England - The Last Of The Jubblies (Silver Edition) (1997)
England 1997

England - The Last Of The Jubblies (Silver Edition) (1997)

Rock Prog Rock Symphonic Rock

England『The Last Of The Jubblies (Silver Edition)』について

Englandは、イングランド南東部メイドストン出身のプログレッシブ・ロック・バンドで、1975年に結成された。オリジナル活動期は1970年代後半から1980年代初頭にかけてで、のちに2005年ごろ再編されている。そんな彼らの『The Last Of The Jubblies』は、バンドの歴史を追ううえでかなり重要な位置にある作品だ。初出は1997年で、2017年にはSilver Editionとしてドイツ盤が出ている。今回の盤は、埋もれていた録音を改めて整理し、より聴きやすい形で提示した再発盤という性格が強い。

作品の位置づけ

『The Last Of The Jubblies』は、一般的な意味での新作アルバムというより、1970年代半ばから後半にかけて残された未発表音源をまとめた編集盤に近い。『Garden Shed』の直後、バンドが自費でSurrey Sound Studiosに入って録音した素材が中心で、ほかの時期の録音も含まれている。後年の説明では、収録曲のうち4曲は1977年冬に次作候補として書かれたものとされており、残るトラックには1976年録音のものも混じっていた。つまり、当時のバンドがどんな方向を次に考えていたのかをたどれる資料的な意味合いが大きい。

Englandは、同時代の英国プログレの中でも、YesやGenesisのような大きな成功を収めたバンドとは少し違う立ち位置にいる。大作志向、組曲的な構成、シンフォニックな展開といった要素を持ちながら、商業的には広く流通したタイプではない。そのぶん、後年になってから発掘される未発表音源の価値が目立つバンドでもある。『The Last Of The Jubblies』はまさにその代表格で、ファンの間では「失われた2作目候補」として見られてきた。

Silver Editionの内容と特徴

2017年のSilver Editionは、2015年の『Garden Shed』Golden Editionと対になるような再発盤として位置づけられている。レーベルはドイツのNew Music - Green Treeで、品番はGTR 159-1。ゲートフォールド仕様のジャケットに、カラー印刷のLPスリーブが付属し、フロントにはシルバーのステッカーが貼られていた。℗ 1977 © 2016という表記からも、オリジナル時代の素材を現代の形で再提示する意図がはっきりしている。

この盤の大きな特徴は、ロバート・ウェッブ自身がオリジナル・マスターに戻ってリマスターを行っている点だ。単に古い音源をそのまま並べた再発ではなく、音の輪郭を整え直したうえで出し直した盤、と見るのが自然だろう。さらに、未発表2曲に加えて2006年の東京公演の抜粋も収録されている。過去のスタジオ音源だけでなく、再編後の演奏も含めることで、バンドの長い時間軸を1枚に収めた構成になっている。

聴きどころとして見えてくるもの

実際に耳を通すと、Englandの持ち味は大げさな装飾よりも、曲の進行そのものにあることがわかる。鍵盤を軸にした展開、メロディの置き方、曲中でのパート切り替えなど、英国プログレの文法がきちんと残っている。派手なヒット曲で押す作品ではないが、曲ごとの構成を追っていくと、当時のバンドがかなり丁寧にアレンジを組み立てていたことが伝わる。

また、この作品は『Garden Shed』の延長線上で聴くと輪郭がつかみやすい。先行作で示された音楽性を、未発表曲という形でさらに掘り下げたもの、と考えられるからだ。1970年代英国プログレの流れの中では、Camel、Gentle Giant、Caravan、そして初期YesやGenesisの一部作品と並べて語られることがある。とはいえ、Englandはあくまで自分たちの曲作りを保っていて、同系統のバンドに比べても、後から資料的に評価が積み上がったタイプのグループだと言える。

総括

『The Last Of The Jubblies (Silver Edition)』は、ヒット作としてではなく、バンドの制作過程と残された録音を確認できる記録として見ると価値が分かりやすい。1970年代に書かれた曲、未発表のまま残っていた素材、再編後の演奏が同居しているため、Englandというバンドの時間の重なりがそのまま入っている。2017年盤は、そうした音源を整え直した再提示版であり、オリジナル期の空気を今の環境でたどれる一枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 Creepin' Instrumental 6:32
  2. A2 A One-Legged Day Tale 8:58
  3. A3 Tooting Bec Rope Case 8:41
  4. A4 Mister Meener 3:35
  5. B1 Ridge Farm 8:24
  6. B2 Flying Saucers 5:24
  7. B3 Sausage Pie 5:14
  8. B4 Hotel 'Live' (Extract) 6:48

動画プレイリスト

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Prog Rock"

toast