The Flock - Dinosaur Swamps (1970)
The Flock『Dinosaur Swamps』について
The Flockの『Dinosaur Swamps』は、1970年に発表された2作目のアルバムで、シカゴ出身のバンドがジャズ・ロック寄りの編成をさらに押し進めた作品だ。もともとガレージ・ロック・バンドとして始まったグループが、60年代末にかけて管楽器とバイオリンを前面に出すスタイルへ移っていった流れが、この一枚でははっきり見える。オリジナルのアメリカ盤に対して、ここで取り上げるのはスペイン盤のCBSリリース。レーベル表記はCBS S 64055で、Discos CBS, S.A.のマドリードの住所表記が入っている。
バンドの立ち位置
The Flockは、同じくコロンビア系のジャズ・ロック/ブラス・ロック勢として語られるChicagoやBlood, Sweat & Tearsと並べられることが多い。ただし、売れ筋の方向へ強く寄った彼らとは少し違い、The Flockはバイオリンの存在感がかなり大きい。メンバーにはJerry Goodmanがいて、後年のジャズ/フュージョン文脈でも名前が残る人物だ。『Dinosaur Swamps』は、そうした個々の演奏力を、ロックの曲構成の中に押し込んだアルバムとして位置づけられる。
サウンドの特徴
アルバム全体を通して、リズムの切り替えが多く、管楽器とバイオリンがせわしなく出入りする。ギターやオルガンが前へ出る場面もあるが、主役を固定しないアンサンブルの組み方が印象に残る。ロックの推進力に、即興的なフレーズやジャズ寄りの間合いが重なる作りで、1970年前後の“ジャズとロックの接近”をそのまま反映した内容になっている。
曲名も『Green Slice』『Big Bird』など、やや寓話的で、ジャケットの世界観と結びついている。見開き内の地図まで含めて一つの作品として組まれており、単なる音源集というより、アルバム全体でひとつのイメージを作る意識が強い。ジャケットの恐竜風イラストは、実際には翼竜を描いた絵の改変だとされている。
当時の評価と反応
この作品は、商業的には大きく伸びた盤ではない。BillboardのTop LP’sでは1970年12月12日号に187位、9週チャートインの記録がある。後年の評価では、同時代の有名どころと比べて派手な成功は収めなかったものの、編成の個性と演奏の密度で語られることが多い。John Mayallがライナーノーツを書いている点も、当時のシーンの中で一定の注目を集めていたことを示している。
1970年9月ごろのリリースとされ、同年の空気をかなり濃く持った一枚でもある。バンドはこのあといったん解散し、数年後に再編成されて欧州ツアーを行うが、オリジナル期のThe Flockを代表する作品としては、やはり『Dinosaur Swamps』の名前が挙がる。
スペイン盤としての見どころ
このスペイン盤はCBSの欧州展開の中で出た一枚で、ラベルの表記や住所情報が当時の流通事情をそのまま伝えている。CBSは1960年代前半から各国で展開を広げ、スペインでも早い段階からブランドを使っていた。レーベルの国際流通の中に置くと、この盤は1970年当時のCBSカタログがヨーロッパでどう受け止められていたかを見る材料にもなる。
The Flockの『Dinosaur Swamps』は、ヒット曲で押すタイプの作品ではないが、バイオリンを軸にしたジャズ・ロックの編成、管楽器を含む厚いアンサンブル、そしてアルバム全体で組み立てた世界観がはっきり残る。ChicagoやBlood, Sweat & Tearsと同時代の空気を共有しながら、より変則的で、演奏そのものの動きが前に出る一枚として記憶されている。
トラックリスト
- A1 Green Slice 2:00
- A2 Big Bird 5:52
- A3 Hornschmeyer's Island 7:27
- A4 Lighthouse 5:20
- B1 Crabfoot 8:15
- B2 Mermaid 4:53
- B3 Uranian Sircus 7:12