Tryad - ... If Only You Believe In Lovin' (1972)
Tryad『... If Only You Believe In Lovin'』
Tryadは、ジム・ラスコ、ジェシー・ランジロッティ、ノーリン・ライオンズの3人組としてニューヨークで活動し、『... If Only You Believe In Lovin'』を残したグループ。作品は1972年のStorm King盤として知られ、のちに2017年にDel Valから再発された。ライナーには、バッファロー・ディック・バーチが「彼らの最初の試み」としてこの作品を紹介しており、個人的で誠実な歌詞とコーラスの結びつきに触れている。
制作背景と録音の輪郭
録音はAssociated Recording Studiosで行われ、ジム・ヤングがプロデューサー兼アレンジャーとして関わった。リリースノートでは、全曲の出版社がSun Sign Music(ASCAP)とされ、アレンジもジム・ヤングとTryadの連名。参加ミュージシャンとしては、マイク・オキシオス(ベース)、ジョージ・デイヴィス(キーボード)、ケヴィン・ペロー(フルート)、スティーヴ・ムッソ(ドラム)、ウォルト・レダー(ペダル・スティール)が挙がっている。曲ごとに編成の差があり、「Eulogy/Raga」ではフルートや鍵盤が前に出る構成が語られている。
この盤は、制作上のトラブルで実際の発売が2017年まで遅れた再発盤でもある。オリジナルの1972年盤と、のちの再発盤では流通の経緯が大きく異なる。
時代の文脈
作品は1971年の私家盤として出たとされ、1972年の米国フォーク/サイケデリックの文脈に置かれている。評価者のあいだでは、英国フォーク・ロックの繊細さと、米国のカントリー・ロック、アシッド・フォークの要素が同居する作品として扱われている。ニューヨークで録音された一枚でありながら、西海岸的な響きもあると評される点も、この盤の特徴として挙げられている。
Tryadのキャリアはこの1枚に集約されており、70年代初頭の私家盤フォークの中で埋もれた作品として再発見されてきたタイプのレコード。主要チャートでの実績は確認されていない一方、再発市場ではオリジナル盤が高額なレア盤として扱われている。
聴きどころとして語られている点
リスナーや批評家は、男女混声のハーモニー、控えめで温かい歌声、自然な音色のエレクトリック・ギター、ペダル・スティールの使い方を挙げている。Byron Coleyは、この作品に「低い温度感のある親密さ」と早いベイエリア系サイケの気配を見ている。Richard Falkは「British-style acid-folk」として「Eulogy/Raga」を特に高く評価し、全体については素朴でメロディアス、控えめで幽玄な作品と述べている。別の評では、曲によってはカントリー寄りに傾き、終盤でプログレ的な展開が出る点も触れられている。
Tryad『... If Only You Believe In Lovin'』は、録音場所、参加者、編成の変化、そして再発までの経緯がはっきり残っている一枚。1972年盤としての姿と、2017年再発盤としての流通史、その両方がこのレコードの輪郭を形づくっている。
トラックリスト
- A1 I'm Wonderin' How I Ever Got That Way
- A2 Columbia Tavern
- A3 Uptown Suburb Alley
- A4 The Coming Time Of Gone
- A5 Something Sweet In Dying
- B1 Country Way
- B2 Spider Song
- B3 Don't Talk To Strangers
- B4 Northern Journey
- B5 Eulogy/Raga