Arabs In Aspic - Syndenes Magi (2017)
Arabs In Aspic 2017

Arabs In Aspic - Syndenes Magi (2017)

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Arabs In Aspic『Syndenes Magi』について

ノルウェーのヘヴィ・プログレッシブ・ロック・バンド、Arabs In Aspicによる『Syndenes Magi』は、2017年にリリースされた6作目のアルバムである。バンドは1997年にトロンハイムで結成され、ブラック・サバス由来の重さを土台にしながら、キング・クリムゾン、ジェネシス、イエスといった70年代プログレッシブ・ロックの語法を吸収してきたグループとして知られている。本作もその流れの中にあり、ヘヴィなギター、ハモンド・オルガン、メロトロン、フェンダー・ローズ、1970年代的なシンセサイザーが前面に出た一枚で、全編ノルウェー語詞という点も大きな特徴になっている。

バンドの背景と、この作品の位置

Arabs In Aspicは、もともとブラック・サバスのカバーバンドとして始動した経緯を持つ。そこから独自のオリジナル曲へと進み、ストーナー・ロックの重さ、クラシカルな展開、プログレッシブ・ロックの構成感を組み合わせる方向へ発展していった。本作『Syndenes Magi』は、その積み重ねを踏まえた6作目で、バンドの作風がかなり整理された段階の作品として捉えやすい。ノルウェー語で歌うことが、彼らの個性を強める要素として機能している点も重要だ。

作品タイトルの『Syndenes Magi』はノルウェー語で「罪の魔法」の意味を持つ。アルバム全体にも、その語感に通じるような、重さと緊張感、そして少しひねった展開がある。表題曲の冒頭ではキング・クリムゾン「Starless」のフレーズが引用されており、70年代プログレへの目配せがそのまま作品の入口になっている。

サウンドの印象

このアルバムの音像は、ハモンド・オルガンの押し出し、ギターの分厚い歪み、ドラムの硬さがまず印象に残る。そこに12弦アコースティック、ファンキーなベース、パーカッション、メロトロンやフェンダー・ローズが重なり、単なる重厚さだけでなく、音の層を増やしている。スペース・エコーなどのヴィンテージ機材を使った録音という情報もあり、音の質感には現代的な整い方より、70年代の空気を参照したような手触りがある。

聴感上は、ブラック・サバスのリフ感を起点にしながら、キング・クリムゾン的な緊張、ピンク・フロイド的な広がりを行き来する場面が目立つ。加えて、バルカン音楽、フュージョン、ジャズの要素を取り込んできたバンドの経歴が、この作品にも反映されている。リフ主体で押すだけでなく、拍の置き方や展開の切り替えに工夫があり、演奏の密度が高い。

収録曲と演奏面のポイント

作品情報から確認できる範囲では、ゲストとしてAlessandro Elideがパーカッション、Halvor Viken Holandがヴァイオリンで参加している。パーカッションの追加はリズムの立体感につながり、ヴァイオリンはプログレ的な質感を補強している。バンド本体のメンバーも、ギター、オルガン、ベース、ドラムの各パートがはっきり役割を持っていて、アンサンブルの中で音が埋もれにくい。

ノルウェー語詞は、このバンドの“秘密兵器”としてしばしば語られるが、本作でもその印象は強い。英語詞のプログレとは少し違う響きがあり、語感そのものがリズムの一部として機能している。派手なヒット曲を前面に出すタイプではなく、アルバム単位で流れを追う作りになっているのも特徴だ。

パッケージとリリース情報

2017年のオリジナル盤は、ノルウェーのApollon Records: PROGからのリリース。レーベルはプログレッシブ・ミュージックに特化したサブレーベルで、本作のような作品と相性がよい。盤はブラック・ヴィニールで、ブラックのポリライナー入りインナー、ゲートフォールド仕様。内側に画像と歌詞を収めた作りで、音だけでなくアルバムとしてのまとまりを意識したパッケージになっている。

また、クレジットにはFlatåsen skoleやBlack Widow Records、Crispin Glover Records、Panorama Recordsなどへの謝辞が記されている。バンドの活動が地元と周辺シーンの支えを受けながら続いてきたことがうかがえる。

まとめ

『Syndenes Magi』は、Arabs In Aspicが積み上げてきたヘヴィ・プログレの手法を、ノルウェー語詞と70年代機材の質感でまとめた2017年作である。ブラック・サバス由来の重さ、キング・クリムゾンを思わせる引用、ピンク・フロイド寄りの空間感、そして北欧バンドらしい硬質さが同居している。バンドの来歴を踏まえると、この作品は単なる懐古ではなく、彼らの作風が一段と輪郭を持った時期の記録として見ることができる。

トラックリスト

  1. A1 Syndenes Magi
  2. A2 Mørket Pt 2
  3. B Mørket Pt 3

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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