピアノ・ベースを弾いていたことが後年の再発資料で触れられている。こうした記録が残っているのも、このアルバムが完成品だけでなく、制作途中の姿まで含めて見られてきたためだろう。参加面では、ジェリー・シェフがベース、マーク・ベンノがリズムギターでクレジットされている。なお、2009年のヨーロッパ盤では180グラムのアナログ盤として再発され、オリジナル・ステレオ・ミックス、当時のアートワーク、インナー・スリーブを収めた仕様になっている。
時代の文脈
『L.A. Woman』は、前作『Morrison Hotel』で戻したブルース色をさらに押し進めた位置にある。1960年代後半のサイケデリックな実験性から、70年代初頭のより重く湿ったロックへ接続する地点で出た作品として整理されている。1971年春の発表で、ジム・モリソンの死の直前に出た最後の生前アルバムでもある。The Doorsのキャリアの中では、区切りを決定づけた一枚として扱われてきた。
収録曲のうち「Love Her Madly」はシングルとして全米11位、「Riders on the Storm」は14位を記録し、アルバム自体もBillboardのアルバム・チャートで9位まで上がっている。商業的な実績がありつつ、作品としてはモリソン在籍期の最終章に置かれる、という位置づけ。
後世への影響
このアルバムでは「Riders on the Storm」と「L.A. Woman」が特に長く聴き継がれている。再発や記念企画のたびに未発表デモが掘り起こされ、制作過程そのものへの関心が続いているのも特徴だ。後年の回顧記事では、ロスチャイルドの離脱とボトニックの役割が改めて取り上げられ、この作品が偶然性と熟練の交点で生まれたものとして語られている。
AllMusicのリッチー・アンターバーガーは、この作品を最もブルース志向のアルバムとして評し、声のかすれや演奏の荒さにも触れている。また、別のAllMusic評では「Riders on the Storm」の冒頭15秒ほどで、ギター、鍵盤、ドラム、ベースが段階的に景色を作る構成が取り上げられている。こうした評価も含めて、『L.A. Woman』は完成度だけでなく、演奏の摩耗感や録音の進行がそのまま記録された作品として見られている。
2009年の再発盤は、オリジナルの要素をできるだけ保った仕様で出ており、スライド式のジャケット、切り抜き窓、エンボス加工のDOORSロゴ、フォールド・アウトのインサートなど、当時の装丁を再現している。盤面やジャケットの細部まで含めて、初出時の見せ方を意識した再発だった。
トラックリスト
- A1 The Changeling 4:20
- A2 Love Her Madly 3:18
- A3 Been Down So Long 4:40
- A4 Cars Hiss By My Window 4:10
- A5 L.A. Woman 7:49
- B1 L'America 4:35
- B2 Hyacinth House 3:10
- B3 Crawling King Snake 4:57
- B4 The WASP (Texas Radio And The Big Beat) 4:12
- B5 Riders On The Storm 7:14
動画プレイリスト
このアーティストについて
ドアーズ(The Doors)は、1965年にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで結成された伝説的ロック・バンドである。ジム・モリソン(ヴォーカル)...
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