Bobby Caldwell - Cat In The Hat (1980)
Bobby Caldwell『Cat In The Hat』
ボビー・コールドウェルが1980年にCloudsから発表した2作目のアルバム。1978年の「What You Won't Do For Love」で全米トップ10に入ったあとに出た作品で、ソウル、ジャズ、ポップをまたぐコールドウェルの持ち味が、ここでも前面に出ている。アーティスト本人は歌だけでなくギター、キーボードも担い、作り手としての役割も大きい。
制作背景・エピソード
コールドウェルは1978年にTKと契約し、デビュー作からのヒットを受けてこのアルバムへ進んだ。『Cat In The Hat』では、シングル「Coming Down From Love」が先行して出され、R&Bチャート28位、全米42位を記録している。「Open Your Eyes」はコールドウェル、Bruce Malament、Norman Harrisの共作としてクレジットされている。
デビュー期のエピソードとしてよく語られるのが、TK側が白人のコールドウェルを黒人向けラジオに売り込むことをためらい、本人いわく「食パンより白い」顔をジャケットに出さない方針を取った件だ。コールドウェルは自分の写真をもとにシルエットのジャケットを手描きで用意したという。Natalie Coleのツアーで前座を務めた際、観客が最初は静まり返ったが、最後には受け入れたという話も残っている。
時代の文脈
当時のTKは、KC&ザ・サンシャイン・バンドなどディスコで知られたレーベルだったが、ディスコ疲れが広がる中で、Boz Scaggs「Lowdown」のような、R&Bにポップなアプローチを重ねた方向を求めていた。コールドウェルはその流れの中で登場した。
本作はデビュー作ほどの成功には届かず、コールドウェルはCloudsを2枚で離れることになる。TKもまもなく倒産へ向かい、コールドウェルはその後、ChicagoやBoz Scaggsへの楽曲提供でも活動の幅を広げていった。アメリカでは主に黒人リスナーに届いていた一方、日本では「Mr. AOR」と呼ばれ、別の受け止められ方をしていく。
後世への影響
このアルバムで特に後世への影響が大きいのはB面の「Open Your Eyes」。2000年、J・ディラがCommonの『Like Water for Chocolate』収録曲「The Light」でこの曲を大きくサンプリングし、「The Light」はグラミー賞にノミネートされるヒットになった。Wax Poeticsは、「Open Your Eyes」について、素直なドラムとスタッカートのピアノがモダン・ソウルの古典にしていると評している。その後はDweleやジョン・レジェンドにもカバーされている。
2023年3月にコールドウェルが71歳で亡くなったあと、本作は長く廃盤だった状態を経て、Be With Recordsからアナログ再発された。再発時の紹介では、冒頭の「Coming Down From Love」の転がるようなファンキーなピアノがスティーリー・ダンやドゥービー・ブラザーズに比べられ、「To Know What You've Got」には「What a Fool Believes」の気配があるとされている。「Mother Of Creation」をアルバム中の推し曲に挙げる声もある。
アルバムは全米113位、R&Bアルバム・チャート46位を記録している。
トラックリスト
- A1 Coming Down From Love 4:01
- A2 Wrong Or Right 4:56
- A3 To Know What You've Got 3:08
- A4 You Promised Me 4:01
- B1 It's Over 2:56
- B2 Open Your Eyes 3:43
- B3 Mother Of Creation 5:05
- B4 I Don't Want To Lose Your Love 4:35
動画プレイリスト
このアーティストについて
Bobby Caldwell(ボビー・コールドウェル)は、1940年代末から70年代、80年代のソウル/AORシーンで存在感を残したアメリカのシンガー、ソングライタ...
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