Grateful Dead - Aoxomoxoa (1969)
The Grateful Dead 1969

Grateful Dead - Aoxomoxoa (1969)

Rock Experimental Psychedelic Rock Acid Rock

Grateful Dead『Aoxomoxoa』(1969)

サンフランシスコのカウンターカルチャーを牽引したグレイトフル・デッド(Grateful Dead)が、1969年6月にワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ(Warner Bros. - Seven Arts Records)から発表した通算3作目のスタジオ・アルバム。前作『Anthem of the Sun』に続く過激な音響実験と、アコースティック・フォークやルーツ・ロックへの回帰が交錯するサイケデリック時代の金字塔である。

制作背景と16トラックの実験

本作は、ロック史上最初期に開発されたAmpex社製の試作16トラック・マルチレコーダーを全面的に導入して録音された。当初8トラックで進めていたレコーディング音源を、新技術の導入に伴いバンドは全て破棄してゼロから録音をやり直した。重層的なボーカル・オーバーダブや実験的な音響処理を徹底的に追求した結果、スタジオ費用は当時としては天文学的な18万ドルに跳ね上がり、バンドがワーナーに対して長年重い負債を背負う原因となったことでも知られる。

バンドのコア・メンバーであるジェリー・ガルシア(Jerry Garcia:ギター、ボーカル)、ボブ・ウェア(Bob Weir:ギター、ボーカル)、フィル・レッシュ(Phil Lesh:ベース、ボーカル)、ロン・“ピグペン”・マッカーナン(Ron "Pigpen" McKernan:オルガン)、ビル・クルーツマン(Bill Kreutzmann:ドラムス)、ミッキー・ハート(Mickey Hart:ドラムス)に加え、前衛音楽の素養を持つトム・コンスタンテン(Tom Constanten:キーボード)が多彩な音響処理で貢献した。

ロバート・ハンターとの本格的タッグとリック・グリフィン

本作は、詩人ロバート・ハンター(Robert Hunter)が初めてアルバム全曲の作詞を手掛け、ジェリー・ガルシアとの伝説的なソングライティング・パートナーシップが本格的に始動した記念碑的作品である。タイトル『Aoxomoxoa(アクソモクソア)』は回文(前後どちらから読んでも同じ綴り)で、アンダーグラウンド・コミックスやサイケデリック・ポスターの巨匠リック・グリフィン(Rick Griffin)による頭蓋骨や生命の循環を描いた鮮烈なアートワークとともに、60年代サイケデリック・アートの象徴となった。

収録曲とサウンドの魅力

コンサートでの不動のアンセムとなった「St. Stephen」、後に「I Know You Rider」との黄金メドレーへと発展する極彩色のポップ・サイケデリア「China Cat Sunflower」、アコースティック・ギターやバンジョー、プリペアド・ピアノが中世ルネサンス古楽のような幽玄な響きを醸し出す「Mountains Of The Moon」、ジャグバンド風の軽妙な語り口が楽しい「Dupree's Diamond Blues」など、多彩な音楽的探求が惜しみなく注ぎ込まれている。

1969年オリジナル・ミックスの価値と評価

本作は1971年にガルシアとフィル・レッシュの手によって音数が大幅に削ぎ落とされ、クリーンに整理されたリミックス版(1971年リミックス)が流通した。しかし本盤(WS 1790)は、手直しされる前の濃厚な音響エフェクトやボーカルの多重録音が渦巻く「1969年オリジナル・ミックス」を収録した極めて貴重な初版プレスである。サンフランシスコ・アシッド・ロックの混沌と熱気を純度100%で封じ込めた歴史的ドキュメントとして、世界中のデッドヘッズから今なお熱烈に愛好されている。

トラックリスト

  1. A1 St. Stephen
  2. A2 Dupree's Diamond Blues
  3. A3 Rosemary
  4. A4 Doin' That Rag
  5. A5 Mountains Of The Moon
  6. B1 China Cat Sunflower
  7. B2 What's Become Of The Baby
  8. B3 Cosmic Charlie

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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