Average White Band - AWB (1974)
Average White Band『AWB』(1974) レビュー
スコットランド出身のAverage White Bandが1974年に発表したセカンド・アルバムが、この『AWB』である。タイトルは簡潔だが、内容はかなり明快だ。ファンク、ソウル、R&Bの要素を強く前面に出しながら、演奏の切れ味とグルーヴの粘りで押し切る作品で、バンド名を一気に広めた重要作として扱われている。アリフ・マーディンのプロデュースのもと、1973年12月から1974年5月にかけてニューヨークのアトランティック・スタジオとマイアミのクライテリア・サウンド・スタジオで制作された。
白人バンドがブラック・ミュージックの中心に入った作品
Average White Bandは、スコットランドのミュージシャンたちによるR&B/ソウル・グループ。メンバーの多くがスコットランド各地の出身で、当時のアメリカのソウル/ファンク文脈にそのまま入り込んだ点がまず面白い。本作は、白人バンドでありながらブラック・ミュージックのチャートで強く支持されたことでも知られる。実際、当時は演奏者を黒人グループと受け取ったラジオ局もあったとされる。
その背景には、単に「ソウルっぽい」だけではない演奏の精度がある。ホーン・アレンジ、リズム・セクションの推進力、ギターのカッティング、ベースの細かなうねりがきれいに噛み合っていて、音の隙間が少ない。聴感上は派手さよりも、演奏のまとまりとノリの持続で引っ張るアルバムだ。
代表曲「Pick Up The Pieces」の存在感
このアルバムを語るうえで外せないのが「Pick Up The Pieces」だ。ほぼインストゥルメンタルのこの曲は、先行シングルとして全米シングルチャート1位を獲得した。ファンク・バンドの演奏力をそのままヒットに結びつけた曲で、ホーンのフレーズが前に出る構成と、リズムの食い込み方がはっきりしている。歌がなくても成立するというより、歌がないからこそ、バンドの骨格がそのまま聴こえるタイプの楽曲だ。
アルバム全体も、この曲の延長線上にある。曲ごとの表情は違っても、グルーヴの作り方に統一感があるため、1曲だけが突出するというより、作品全体で押してくる印象が強い。Billboard 200とR&Bアルバムチャートの両方で1位を記録したのも、このまとまりの強さが大きい。
サウンドの特徴と聴きどころ
実際に聴くと、まずホーン隊の輪郭がかなりはっきりしている。Roger BallやMalcolm Duncanらの管楽器が、単なる飾りではなくリズムの一部として機能しているのがわかる。そこにAlan GorrieのベースとHamish Stuartのギターが重なり、Onnie McIntyreのギターも加わって、細かい刻みが前へ進む。ドラムはレコードの推進力そのもので、曲のテンポ感を支えながら、ファンク特有の「止まりそうで止まらない」感じを作っている。
また、録音はアトランティック・スタジオとクライテリア・サウンド・スタジオで行われており、都会的な輪郭と、南部ソウルに近い厚みが同居している。アリフ・マーディンの関与も大きく、音の整理がよく効いている。荒く押すのではなく、各パートの役割が見えやすい作りだ。
アーティストにとっての位置づけ
『AWB』は、Average White Bandにとって実質的なブレイク作として見られることが多い。前作で示した方向性を、アメリカ市場で大きく拡張した作品であり、バンドの代名詞となるサウンドを確立した一枚でもある。以後の活動を考えると、このアルバムで得た認知度と評価が、グループの基盤になったのは間違いない。
なお、本作のオリジナルUS盤はAtlanticのSD 7308で、Monarchプレスの初回盤にはWarner Communicationsロゴがラベルの縁に入っていない仕様がある。1974年の盤としては、のちの再発盤と比べて初期プレスならではの表記差を持つ一枚だ。こうした細部も、当時のAtlanticの流通や製造の空気をそのまま残している。
同時代の文脈
1970年代前半のファンク/ソウルは、シーンの中心にJames Brown系のリズム感、Sly & The Family Stoneのバンド感、Earth, Wind & Fireの洗練など、複数の流れがあった。その中でAverage White Bandは、英国出身という出自を持ちながら、アメリカのブラック・ミュージックの文法をかなり自然に吸収している。単なる模倣に寄らず、ホーンを軸にしたバンド・アンサンブルで勝負している点が、この作品の個性になっている。
『AWB』は、ヒット曲単体の強さだけでなく、バンドの演奏力とアレンジ力がアルバム全体を支える作品だ。ファンクの切れ味、ソウルの粘り、スタジオ作品としての整理された音像。その3つが、1974年という時代の空気の中で、きれいに結びついている。
トラックリスト
- A1 You Got It 3:38
- A2 Got The Love 3:52
- A3 Pick Up The Pieces 3:58
- A4 Person To Person 3:38
- A5 Work To Do 4:21
- B1 Nothing You Can Do 4:06
- B2 Just Wanna Love You Tonight 3:57
- B3 Keepin' It To Myself 3:52
- B4 I Just Can't Give You Up 3:24
- B5 There's Always Someone Waiting 5:38
動画プレイリスト
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) B4 I Just Can't Give You Up
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) B5 There's Always Someone Waiting
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) B3 Keepin' It To Myself
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) B2 Just Wanna Love You Tonight
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) B1 Nothing You Can Do
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) A5 Work To Do
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) A4 Person To Person
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) A3 Pick Up The Pieces
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) A2 Got The Love
-
Average White Band - 1974 - AWB (Jazz-Funk, Funk - (USA) A1 You Got It