Zombi - Cosmos (2004)
Zombi 2004

Zombi - Cosmos (2004)

Electronic Rock Prog Rock

Zombi『Cosmos』について

米ピッツバーグのデュオ、Zombiが2004年に発表した1stフルレングスが『Cosmos』だ。メンバーはSteve MooreとA.E. Paterra。ベース、シンセサイザー、ドラムを軸にした編成で、ホラー映画音楽、クラウトロック、プログレッシブ・ロックの要素を組み合わせたインストゥルメンタル作品として知られている。ここでの音は、ギター主体のロックというより、シンセの推進力とドラムの反復で組み上げた組曲的な流れが中心。ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはProg Rockとなっているが、その中身はかなり明確にZombi独自の設計になっている。

バンドの背景と『Cosmos』の位置づけ

Zombiは2001年、米ピッツバーグで結成された。二人ともメタルやノーウェイヴのシーンに関わってきた人物で、バンド名はジョージ・A・ロメロの映画『ゾンビ』のイタリア公開題に由来する。Steve Mooreがモンロービル出身という土地の縁も、この名前に結びついている。そうした背景を踏まえると、『Cosmos』は単なるデビュー作ではなく、彼らが持っていた映画音楽への関心と、プログレ由来の構成感を最初にまとまった形で提示した作品として見ておきたい。

このアルバムは、セルフタイトル作とEP『Twilight Sentinel』に続く1stフルレングスとして2004年にRelapse Recordsから登場した。のちの作品でさらに発展するZombiの基本線、つまりヴィンテージ・アナログシンセを前面に出した音作りと、長尺でも流れを切らない構成が、この時点ですでに固まっている。使用機材も1980〜85年製のアナログシンセに限定されており、音色の選び方に一貫性がある。

収録曲とコンセプト

『Cosmos』は各曲に星座名を配した構成で統一されている。収録曲はOrion、Cetus、Cassiopeia、Serpens、Andromeda、Gemini、Taurus。タイトルだけでも宇宙的な統一感が強く、曲順そのものがひとつの連作のように機能している。個々の曲は独立した楽曲でありながら、テンポや音色の連結で自然に次へ移っていく作り。アルバム全体でひとつの航路をたどる感覚がある。

批評面では、GoblinとSynergyが結びついたような音像と評された。実際、ホラー映画由来の緊張感と、シンセ主導のメカニカルな推進力が同居していて、そこにKing CrimsonやGenesis系のプログレ的な展開が重なる。とはいえ、過度に装飾的な方向には振れず、リズムの反復と音色の切り替えで場面を作るタイプ。派手なメロディを前に出すより、低音のうねりとシンセの層で空間を組み立てる印象が強い。

2007年盤について

今回の盤は2007年にAesthetic Recordsから出たUS盤の再発で、型番はAES001。Aesthetic Recordsはフィラデルフィアのヴァイナル・レーベルで、このリリースは限定1000枚プレスだった。内訳は、Glow in the Dark with a Blue Splatterが100枚、Glow in the Darkが200枚、Black 180gが700枚。オリジナルの2004年盤を踏まえつつ、コレクタブルな仕様を持たせた再発盤という位置づけになる。

録音は、ドラムがPittsburghのEl Studioで2003年11月、その他の楽器がNightmare City Studiosで同じく2003年11月に録られている。制作時点でのバンドの拠点がピッツバーグであることもはっきりしていて、ローカルな環境で組み上げた作品という輪郭が見える。大きなスタジオ作品というより、メンバーの機材運用と演奏感で押し切るタイプの記録として読むと、しっくりくる。

聴こえてくるもの

この作品でまず目立つのは、シンセの音色が単なる飾りではなく、楽曲の骨格そのものになっている点だ。ベースとドラムが土台を作り、その上にシンセが旋律と効果音の両方を担う。結果として、ロック・バンドの推進力と電子音楽の冷たさが同じフレームに収まっている。曲が進むにつれて、場面転換のたびに音の温度が変わる感じがあり、映画音楽的な連想も自然に立ち上がる。

Zombiの後年の評価を考えると、『Cosmos』は出発点としてかなり重要な一枚だ。ここで示されたホラー映画音楽への視線、プログレの構成感、シンセ主導の演奏スタイルは、そのまま彼らの核になっていく。2007年のAesthetic盤は、その初期像をアナログ盤として手元に置ける形にした再発であり、オリジナル盤とは別の意味で作品の輪郭を見せる存在になっている。

トラックリスト

  1. A1 Orion
  2. A2 Cetus
  3. A3 Cassiopeia
  4. B1 Serpens
  5. B2 Andromeda
  6. C1 Gemini
  7. C2 Cosmos
  8. D Taurus

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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