The Doors - The Soft Parade (1969)
The Doors『The Soft Parade』
The Doorsの4作目のスタジオ・アルバム『The Soft Parade』は、1969年7月18日にElektraから発売された。収録曲の作者が初めて個別にクレジットされた作品でもあり、ロビー・クリーガーとジム・モリソンがそれぞれ曲を書いている。レコーディングはロサンゼルスのElektra Sound Recordersで行われ、内袋には歌詞インサートが付属した。
制作背景と録音の経緯
前作『Waiting for the Sun』がバンド唯一の全米1位アルバムになった一方で、過酷なツアーのために新曲を書く時間が足りず、モリソンのノートにあった曲も使い切っていたという。モリソンは酒に溺れ、不安を抱え、関心が詩や映画づくりへ移っていたともされる。脱退も考えたが、レイ・マンザレクに説得され、まずこのアルバムを完成させる流れになった。
録音は1968年7月26日の「Wild Child」と「Wishful Sinful」から始まり、11月にElektraのスタジオへ移って続けられ、完成は1969年5月までずれ込んだ。「Easy Ride」は前作セッションの残り。プロデューサーのポール・ロスチャイルドが主導権を取り、何度も録り直しを求めた。エンジニアのBruce Botnickは「ジムをその気にさせるのは歯を抜くようなものだった」と振り返っている。Elektra社長のジャック・ホルツマンも、完璧を求める姿勢がバンドをすり減らしていると懸念していたという。
制作費は約8万ドルで、デビュー作のおよそ8倍。ロスチャイルドはPaul Harrisにオーケストラ・アレンジを依頼し、ジャズのホーン奏者やセッション・ベーシストも加わった。Curtis Amyのテナー・サックス、George Bohanonのトロンボーンのソロも確認できる。タイトル曲「The Soft Parade」は「The End」「When the Music's Over」に続く長尺曲として組み立てられ、ロスチャイルドがモリソンの詩を歌詞の形にまとめるのを手伝った。
曲ごとの事情とシングル
本作では、収録曲の半分をクリーガー、半分をモリソンが書いた。きっかけは、クリーガー作の「Tell All the People」の歌詞をモリソンが最初は歌うのを拒んだことだった。共作は「Do It」のみ。「Touch Me」はクリーガーが1968年末に書いた曲で、当初は「Hit Me」という題だったが、モリソンが観客への挑発と受け取られることを心配して変更された。曲の最後でモリソンは洗剤Ajaxのテレビ広告のスローガンを叫んでいる。Curtis Amyのテナー・サックス・ソロについて、モリソンは1970年のDownbeatのインタビューで「ジャズのソロが入った最初のロックのヒット」だと誇らしげに語った。
先行シングルの「Touch Me」はBillboard Hot 100で3位、Cash Boxでは1位を記録し、バンド最後の全米トップ10ヒットになった。シングルは「Touch Me」が1968年12月、「Wishful Sinful」が1969年3月、「Tell All the People」が同年6月、「Runnin' Blue」が同年8月に出た。マイアミ事件以後に出たシングルはいずれもトップ40に届かず、「Wishful Sinful」は44位、「Tell All the People」は57位、「Runnin' Blue」は64位にとどまった。
1969年の文脈
制作中の1969年3月、マイアミのディナー・キー・オーディトリアムでの公演後にモリソンが逮捕され、本作を宣伝する夏のツアーは中止になった。発売後は、ホーンとストリングスを大きく取り入れたサウンドが一部のアンダーグラウンド・プレスや初期からのファンに受け入れられず、当時は「ロスチャイルド・ストリングスがドアーズを演奏する」と皮肉られたこともある。Rolling StoneのAlec Dubroは多くの曲を以前の作品の影と書き、Robert Christgauは「予想どおりの気取りはあるが、まずまず聴けるレコード」と評して「Touch Me」と「Wild Child」を挙げた。
アルバムはBillboard 200で6位、28週チャートイン。ElektraのUS盤としては、金/茶系ラベルを使った最後のLPでもあり、Allentownプレスの初回盤がその仕様だった一方、他のUSプレスは赤ラベルだった。
その後の扱い
評価はのちに少し持ち直したものの、モリソン在籍時のThe Doors作品では最も弱いアルバムと見なされることが多い。AllMusicのRichie Unterbergerも同様の見方を示しつつ、「Touch Me」は評価している。Rock and Roll Globeは50周年の記事で、発売当時は「当惑させる」作品だったが、半世紀を経てファンの「愛着」が生まれていると書いた。2009年の40周年記念盤ではタイトル曲の9分41秒を超える長尺版が追加され、2019年の50周年デラックス・エディションではオーケストラ・アレンジを外した「ドアーズだけ」のミックスも作られた。
トラックリスト
- A1 Tell All The People 3:24
- A2 Touch Me 3:15
- A3 Shaman's Blues 4:45
- A4 Do It 3:01
- A5 Easy Ride 2:35
- B1 Wild Child 2:36
- B2 Runnin' Blue 2:27
- B3 Wishful Sinful 2:56
- B4 The Soft Parade 8:40
動画プレイリスト
このアーティストについて
ドアーズ(The Doors)は、1965年にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで結成された伝説的ロック・バンドである。ジム・モリソン(ヴォーカル)...
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