The Mohawks - The Champ (1968)
The Mohawks 1968

The Mohawks - The Champ (1968)

Funk / Soul Rhythm & Blues

The Mohawks『The Champ』(1968)

The Mohawksの『The Champ』は、1968年のUK盤として登場したファンク/ソウル・インスト作品で、英国のセッション・ミュージシャン集団によるプロジェクトとして知られている。中心にいるのはアレンジャー兼セッション奏者のAlan Hawkshawで、メンバーにはLes Hurdle、Byron Davis、Sidney Rodgers、Hesketh Grahamの名が並ぶ。バンド名義ではあるが、実態としては当時の英国スタジオ・ミュージシャンの手際のよさが前面に出た作品という印象が強い。

この盤はPama RecordsのUKオリジナル盤で、紫色のPamaレーベル、ラミネート加工のフリップバック・スリーブという仕様も含めて、1960年代後半の英国盤らしい佇まいがある。ジャケットの作りやレーベル面の表記違いも含め、当時のプレス物としての個性が見える一枚だ。

作品の輪郭

『The Champ』は、いわゆる“アルバム作品”であると同時に、ライブラリー音源的な性格を帯びたセッション録音の集積としても聴ける。商業的なポップ・アルバムというより、リズムの骨格、オルガンの反復、ブレイクの切れ味を前に出した構成で、曲ごとの役割がはっきりしている。全体を通して、ギターやホーンが前に出る場面よりも、オルガンとリズム隊の推進力が主役になっているのが特徴的だ。

実際に聴くと、タイトル曲「The Champ」の存在感がまず大きい。冒頭の掛け声とオルガン・リフがすぐに印象を残し、短いフレーズの反復で押し切る作りが強い。派手に展開するタイプではないが、ビートの置き方が明快で、演奏の輪郭がはっきりしている。音の厚みよりも、リフの刻みと間の取り方で引っ張るタイプの録音だと感じる。

代表曲としての「The Champ」

この作品を語るうえで外せないのが、やはりタイトル曲の「The Champ」だ。楽曲はLowell Fulsonの「Tramp」、さらにOtis ReddingとCarla Thomasの解釈の流れを踏まえつつ、別のリズム感とオルガン主体の構成に組み替えられている。オリジナル発売時は大きなヒットにはならなかったが、後年の再評価は非常に大きい。1987年の再発時には全英シングル・チャートで最高58位を記録しており、1987年1月24日に初登場、3週チャートインという記録も残っている。

この曲が広く知られるようになった背景には、ヒップホップ以降のサンプリング文化がある。冒頭の掛け声やオルガンの短いフレーズが引用され、ブラック・ミュージックの文脈を越えて使われてきた。発売当時は大きく注目されなかった一方で、後年になって“素材”としての価値がはっきりした例といえる。

収録曲とクレジットの見どころ

この盤では、収録曲ごとに権利表記が細かく分かれているのも興味深い。K.P.M.、Chart Music、Redual Music、Palmer/Shaftesbury、Palmer/Sleeping Bunny Musicといった表記が並び、当時の英国音楽業界の制作・出版のつながりが見えてくる。タイトル違いの表記もあり、A4はラベル上で「Dr. Jekyll & Hyde Park」、B4は「Sound Of The Witch Doctors」となっている。こうした表記の揺れも、1960年代の英国盤らしい細部だ。

収録内容全体は、ファンク/ソウルを軸にしながら、Rhythm & Bluesの感触を強く持つ。ブラスやコーラスで押し出すより、オルガンの反復とドラムの推進で作る曲が中心で、Booker T. & the M.G.’sに通じる整理された推進力を感じる瞬間がある。いっぽうで、英国録音らしい硬さも残っていて、アメリカ南部の泥臭さとは少し違う、整ったリズムの立ち上がりが耳に残る。

同時代の文脈

1968年という時期を考えると、英国ではソウル、R&B、ファンクの影響がスタジオ・ミュージシャンの仕事に深く入り込んでいた時期でもある。The Mohawksはその流れの中で、表のロック・バンドとは別の回路から作られたグループとして位置づけられる。単なる変名プロジェクトというより、英国の制作現場で育った演奏者たちが、ダンス向けのリズムと短い反復フレーズを精密に組み上げた作品群と見る方がしっくりくる。

後年の視点では、The Mohawksはサンプリングで語られることが多いが、元の録音そのものを聴くと、編集素材としての機能だけでなく、1曲ごとの演奏がきちんと成立している。そこがこの作品の面白いところだ。ヒット曲としての「The Champ」だけでなく、アルバム全体に、1960年代後半の英国インスト・ソウルの実務的な強さが詰まっている。

まとめ

『The Champ』は、発売当時に大きく売れた作品というより、のちに評価が跳ね上がったタイプのレコードだ。Alan Hawkshawを軸にした英国スタジオ・ワークの一つの到達点として、またサンプリング文化の源流として、いま聴いても重要性が伝わる内容になっている。タイトル曲の強いフック、オルガン主体の推進力、UK盤ならではの制作背景。その3つが、このレコードの輪郭をはっきり形づくっている。

トラックリスト

  1. A1 The Champ 2:42
  2. A2 Hip Jigger 3:03
  3. A3 Sweet Soul Music 2:37
  4. A4 Dr Jekyll & Hyde Park 1:33
  5. A5 Senior Thump 2:42
  6. A6 Landscape 2:25
  7. B1 Baby Hold On 2:25
  8. B2 Funky Broadway 2:42
  9. B3 Rocky Mountain Roundabout 2:05
  10. B4 Sound Of The Witchdoctors 2:50
  11. B5 Beat Me Till I'm Blue 2:33
  12. B6 Can You Hear Me? 2:55

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