Barbra Streisand - Lazy Afternoon (1975)
Barbra Streisand『Lazy Afternoon』(1975)
Barbra Streisandの『Lazy Afternoon』は、1975年のオリジナル・アルバム。前作『Butterfly』に対する反応を受けて、新しい制作陣と組み直した時期の作品で、通算17作目のスタジオ・アルバムにあたる。ポップ・シンガーとしての存在感はもちろん、舞台や映画でも実績を重ねていたストライサンドが、70年代半ばの大きな流れの中で自分の歌の置きどころを再確認した一枚として見ると、位置づけがつかみやすい。
制作のポイント
本作で中心になっているのは、当時まだ広く知られた存在ではなかったルパート・ホームズの起用。ホームズはアレンジャー、指揮、プロデュースを担い、ジェフリー・レッサーと共同プロデュースも行っている。ストライサンドはホームズの1974年作『Widescreen』を愛聴しており、そこから「Letters That Cross In The Mail」と表題曲「Widescreen」を本作に入れたいと自ら依頼したというエピソードが残る。さらにホームズは自作曲も提供し、ストライサンド自身が初めて作詞に関わった「By The Way」では共作という形になっている。
制作中には、ホームズが無名のプロデューサーとして緊張していたところ、ストライサンドが手書きのメモで励ましたという話も伝わっている。作品全体の構成だけでなく、作り手の関係性がそのまま盤の空気に反映されている印象がある。
音の印象
実際に通して聴くと、声の置き方がかなり明確だ。オーケストレーションや編曲が前に出る場面でも、ストライサンドの歌が埋もれにくい。Vocal、Balladという整理の仕方に収まる内容ではあるが、ただ柔らかいだけではなく、語尾の処理やフレーズの切り方に細かな強弱がある。大きく張る部分と、音数を抑えて言葉を置く部分の切り替えがはっきりしていて、スタジオ作品としての整理の良さが目立つ。
タイトル曲「Lazy Afternoon」は、このアルバムの核として扱われることが多い。ゆったりした時間感覚をそのまま写すような曲で、ストライサンドの声が前景に出ることで、曲の輪郭がくっきりする。「My Father's Song」はシングルとしても知られ、全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで11位を記録した。「Shake Me, Wake Me (When It's Over)」は別の方向の推進力を持ち、ディスコ/ダンス系チャートにも入っている。アルバムの中で役割の違う曲が並び、1枚の中に複数の表情を持たせている構成。
1975年当時の位置づけ
1970年代半ばのポップ/ヴォーカル作品は、ソウル、ソフトロック、アダルト・コンテンポラリー、ディスコの要素が近い距離で並んでいた時期でもある。その中で『Lazy Afternoon』は、流行の音を追いかけるより、歌い手の個性と編曲の精度で押し切るタイプの作品として聴こえる。ストライサンドが同時代の女性シンガーたち、たとえばキャロル・キングやリンダ・ロンシュタットのように、作家性や解釈力を軸にしたポップの文脈にいることも見えてくる。
批評面では前作より高く評価されたという流れがあり、Rolling Stoneのスティーヴン・ホールデンは、精巧なプロダクションに耐えるだけでなく、それを糧にできる稀有なアーティストだと評している。70年代のストライサンドが、単なる歌唱力の人ではなく、楽曲選びと作品設計でアルバムを組み立てる存在だったことを示す一作。
盤としての特徴
今回のUS盤はColumbiaのPCQ 33815。ラベルの価格コードからも70年代中盤のコロンビア盤らしい時代性が出ている。オリジナル盤はゲートフォールド仕様で、フロントには白文字で「Quadraphonic」の表記が入る。コロンビアにおける最後のクアドラフォニック盤でもあり、当時の多チャンネル再生の試みが残る点も興味深い。さらに、裏ジャケットには「Gold Demo Stamp」の入ったプロモ盤も存在する。
ジャケット裏のバーバラ自身のコメントも印象に残る。「ギターを学ぶために爪を切ったが、表の写真は6か月前に撮られたもの」という趣旨の一文で、作品の中身とは別に、当時の自分の見せ方まで管理していたことがうかがえる。
まとめ
『Lazy Afternoon』は、Barbra Streisandの歌を中心に据えながら、ルパート・ホームズの編曲・制作がしっかり輪郭を与えた1975年のアルバム。ヒット曲を含みつつ、全体としてはアルバム単位で聴かせる作りが強い。前作からの反動を受けて制作体制を変え、その結果としてより整理されたサウンドと、歌の密度が前に出た作品になっている。ストライサンドの70年代作品を追ううえで、ひとつの節目に置きやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 Lazy Afternoon 3:47
- A2 My Father's Song 3:52
- A3 By The Way 2:55
- A4 Shake Me, Wake Me (When It's Over) 2:53
- A5 I Never Had It So Good 3:35
- B1 Letters That Cross In The Mail 3:36
- B2 You And I 4:16
- B3 Moanin' Low 4:25
- B4 A Child Is Born 2:48
- B5 Widescreen 3:59
動画プレイリスト
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Lazy Afternoon (Album Version)
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My Father's Song (Album Version)
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By The Way (Album Version)
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Shake Me Wake Me (When It's Over) (Album Version)
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I Never Had It So Good (Album Version)
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Letters That Cross In The Mail
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You And I (Album Version)
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Moanin' Low (Album Version)
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A Child Is Born (Album Version)
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Widescreen (Album Version)