The Trammps - The Legendary Zing Album (1975)
The Trammps『The Legendary Zing Album』
映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の「Disco Inferno」などで知られるディスコ界最強のソウル・グループ、ザ・トランプス(The Trammps)。1975年にブッダ・レコード(Buddah Records / BDS 5641)からリリースされた『The Legendary Zing Album』は、彼らが世界的な大ブレイクを果たす契機となった初期名作群(1972年〜1975年)をまとめた歴史的アルバムである。フィラデルフィアの名門シグマ・サウンド・スタジオで録音され、「ディスコ・ミックスの父」と称される伝説のリミキサー、トム・モールトン(Tom Moulton)が全面ミックス("A Tom Moulton mix")を担当した。
制作背景・エピソード
グループの母体は、1960年代に活動していたザ・ヴォルケイノズ(The Volcanos)に遡る。バンドの心臓部を担ったのは、MFSBのドラマーとして4つ打ちバスドラムとオープン・ハイハットによる「ディスコ・ビート」を確立した張本人アール・ヤング(Earl Young)。トランプスにおいてヤングはドラムのみならず、重厚なベース・ボーカルを担当。そこにリード・シンガーであるジミー・エリス(Jimmy Ellis)の魂を焦がすようなハスキーなゴスペル・シャウトが絡み合う独自のボーカル・スタイルを確立した。
さらに本作は、世界で初めてシームレスなダンス・ミックスや12インチ・シングルを生み出したトム・モールトンが手掛けた最初期の記念碑的仕事としても知られ、B面には彼に捧げられたインスト「Tom's Song」も収録されている。
時代の文脈とサウンド
1970年代半ばは、フィリー・ソウルの優美なオーケストレーションがニューヨークのアンダーグラウンド・クラブで熱狂的に支持され、モダン・ディスコへと結実していった変革期。ベイカー=ハリス=ヤング(Baker-Harris-Young)が生み出す躍動的なビートと、シグマ・サウンドの芳醇なストリングス/ホーンは、まさにディスコ・ムーヴメントの設計図となった。
アルバム冒頭のメドレー「Penguin At The Big Apple / Zing Went The Strings Of My Heart」は、1930年代のスタンダードを疾走感あふれるディスコ・ソウルへと再構築したキラー・トラック。ジミー・エリスの燃えるようなシャウトとアール・ヤングの超低音の掛け合い、そしてモールトンによる長尺フロア仕様の展開が圧巻のグルーヴを生んでいる。また、哀愁漂う美メロが胸を打つ「Hold Back The Night」は全米Hot 100で35位(R&Bチャート10位、全英5位)のビッグ・ヒットを記録し、後に英国のグラハム・パーカー&ザ・ルーモアがカバーしたことでも知られる。
後世への影響
本作の楽曲は、後世のヒップホップ/R&Bシーンにも計り知れない影響を与えた。B面に収められたファンキーな名曲「Rubber Band」は、2005年にザ・ゲーム(The Game feat. 50 Cent)が放った世界的ヒップホップ・アンセム「Hate It or Love It」で印象的なループとしてサンプリングされ、メアリー・J・ブライジの「MJB Da MVP」でも引用されるなど、サンプリング・クラシックとして定着している。
フィリー・ソウルの熱いボーカル・アンサンブルと、黎明期のディスコ・ビートがもっとも生々しく幸福に結びついた金字塔的一枚である。
トラックリスト
- Penguin At The Big Apple / Zing Went The Strings Of My Heart (Medley) 4:52
- A2 Pray All You Sinners 5:24
- A3 Sixty Minute Man 4:54
- A4 Scruboard 3:12
- B1 Tom's Song 3:14
- B2 Rubber Band 5:14
- B3 Hold Back The Night 3:54
- B4 Penguin At The Big Apple 3:24
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Trammpsは、アメリカ・フィラデルフィア出身のディスコ/ソウル・ヴォーカル・グループだ。1960年代にThe Volcanosとして活動を始め、その後The M...
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