The Rolling Stones - Goat's Head Soup (1973)
The Rolling Stones『Goat’s Head Soup』
1973年8月に発表されたThe Rolling Stonesの通算11作目(米13作目)のスタジオ・アルバム『Goat’s Head Soup(山羊の頭のスープ)』。ロック史にそびえる二枚組の金字塔『Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)』に続き、ジャマイカのキングストンにあるダイナミック・サウンド・スタジオ(Dynamic Sound Studios)を拠点に録音された。プロデューサーはジミー・ミラー(Jimmy Miller)。『Beggars Banquet』(1968年)以来、バンドの黄金期を伴走してきたミラーが手掛けた最後のストーンズ作品である。
制作背景・エピソード
過酷な1972年全米ツアーを終えたバンドは、イギリス本国の過酷な課税を避けるタックス・ヘイヴン(税法上の亡命者)状態にあり、さらにメンバーの薬物問題によって入国できる国が限られていた。そうした状況下で彼らが集結したのが、バイロン・リー(Byron Lee)が設立したキングストンのDynamic Sound Studiosだった。
アルバム・タイトルは、ジャマイカの郷土料理である滋養強壮スープ「マニッシュ・ウォーター(山羊の頭を煮込んだスープ)」に由来する。現地での集中合宿セッションを経て、ロサンゼルスやロンドンでオーバーダブとミックスを重ねて完成に至った。
時代の文脈と退廃の美学
1970年代前半、グラム・ロックやソウル/ファンクが台頭する中、ストーンズは前作までの泥臭いアーシーなルーツ・ロックから、より洗練された都会的かつデカダンなグルーヴへと舵を切った。国際的セレブリティとして華やかな社交界に君臨し始めたミック・ジャガーと、深刻なヘロイン中毒の渦中にあったキース・リチャーズの光と影が、楽曲の随所に濃密なコントラストを生み出している。デヴィッド・ベイリー(David Bailey)撮影による、シルクの薄布を被った妖しく不気味なメンバーのポートレイトも当時の退廃的なムードを象徴していた。
先行シングル「Angie(悲しみのアンジー)」は全米Billboard Hot 100で1位を獲得し、世界中でバンドを代表する永遠の名バラードとなった。また、ビリー・プレストンのファンキーなクラヴィネットとワウ・ギターが疾走する「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)」は、後年のダンス・ロック/ファンク・シーンに多大な影響を与えた。さらに露骨な歌詞で物議を醸した「Star Star」(原題「Starfucker」)など、ロックンロールの危険な毒気も健在だった。
サウンドの深みと後世への評価
本作のサウンドを際立たせているのは、ミック・テイラーの流麗で叙情的なギター・プレイと、ニッキー・ホプキンス、ビリー・プレストン、イアン・スチュワートら名鍵盤奏者たちのバッキングである。
ヴードゥーの不穏な闇を感じさせるオープニング「Dancing With Mr. D.」、キースが切々と歌い上げるメロウな「Coming Down Again」、ミック・テイラーの咽び泣くようなリード・ギターとストリングスが胸に迫る隠れた屈指の名曲「Winter」、そして南国の熱気が漂うサイケデリックな「Can You Hear The Music」まで、アルバム全体を覆う妖艶でスリージーな魅力は、70年代ストーンズの円熟とダークな深みを雄弁に物語っている。
トラックリスト
- A1 Dancing With Mr. D. 4:52
- A2 100 Years Ago 4:00
- A3 Coming Down Again 5:55
- A4 Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) 3:27
- A5 Angie 4:31
- B1 Silver Train 4:25
- B2 Hide Your Love 4:10
- B3 Winter 5:30
- B4 Can You Hear The Music 5:32
- B5 Star Star 4:25
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Rolling Stonesは、1962年にロンドンで結成されたイングランドのロック・バンドだ。ブルースやR&Bを揺るぎない根底に置きながら、ロックンロ...
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