Donna Summer - Once Upon A Time... (1977)
Donna Summer『Once Upon A Time...』(1977)
Donna Summerの『Once Upon A Time...』は、1977年にUSのCasablancaから発表された2枚組アルバムで、彼女のディスコ時代を代表する作品のひとつだ。前年の『A Love Trilogy』、同じく1976年の『I Remember Yesterday』に続くコンセプト作で、今回はタイトルからして物語性が強い。内容もその印象どおりで、現代版シンデレラを下敷きにした4幕構成の組み立てになっている。単なるヒット曲集ではなく、アルバム全体を通してひとつの物語が進む作りが明確な作品だ。
ディスコ・オペラとしての構成
本作はしばしばディスコ史上初のダブルLPコンセプトアルバムとして語られる。Robert Christgauが「最初のディスコ・オペラ」と評したという話も、この作品の性格をよく表している。実際、トラックリストにはAct 1からAct 4までの区切りがあり、曲順そのものが演劇の幕構成に近い。Donna Summer、Giorgio Moroder、Pete Bellotteの共作による楽曲群は、ストーリーを追いながら進むため、1曲ごとの独立性だけでなく、アルバム全体の流れに重きが置かれている。
制作は1977年7月から9月にかけて、ミュンヘンのMusicland Studiosで行われた。Moroderが電子的なアレンジを担当し、Bob Estyが編曲を担っている。ディスコのリズムを土台にしつつ、シンセサイザーや反復の使い方に、当時のクラブ・ミュージックらしい推進力がある。聴感上も、踊るためのビートと、物語を語るための展開が同居しているのが特徴だ。
収録曲と代表曲
アルバムからは「I Love You」や「Rumour Has It」といったシングルが生まれた。「I Love You」は全英でTop10入りし、「Rumour Has It」も全英Top20に入っている。どちらもメロディの輪郭がはっきりしていて、Donna Summerの歌唱が前に出る曲だ。一方で、全米での存在感では前作の大ヒット「I Feel Love」ほどには届かなかった。それでも、アルバム全体の評価ではむしろこの作品の方が、Donna Summerの表現者としての幅を示している。
『Once Upon A Time...』は、Donna Summerにとって単発のヒット作ではなく、コンセプトを軸にしたアルバム作りの到達点のひとつとして置ける。ディスコ・シンガーという枠の中に収まらず、物語を持つ作品を成立させている点が大きい。後年のディスコやポスト・ディスコ、さらに長尺のダンス・トラックを志向する作品群を考えると、このアルバムが残した影響も小さくない。
チャート成績と評価
成績面では、全米Billboard 200で26位、R&Bアルバムチャートで13位、UKアルバムチャートで24位。Hot Dance/Discoチャートでは1位を記録し、RIAAではゴールド認定も受けている。イタリアでは1位を獲得しており、当時のディスコの国際的な広がりを示す記録になっている。1970年代後半のディスコは、ニューヨークやミュンヘンを中心にクラブ文化と強く結びついていたが、この作品はその中心にいたDonna SummerとMoroderの関係を、もっとも分かりやすく形にした一枚でもある。
同時代の比較でいえば、Giorgio Moroderの電子的な手つき、そしてDonna Summerの歌を前面に押し出す構成は、後のダンス・ミュージックの設計図に近い。Chicのようなファンク寄りの洗練とは異なり、こちらはドラマ性と反復の両方を強く持つ。だからこそ、単に時代のディスコ・ヒットとしてだけでなく、アルバム作品として語られる場面が多い。
USオリジナル盤の仕様
今回のUS盤はCasablancaのNBLP 7078。Gatefold sleeve仕様で、歌詞入りスリーブに収められている。盤はauto-coupledで、1枚目にA面とD面、2枚目にB面とC面が入る構成だ。Musicland Studiosで録音され、クレジットには「All compositions published by Rick's Music, Inc. (BMI)」とある。さらに、1977年のCasablanca Record and FilmWorks, Inc.表記も見えるため、レーベルの時代背景もそのまま刻まれている。
『Once Upon A Time...』は、Donna Summerのディスコ時代を語るときに外せない作品だ。ヒット曲の存在、物語性の強い構成、ミュンヘン録音の質感、そのすべてが1977年という年の空気を反映している。アルバム単位で聴くと、彼女が単なるシンガーではなく、コンセプトを担える表現者として扱われていたことがよく分かる一枚である。
トラックリスト
- Act 1
- A1 Once Upon A Time 4:02
- A2 Faster And Faster To Nowhere 3:34
- A3 Fairy Tale High 4:25
- A4 Say Something Nice 4:44
- Act 2
- B1 Now I Need You 6:09
- B2 Working The Midnight Shift 5:07
- B3 Queen For A Day 5:59
- Act 3
- C1 If You Got It Flaunt It 4:43
- C2 A Man Like You 3:34
- C3 Sweet Romance 4:31
- C4 (Theme) Once Upon A Time 0:48
- C5 Dance Into My Life 4:10
- Act 4
- D1 Rumour Has It 4:57
- D2 I Love You 4:43
- D3 Happily Ever After 3:51
- D4 (Theme) Once Upon A Time 3:48
動画プレイリスト
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Once Upon A Time
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Faster And Faster To Nowhere
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Fairy Tale High
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Say Something Nice
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Now I Need You
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Working The Midnight Shift
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Queen For A Day
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If You Got It Flaunt It
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A Man Like You
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Sweet Romance
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(Theme) Once Upon A Time (Instrumental)
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Dance Into My Life
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Rumour Has It
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I Love You
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Happily Ever After
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(Theme) Once Upon A Time