Azitis - Help (1971)
Azitis『Help』
Azitisの『Help』は、サクラメント周辺で活動していたキリスト教系サイケデリック・バンドの作品で、オリジナルは1971年の録音、2015年にギリシャのMissing Vinylから初の公式リイシューとして出た盤。180グラムのブラック・ヴァイナル、シングル・スリーブ仕様で750枚限定という内容で、元盤の流通量が少なかった作品を改めて手に取れる形にした再発盤である。
制作背景・エピソード
Azitisは1966年ごろ、Don LowerとSteve Nelsonを中心に結成され、その後にDennis SullivanとMichael Welchが加わったとされる。もともとのバンド名は「Help」だったが、英国の同名バンドとの衝突を避けるため、アルバム完成前にAzitisへ改名したという。名前はマタイ伝の “as it is in heaven” に由来する説明がある。
録音は1969年に始まり、ヴァレーホのPavilion Studiosで制作された。バンド側は本作をロック・オペラ的な構想で考えていたが、完成盤では曲間にブレイクが挿入され、その点に不満を持っていたという証言が残る。また、録音中にSullivanが離脱したという話も流れたが、当事者はこれを否定している。
この作品は、サクラメントのローカル・レーベルElcoに結びついた一枚としても語られる。初回プレスは約1000枚で止まったという記述があり、当時から流通量の少ない盤だったようだ。
時代の文脈
『Help』は1971年の米西海岸におけるキリスト教サイケ、いわゆる“Jesus music”の文脈で扱われている。歌詞は創世記、堕落、審判、黙示録といった聖書的主題を追っており、宗教的な内容をサイケデリックな演奏に乗せた作品として紹介されてきた。
同時代の世俗サイケとは別の流れにありながら、Hammondオルガンやハーモニー、フォーク/カントリー寄りのギター、ファズやフェイズ処理を交えた演奏でまとめられている点が、各所で触れられている。Soul Strutはこれを “dark organ psych” と呼び、60年代ポップの感触もあると評した。Boing BoingのErik Davisは、オルガンと Byrds的なハーモニーが黙示録的な不穏さを生むとして、「The Prophet」「From This Place」を挙げている。
バンドはのちに再編されるが、『Help』は初期活動の集大成として見られている。商業的なヒット作ではなく、チャート実績も確認されていない。
後世への影響
後年はカルト的なChristian psychの代表盤として再評価され、2000年にはMODO系で再発され、ボーナストラック付きで流通した。直接的なカバーやサンプリングの例は見当たらないが、再発以降はChristian psychの重要盤としてたびたび言及され、アンダーグラウンド・サイケ史の参照点になっている。
2015年のMissing Vinyl盤は、その流れの中で出た初の公式再発。オリジナルの扱いにくさと、後年の再評価の両方を受け止める形で、再び流通した一枚である。
トラックリスト
- A1 Creation / Lord I Saw You Cry 6:09
- A2 There Is An Answer 3:43
- A3 Who Will Be 3:22
- A4 The Prophet 6:08
- B1 Time Has Passed 4:56
- B2 From This Place 3:27
- B3 Hope To Save 3:59
- B4 Judgement Day 4:45