The Chameleons - Script Of The Bridge (1983)
The Chameleons 1983

The Chameleons - Script Of The Bridge (1983)

Rock New Wave Alternative Rock Post-Punk

The Chameleons『Script Of The Bridge』

The Chameleonsのデビュー・アルバム『Script Of The Bridge』は、1983年のUKポストパンク周辺を語るうえで外せない1枚だ。マンチェスター近郊のミドルトンで結成されたバンドが、CBSでの1枚のシングルを経てStatik Recordsへ移り、そこで最初の長編作品として形にしたのが本作。全体を通して、鋭いギターの絡み、前へ出るベース、硬質なドラムがきっちり組み上がっていて、初期のThe Chameleonsの輪郭がそのまま刻まれている。

バンドの出発点と、この作品の位置

The Chameleonsは、Mark Burgess、Reg Smithies、Dave Fieldingを軸に1981年に始まった。もともと別のバンドで活動していたメンバーが集まり、最初はドラマー不在の状態で動き出したという経緯がある。その後John Leverが加わり、バンドとしての推進力が固まる。デビュー曲「In Shreds」はJohn PeelのFestive Fiftyにも入っており、当時から一定の注目を集めていた。そうした流れの先に置かれたのが『Script Of The Bridge』で、単なる初作というより、バンドの持っていた音像をまとめて提示した作品として見ておきたい。

録音はロッチデールのCargo Studiosで行われ、Colin Richardsonとバンド自身が共同でプロデュースを担当している。制作面でも、演奏の輪郭を曖昧にせず、各パートを明確に前へ出す作り。1曲目冒頭には1946年の映画『Two Sisters from Boston』の台詞サンプルが使われており、アルバムの入口に少し異物感のある仕掛けを置いているのも面白い。

収録曲と代表曲

このアルバムからは「Up The Down Escalator」「As High As You Can Go」「A Person Isn't Safe Anywhere These Days」などがシングルとして出ている。特に「Up The Down Escalator」は、バンドの輪郭を端的に示す曲として知られる。ギターの鋭さだけで押し切らず、リズムの重さとメロディの運びがきちんと噛み合っている点が、このバンドらしさにつながっている。「Don't Fall」もプロモ盤ながら後年まで語られることの多い曲で、アルバムの中核にある緊張感をよく示している。

実際に聴くと、音の密度は高いのに、各楽器の居場所がつぶれていない。ベースが曲の芯を作り、ギターは装飾よりもフレーズの切れ味で存在感を出す。ドラムは派手に暴れず、一定の圧を保ちながら曲を前へ運ぶ。ポストパンクの硬さとニューウェイヴの整理された感覚、その両方が同居している印象が残る。

当時の評価と、見過ごされた経緯

リリース当時は、Sounds誌が「力強く豊かな作品」として評価し、Record Mirror誌も高い点数を付けていた。一方で、Statik RecordsはVirgin配給だったためインディーチャートの集計対象外となり、UK正規チャートにも入らなかった。この事情が、作品の評価と流通上の扱いの差につながっている。内容面では評価されながら、当時のメディア露出やチャート面では十分に拾われなかった、という流れだ。

後年になると再評価はかなり進み、AllMusicではポストパンクの重要作のひとつとして扱われている。2000年代以降のInterpolやEditorsのようなバンドが参照した文脈でも語られることが多く、特にInterpolの『Turn On the Bright Lights』との比較では、荒涼とした空気感、リズムの疾走、抑制の効いたギターの組み立てが挙げられる。Joy Division由来として語られがちな要素の一部が、実際にはThe Chameleonsのこの作品から強く見えてくる、という見方も定着している。

オリジナル盤の特徴

1983年のUKオリジナル初回盤は、テクスチャード仕様のスリーブにピンクの折り込み写真シート、ブルー・ラベルという組み合わせ。初期の別仕様として、スムース・スリーブの非グロッシー盤も存在する。1985年には、インサートなしのグロッシー・スリーブ、白ラベルの再発盤が出ており、ピクチャー・ディスクもある。オリジナル盤を追う場合は、この初回仕様の違いがひとつの見どころになる。

『Script Of The Bridge』は、The Chameleonsの出発点であると同時に、後のオルタナティブ・ロックへつながる感触を早い段階で示したアルバムでもある。1983年という時点で、すでに完成度の高いバンド・サウンドができていたことが、いま聴くとよくわかる1枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Don't Fall 4:03
  2. A2 Here Today 3:59
  3. A3 Monkeyland 5:14
  4. A4 Second Skin 6:51
  5. A5 Up The Down Escalator 3:56
  6. A6 Less Than Human 4:10
  7. B1 Pleasure And Pain 5:08
  8. B2 Thursday's Child 3:32
  9. B3 As High As You Can Go 3:33
  10. B4 A Person Isn't Safe Anywhere These Days 5:40
  11. B5 Paper Tigers 4:16
  12. B6 View From A Hill 6:38

動画プレイリスト

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