Acqua Fragile - Mass-Media Stars (1974)
Acqua Fragile『Mass-Media Stars』について
Acqua Fragileの『Mass-Media Stars』は、1974年に発表されたイタリア産プログレッシブ・ロックの2作目である。出身はパルマ。1970年代前半のイタリアン・プログレの中でも、英語詞を一貫して使ったグループとして知られている。前作『Acqua Fragile』で築いた方向性を引き継ぎつつ、演奏のまとまりや構成の練り込みがさらに前に出た作品として扱われている。
この日本盤は1979年にSeven Seasから出たもの。オリジナルの1974年盤とは時期が離れており、国内向け再登場の意味合いが強い。ジャケットはシングル・スリーブで、日本語歌詞インサート付き。帯には「European 2 Rock Collection 1800」、裏帯には同シリーズの別タイトルが並ぶ仕様で、当時の日本盤再発らしい作りになっている。
バンドの位置づけ
Acqua Fragileは、Bernardo Lanzetti、Gino Campanini、Piero Canaveraを中心に1971年に結成された。そこへFranz DondiとMaurizio Moriが加わり、PFMに見出されてデビューした経緯がある。つまり本作は、イタリアのプログレ・シーンの中でも、PFM周辺の人脈と近い場所で生まれたアルバムである。
バンドはこのあと変動を重ねるが、『Mass-Media Stars』は初期の編成で残した2枚目のスタジオ作という位置づけになる。Bernardo LanzettiがのちにPFMへ移る前の録音でもあり、彼の英語詞ボーカルの質感がはっきり記録された作品でもある。
音の印象
聴き進めると、まず歌とアンサンブルのバランスが目につく。英語詞の発音やフレージングが、当時のイタリア勢の中でもかなり自然に機能していて、曲の流れを止めない。ヴォーカルが前に出る場面でも、ギター、ベース、キーボード、ドラムが細かく動いていて、単なる伴奏に収まらない。
演奏面では、メロディを押し出す部分と、間を使って展開を変える部分の切り替えが多い。リフで進める箇所、静かな入りから厚みを増す箇所、合奏で押し切る箇所がはっきり分かれていて、イタリアン・プログレらしい組曲的な感覚がある。派手な技巧だけを見せるタイプではなく、曲の構造そのものを聴かせる作りである。
同時代の比較で見ると、PFMの洗練された構成感、Banco del Mutuo Soccorsoの重心の低さ、Le Ormeの鍵盤主体の流れとは少し違い、Acqua Fragileは英語詞の扱いとバンド全体の均衡が特徴になる。重厚さだけで押すのではなく、歌の輪郭を保ったまま展開していく点が本作の個性になっている。
作品の評価と背景
『Mass-Media Stars』は、当時の大きなヒット作として語られるタイプではないが、後年の再評価はかなり強い。資料によっては前作以上とみなされることもあり、イタリアン・プログレの隠れた名盤として扱われている。Bernardo Lanzetti自身も、かなり後になってこのアルバムを聴き直し、完成度の高さに驚いたという趣旨の発言を残している。
また、この作品はイタリア国内だけでなくアメリカでも発売されている。PFMが海外で注目を集めていた流れの中で、Acqua Fragileもその周辺の英語詞バンドとして国際的な流通に乗った形である。イタリアン・プログレの中では、こうした英語詞路線が海外展開と相性を持っていた。
日本盤としての見どころ
1979年のSeven Seas盤は、1974年のオリジナルを日本で改めて聴ける形にした一枚である。ジャケットや帯のシリーズ表記からも、当時の日本で欧州ロックを体系的に紹介しようとする流れが見える。音楽内容そのものに加えて、こうした再発の文脈を含めて眺めると、Acqua Fragileが日本でどのように受け止められていたかも見えてくる。
『Mass-Media Stars』は、イタリアン・プログレの中でも英語詞、緻密な演奏、バンドのまとまりが前面に出たアルバムである。派手な代表曲だけで押す作品ではなく、アルバム全体の流れで聴くと輪郭がはっきりするタイプ。70年代前半のイタリア勢の中で、PFMと並べて語られることが多い理由も、この安定した構成にある。
トラックリスト
- A1 Cosmic Mind Affair 7:22
- A2 Bar Gazing 5:07
- A3 Mass-Media Stars 6:55
- B1 Opening Act 5:40
- B2 Professor 6:49
- B3 Coffee Song 5:57