Supertramp - Breakfast In America (1979)
Supertramp 1979

Supertramp - Breakfast In America (1979)

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Supertramp『Breakfast In America』——都会の風景を音で描いた1979年作

Supertrampの『Breakfast In America』は、1979年にA&M Recordsから発表された6作目のスタジオ・アルバム。ブリティッシュ・ロック・バンドとして出発した彼らが、アメリカ市場で大きく存在感を広げた時期の作品で、ポップ・ロックとアート・ロックの要素を整理しながら、聴きやすさと作り込みの細かさを両立させた内容になっている。Rick DaviesとRoger Hodgsonの二本柱を中心にした、いわゆるクラシック・ラインナップ期の代表作でもある。

バンドの転機を示すアルバム

Supertrampは1969年にロンドンで結成されたバンドで、初期はプログレッシブ・ロック寄りの作風も持っていたが、この時期までにサウンドはかなり洗練されている。『Breakfast In America』では、複雑な構成を前面に出すよりも、曲の輪郭をはっきりさせ、メロディとリズムの推進力を重視した印象が強い。前作までの流れを受けつつ、より広い層に届く形へと整えられた作品として聴こえる。

このアルバムの中心には、Roger Hodgsonの高音域の歌声と、Rick Daviesの少し渋みのある歌い回しの対比がある。曲ごとに役割が分かれ、バンドの表情が変わる構成。ホーンや鍵盤の使い方も含めて、演奏は緻密だが、音の印象は重くなりすぎない。スタジオで丁寧に積み上げた質感が、全体の聞きやすさにつながっている。

収録曲と代表曲

アルバムの中でも特に知られているのは、タイトル曲「Breakfast In America」、そして「The Logical Song」「Goodbye Stranger」「Take the Long Way Home」あたり。いずれもシングルとして広く流通し、Supertrampの代表曲として定着した楽曲群だ。

「The Logical Song」は、教育や成長の過程で失われていく感覚を扱った曲として知られ、明快なフックと少し距離を置いた視点が同居している。サビの抜けのよさが強く、アルバムの中でも特に印象が残る。「Goodbye Stranger」は、軽快なピアノとリズムの動きが前に出る曲で、都会的な空気がある。「Take the Long Way Home」は、メロディの運びが非常にわかりやすく、ラジオ向きの強さを持つ。

タイトル曲「Breakfast In America」は、アルバム全体の顔のような存在。軽いユーモアを含んだ歌詞と、耳に残るメロディが結びつき、作品のイメージをそのまま引き受けている。

ジャケットの存在感

この作品を語るうえで、ジャケットの印象は外せない。機内の窓越しにマンハッタン南部の金融街を見下ろしているような構図を、朝食にまつわる小道具だけで組み立てたアートワークで、コーンフレークの箱、卵のパック、カップ、瓶類などが摩天楼のように配置されている。中央に立つのは、女優Kate Murtaghが演じるウェイトレス「リビー」。自由の女神像を思わせるポーズで、オレンジジュースのグラスを掲げる姿が目を引く。

英国出身のバンドがアメリカ的な風景を題材にしながら、どこか皮肉も混ぜている点は、アルバムの内容とよく響いている。アートディレクションはMike Doud、撮影はAaron Rapoportによるもの。1980年のグラミー賞で最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞している。

US盤1979年オリジナルの情報

今回のUS盤はA&M Records、カタログ番号SP-3708。1979年のオリジナル時点のリリースで、ランアウトにはSide Aに「SM」、Side Bに「T1」の加工コードが見られる。印刷された内袋には歌詞、クレジット、そして一部ジャケットと共通するアートワークが収められている。レコーディングはロサンゼルスのVillage Recorderで行われ、ミックスはCrystal SoundのStudio “B”で実施。Peter Hendersonがエンジニアを務めている。

この盤のクレジットには、アルバム制作の現場に関する記述も残っていて、スタジオの雰囲気が良かったことを伝える一文が内袋に印刷されている。制作陣の仕事ぶりがそのまま音の整い方に反映されている印象で、曲の輪郭が崩れないまま、細部だけがきちんと積み上がっていく。

同時代の中での位置

1979年という年を考えると、ロックはかなり多様化していた時期で、ハードな方向にも、よりポップな方向にも振れやすかった。そうした中で『Breakfast In America』は、過剰に尖らず、しかし単なる軽いポップにも寄らないバランスを保っている。プログレッシブ・ロック由来の構成力を残しながら、AORやポップ・ロックの文脈にも自然に入っていく作り。後年の洗練されたメロディ志向のロックに通じる部分も見える。

売り物としてのわかりやすさと、アルバム作品としての統一感、その両方がはっきりしている1枚。Supertrampの中でも最も広い層に届いた時期の記録として、そして1970年代末のロックの空気をまとった作品として、今も存在感がある。

トラックリスト

  1. A1 Gone Hollywood 5:15
  2. A2 The Logical Song 4:12
  3. A3 Goodbye Stranger 5:44
  4. A4 Breakfast In America 2:40
  5. A5 Oh Darling 4:10
  6. B1 Take The Long Way Home 5:09
  7. B2 Lord Is It Mine 4:03
  8. B3 Just Another Nervous Wreck 4:32
  9. B4 Casual Conversations 2:53
  10. B5 Child Of Vision 7:12

動画プレイリスト

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