Led Zeppelin - Led Zeppelin III (1970)
Led Zeppelin『Led Zeppelin III』
レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)が1970年10月に発表した通算3作目のスタジオ・アルバム『Led Zeppelin III』。前作『Led Zeppelin II』の爆発的な大ヒットと過酷な世界ツアーを経て、ハード・ロックの枠組みを超えたアコースティック・フォークやケルト伝統音楽への劇的な深化を果たし、バンドの底知れぬ音楽的ポテンシャルを決定づけた金字塔である。
制作背景・エピソード
多忙を極めたバンドは一時活動を休止。ジミー・ペイジ(Jimmy Page)とロバート・プラント(Robert Plant)は、電気も水道もないウェールズの山中にある18世紀のコテージ「ブロン・イ・アー(Bron-Yr-Aur)」へと隠遁し、アコースティック・ギターを手に新たな楽曲の構想を練り上げた。
その後、ハンプシャー州の邸宅ヘッドリィ・グランジ(Headley Grange)にローリング・ストーンズの移動式スタジオを持ち込んでセッションを敢行し、ロンドンのオリンピック・スタジオやアイランド・スタジオで録音を仕上げた。ジョン・ポール・ジョーンズがマンドリンやダブル・ベース、ハモンド・オルガンを駆使して音響の陰影を深め、ジョン・ボーナムのダイナミックなドラミングとともに唯一無二のアンサンブルを構築した。
時代の文脈とサウンドの二面性
1970年は、ハード・ロックが確立されると同時に、英国伝統のフォーク・ロック・ムーヴメントが爛熟を迎えていた時代だった。ツェッペリンは力任せのヘヴィネスにとどまることを拒み、エレクトリックとアコースティックの鮮やかなダイナミズムをアルバム両面に対比させた。
A面冒頭の「Immigrant Song(移民の歌)」は、アイスランド公演の体験から生まれた反復リフとプラントの雄叫びが轟く先駆的ハード・ロック。一転してオリエンタルな緊迫感を放つ「Friends」、そしてスタジオほぼ一発録りで挑んだ長尺ブルース「Since I've Been Loving You(貴方を愛しつづけて)」では、ペイジの壮絶なギター・ソロとプラントの魂の絶唱が聴く者を圧倒する。
B面では一転して穏やかなアコースティック・サイドが展開され、伝承歌を鮮烈に翻案した「Gallows Pole」、叙情的な名曲「Tangerine」、繊細なフォーク・バラード「That's The Way」、愛犬ストライダーに捧げられた軽快なピッキングが弾む「Bron-Y-Aur Stomp」、そして敬愛するフォーク歌手ロイ・ハーパーへのオマージュ「Hats Off To (Roy) Harper」に至るまで、滋味あふれる英国的叙情美が満ち溢れている。
後世への影響とアートワーク
アーティストのザクロン(Zacron)が手掛けた、外ジャケットの穴から回転式円盤(ヴォルヴェル)のサイケデリックなコラージュが見え隠れする画期的なギミック・スリーブも大きな話題を呼んだ。アルバムは全英・全米ともに堂々のチャート1位を獲得。
発売当初は従来のハード路線を求めていた批評家を戸惑わせたものの、本作で確立された「ヘヴィとアコースティックの完璧な融合」は、次作の世界的名盤『Led Zeppelin IV』や「Stairway to Heaven(天国への階段)」を生み出す決定的な布石となった。今日ではツェッペリンの芸術的成熟を証明する最高傑作の一つとして、世界中で揺るぎない評価を獲得している。
トラックリスト
- A1 Immigrant Song 2:26
- A2 Friends 3:55
- A3 Celebration Day 3:29
- A4 Since I've Been Loving You 7:25
- A5 Out On The Tiles 4:04
- B1 Gallows Pole 4:58
- B2 Tangerine 3:12
- B3 That's The Way 5:38
- B4 Bron-Y-Aur Stomp 4:20
- B5 Hats Off To (Roy) Harper 3:41
動画プレイリスト
このアーティストについて
レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)は、1968年にロンドンで結成された英国のロック・バンド。ジミー・ペイジ(ギター)、ロバート・プラント(ヴォ...
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