Earth, Wind & Fire - Faces (1980)
Earth, Wind & Fire『Faces』
Earth, Wind & Fireの『Faces』は、1980年10月14日にARC/Columbiaから出た10作目のスタジオ・アルバム。15曲入りの2枚組で、見開きジャケットとポスターが付く。プロデュースはモーリス・ホワイト。録音は1980年3月から夏にかけて進み、ロサンゼルス周辺のGeorge Massenburg Studios/ARC、Davlen Sound Studios、Wally Heider/Filmways、Royce Hallに加えて、モントセラトのAIR Studiosでも行われた。
制作背景・エピソード
モーリス・ホワイトは自伝で、リズム・セクションと外部のソングライター数人、そしてエンジニアのジョージ・マッセンバーグを連れてモントセラトへ渡ったと振り返っている。1973年のカリブー・ランチでの録音がひとつの転機になったことを踏まえ、人里離れた島での録音がバンドの新たな出発になることを期待したが「そうはならなかった」とし、1980年には成功に伴う問題もすでに抱えていたと書いている。本作については「グローバルな音楽的アプローチ」と述べ、『All 'N All』のポリリズム、『I Am』の音質、バンドの演奏力を合わせたものとして位置づけている。見開きジャケットにはさまざまな人種の人々の顔が並び、「私たちはみなひとつ」という考えを表している。
作曲にはメンバーのほか外部の作家も加わり、ブレンダ・ラッセルは「You」「And Love Goes On」「Song In My Heart」を共作、デヴィッド・フォスターも「You」「And Love Goes On」に名を連ねている。
ホーン・アレンジは主にジェリー・ヘイ、ストリングス・アレンジは主にデヴィッド・フォスターが担当。Paulinho da Costa、Jerry Peters、Garry Glenn、Chuck Findley、Lawrence Williamsらもクレジットされている。さらに、TOTOのスティーヴ・ルカサーが「Back On The Road」と「You Went Away」でギターを弾き、フレッド・ウェズリーがトロンボーンで参加、Dorothy Ashbyはハープを担当している。「Back On The Road」はアル・マッケイとモーリス・ホワイトの共作でもある。
なお、クレジットにはJeff Claytonがトロンボーン奏者として記載されているが、実際にはサックスを演奏していたとされている。
時代の文脈
前作『I Am』は全米3位、ダブル・プラチナを記録し、「Boogie Wonderland」「After the Love Has Gone」がヒットした。それに対して『Faces』は全米10位、ゴールド認定にとどまった。モーリス・ホワイトは自伝で、50万枚という売上をバンドにとって大きな失望だったと記している。先行シングル「Let Me Talk」についても、思ったほど反応が伸びず、最初のシングルが弱いと次のシングルを売り出すのが難しくなるという80年代の音楽ビジネスをそこで学んだと回想している。ただし彼自身は、「Let Me Talk」をかつての「Serpentine Fire」と同じくらい野心的な先行シングルだと見ていた。
本作に合わせた全米ツアーは行われていない。また、ギタリストのアル・マッケイが参加した最後のアルバムでもあり、彼は1981年にグループを離れている。発売当時の批評では、ロサンゼルス・タイムズのDennis Huntが「今年のR&Bアルバム」と呼び、DownBeatは「ポップとジャズのオーケストレーションとプロダクションのお手本」と評した。Musician誌のNelson Georgeは、新しさよりも活力の回復に目を向け、「Back On The Road」でのルカサーのギターを聴きどころに挙げている。Stereo Review誌は「You」を本作の白眉とし、『I Am』の「After the Love Has Gone」に並ぶと評した。一方で、Rolling Stone誌は2つ星と厳しく、The Times紙のRichard Williamsはメロディとアレンジを認めつつ、2枚組の長さについては難しさを指摘した。
それでもモーリス・ホワイト自身は、2007年のインタビューでEW&Fで一番好きなアルバムを問われ、「たぶん『Faces』だ。僕らは本当に息が合っていて、一緒に演奏し、新しい領域を探る機会になった」と答えている。
後世への影響
収録曲はのちに他のアーティストにも取り上げられている。「You」はナンシー・ウィルソンが1983年の『I'll Be a Song』でカバーし、「Take It To The Sky」はビリー・コブハムが1982年の『Observations & Reflections』で演奏している。さらにアイザック・ヘイズは『Faces』をバンドの必聴盤5枚のひとつに挙げ、SoulTracksは2009年の「80年代のベスト・ソウル・アルバム75」で29位に選出した。
チャート面では、全米ビルボード200で10位、R&Bアルバム・チャートで2位、全英10位。シングルは「Let Me Talk」がR&B 8位、全米44位、全英29位、「You」はR&B 10位、「And Love Goes On」はR&B 15位を記録している。
トラックリスト
- A1 Let Me Talk 4:08
- A2 Turn It Into Something Good 3:53
- A3 Pride 4:02
- A4 You 5:09
- B1 Sparkle 3:51
- B2 Back On The Road 3:33
- B3 Song In My Heart 4:18
- B4 You Went Away 4:29
- C1 And Love Goes On 4:06
- C2 Sailaway 4:08
- C3 Take It To The Sky 4:21
- C4 Win Or Lose 3:55
- D1 Share Your Love 3:17
- D2 In Time 3:44
- D3 Faces 7:40
動画プレイリスト
このアーティストについて
Earth, Wind & Fireは、1970年に米シカゴでMaurice Whiteを中心に結成されたアメリカのソウル/ファンク・バンドだ。通算のセールスは世界で9,000万枚...
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