Genesis - Genesis (1969)
Genesis『Genesis』日本盤再発(1978年)について
Genesisの初期作を語るうえで外せないのが、1969年に英国Deccaから出たデビュー・アルバム『From Genesis to Revelation』である。のちにプログレッシブ・ロックの代表格として知られるこのバンドだが、本作はまだそのイメージが固まる前の段階にあり、作品全体にも学校時代から続くバンドの出発点らしい素朴さが残っている。今回の日本盤は1978年にLondon Recordsから出た再発盤で、オリジナルの1969年盤をそのまま追うのではなく、シングル音源を追加した内容になっている。
作品の位置づけ
Genesisは1967年にチャーターハウス・スクールの仲間たちを中心に結成された。デビュー当時はPeter Gabriel、Tony Banks、Mike Rutherford、Anthony Phillips、John Silver、John Mayhewらが関わっており、後年の大編成で劇的な舞台演出を伴うGenesisとはかなり違う。『From Genesis to Revelation』は、そうした初期メンバーの感覚がそのまま残る最初期の記録で、後の複雑な組曲構成や長尺志向の前段階にあたる。
制作はJonathan Kingのプロデュースで、1968年8月にロンドンのRegent Studiosで録音された。1969年3月に英国Deccaから発売され、アメリカではのちにLondon盤で流通した。バンドの後年の代表作群と並べると、ここではまだ歌ものの輪郭がはっきりしていて、曲の尺も比較的短い。サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックの境目に置かれることが多いのも納得できる内容だ。
収録内容と再発盤の特徴
この1978年日本盤は、ステレオのアルバム本編に加え、シングル音源からの追加トラックを収録している。A1とA2、B8とB9はモノラル表記で、オリジナルLPよりも資料性の高い構成になっている。日本盤ならではの4ページ・インサートには、英語と日本語の歌詞・解説が収められ、Purple/Black Obi付きという点もコレクター向けの仕様として分かりやすい。
- A1「The Silent Sun」はジャケット表記で「The Silen Sun」と誤植
- A1、A2、B8、B9はモノラル
- 1978年日本盤は追加曲入りの再発仕様
- 同内容のイエローヴァイナル盤も存在
楽曲の印象
本作を聴くと、のちのGenesisにある重厚な展開や演劇的な張り詰め方よりも、メロディの運びやアレンジの整理された感じが先に耳に入る。Peter Gabrielの歌はすでに個性があり、Tony Banksの鍵盤も曲の輪郭を支えているが、全体はまだ静かなポップ・アルバムとしてまとまっている。シングル曲を含む再発盤では、アルバム単体よりも当時のバンドの活動の幅が見えやすい。
「The Silent Sun」は、のちのGenesis像からすると意外なくらい素直な曲で、モノラル収録によって音の芯がはっきりしている。初期曲群は、後年の長編志向へ向かう前のバンドが、短い曲の中でどこまで印象を残せるかを探っているようにも聞こえる。派手さよりも、歌とコード進行の流れを重視した作りが目立つ。
同時代との関係
1969年の英国ロックには、サイケデリックの余韻と、次の時代のプログレッシブ・ロックへの移行が同居していた。Genesisのデビュー作もその中にあり、同時代のThe Moody Bluesや初期Pink Floydのような、装飾のあるロック作品と並べて語られることがある。ただしGenesisの場合は、のちにKing CrimsonやYes、Emerson, Lake & Palmerとは違う方向へ進み、物語性の強い構成や演劇性を自分たちの持ち味としていく。その入口として本作の位置ははっきりしている。
まとめ
1978年の日本盤『Genesis』は、Genesisの出発点を日本向けの体裁でまとめ直した再発盤である。オリジナルの1969年盤が持つ初期衝動に、シングル曲の追加で当時の断片を補った内容で、後年の大きな成功を知ったうえで聴くと、バンドの始まり方が見えやすい。完成された代表作群とは違うが、Genesisという名前の出発点を確認するには十分な一枚である。
トラックリスト
- A1 The Silent Sun 2:12
- A2 That's Me 2:38
- A3 Where The Sour Turns Sweet 3:16
- A4 In The Beginning 4:38
- A5 Fireside Song 4:09
- A6 The Serpent 4:33
- A7 Am I Very Wrong 2:58
- A8 In The Wilderness 3:29
- B1 The Conqueror 3:41
- B2 In Hiding 2:39
- B3 One Day 3:21
- B4 Window 3:34
- B5 In Limbo 3:30
- B6 Silent Sun 2:13
- B7 A Place To Call My Own 1:58
- B8 A Winter's Tale 3:30
- B9 One Eyed Hound 2:32