Vanilla Fudge - Rock & Roll (1969)
Vanilla Fudge『Rock & Roll』
Vanilla Fudgeが1969年に発表した5作目のアルバム『Rock & Roll』は、同年9月にリリースされた作品。バンドは「You Keep Me Hangin’ On」の大仰で重い解釈で注目を集めた経緯があり、このアルバムでも既存曲をVanilla Fudge流に組み替える姿勢が続いている。初期成功を支えたプロデューサー、Shadow Mortonの関与もこの時期の重要な要素として挙げられている。
制作背景と録音
収録曲のクレジットでは、A1、A2、A4、B1がCotillion-Vanilla Fudge, BMI、A3がScreen Gems-Columbia, BMI、B2がUnited Artists, ASCAP、B3がGood Songs, BMIとされている。アレンジは「Lord In The Country」の冒頭に入るファンファーレだけがCharles Morrowの担当で、それ以外はVanilla Fudge名義。録音はニューヨークのAtlantic Recording Studiosで行われた。ジャケット表記には、ステレオ録音であることと、RIAAの高域ロールオフ特性を500 cycle crossoverで考慮するよう案内がある。1969年当時のAtlantic/ATCO系のリリースらしい、細かな再生条件への言及も残っている。
レーベル表記はATCO Records、カタログ番号はSD 33-303。ラベルにはCTHのマトリクス・サフィックスが見られ、プレス工場コードの運用が反映されている。ATCOはAtlantic傘下のレーベルとして始まり、のちにさまざまな再編を経るが、この盤はそのATCO名義のオリジナル期の一枚。
時代の文脈
1969年は、ロックの音像がサイケデリックからより重い方向へ移っていく時期だった。Vanilla Fudgeは、ソウルやポップの既成曲を引き伸ばし、オルガン主体の重量感で聴かせる独自のスタイルを築いてきたバンドで、『Rock & Roll』はその路線がまとまったかたちで出た作品として扱われている。資料では、本作はバンド初の“完全なオリジナル志向”ではなく、既存曲をVanilla Fudge流に再構築したコレクションとされている。
また、前作『Near the Beginning』が1969年初頭に出ていたこともあり、同年のうちに本作が登場するまでにバンド内のまとまりが崩れていた、という回顧もある。そうした状況のなかで、彼らの作業は「究極のアルバム」を目指すような制作姿勢と結びつけて語られている。
評価とその後
本作はBillboardアルバム・チャートで最高34位を記録した。大きなヒット曲を前面に押し出した盤というより、Vanilla Fudgeの作品群の中で、カバーを重く再構成する手つきがまとまって残された一枚として見られている。AllMusicは本作を、オリジナル曲とカバーが混在する、重く沈んだ印象のアルバムとして扱い、評価は厳しめ。いっぽうで、The Quietus系の紹介では、Vanilla Fudgeの「すべての音を巨大化させる」ようなアプローチの延長線上にある作品として触れられている。
直接的な大ヒット曲の遺産よりも、Vanilla Fudge全体の影響が先に語られることが多い作品でもある。重厚なアレンジによるカバーの作法は、後のハードロックやヘヴィメタルの発想に影響したとみなされている。
トラックリスト
- A1 Need Love 4:57
- A2 Lord In The Country 4:30
- A3 I Can't Make It Alone 4:45
- A4 Street Walking Woman 6:00
- B1 Church Bells Of St. Martins 4:40
- B2 The Windmills Of Your Mind 8:52
- B3 If You Gotta Make A Fool Of Somebody 6:00