Clannad - Dúlamán (1976)
Clannad『Dúlamán』
Clannadの『Dúlamán』は、1976年に発表された3作目のスタジオ盤で、タイトル曲「Dúlamán」を軸にした作品だ。アイルランドの伝承歌やゲール語の歌を、家族バンドとしてのまとまりのある編成で録音した時期の一枚であり、Rockfield Studiosで制作された。レコーディングではNicky Ryanがプロデュースを担当し、エンジニアはFritz Fryer。参加メンバーにはMoya Brennanのハープ/ヴォーカル、Ciarán Brennanのベースや鍵盤類、Pól Brennanのフルートやパーカッション、Noel DugganとPádraig Dugainのギター/マンドラ系が並ぶ。
制作背景・エピソード
収録曲はすべて伝承曲で、Ciarán O Braonáinによるアレンジ、Gael-Linnからの出版という形でまとめられている。ゲートフォールド仕様の内側には曲解説が入り、英国のスタジオで録音されたあと、西ドイツでの発売に至った。ライナーには「Recorded at Rockfield Studios」「Printed in Western Germany」とあり、盤面の情報としてはIntercord Ton GMBHの製品であることも明記されている。Runoutはドイツ側がスタンプ、残りがエッチングという違いも残されている。
AllMusicでは、本作について「より重く推進力のある編曲」と「ややジャジーな響き」に触れている。Clannadの初期作としては、伝統曲をそのまま並べるのではなく、バンドとして前に押し出す作りが意識された時期の記録になっている。家族バンドならではのコーラスと、ハープ、フルート、ギター、ベースが一体になった構成も、この盤の基本的な特徴として挙げられている。
時代の文脈
Clannadは1970年代前半、ドニゴールの家庭的な歌唱文化を背景に活動を始め、伝統歌とフォーク、フォーク・ロックのあいだを行き来しながら存在感を高めていった。1973年の1作目、1974年の2作目に続く本作は、その流れの中で位置づけられる。公式紹介でも、この時期は後の方向性に向かう前段階として扱われている。
1970年代半ばにはドイツでのツアーも行っており、伝統曲を現代のバンド編成に接続する動きが強まっていく。その意味で『Dúlamán』は、のちの1982年作に向かう前の段階としても重要な一枚だ。AllMusicはClannad全体を、伝統的ケルティック音楽とポップの橋渡しをしたグループとして紹介しており、この作品はその試みが本格化した時期の記録に当たる。
後世への影響
タイトル曲「Dúlamán」は、Clannadのライヴ定番として長く演奏されてきた。のちにはロック寄りのバージョンでも取り上げられ、古い伝承歌の中でも広く知られた版のひとつとして扱われている。近年の解説でも、Clannad版がこの曲の普及に大きく寄与したとされている。
商業チャートの大きな記録は確認されていないが、作品自体はヒット数よりも、Clannadが伝統曲をフルバンドで再構成していく過程を示すアルバムとして見られている。収録曲がすべて伝承曲で統一されている点も含めて、1970年代のClannadを知るうえで外せない一枚だ。
トラックリスト
- A1 Dúlamán (Seaweed) 4:30
- A2 Cumha Eoghain Rua Uí Neill (Lament For Owen Roe) 4:03
- A3 Two Sisters 4:07
- A4 Éirigh Suas A Stóirín (Rise Up My Love) 5:03
- A5 The Galtee Hunt 3:03
- B1 Éirigh Is Cuir Ort Do Chuid Éadaigh (Arise And Dress Yourself) 4:05
- B2 Siúil A Rún (Irish Love Song) 5:43
- B3 Mo Mháire 2:38
- B4 DTigeas A Damhsa (Children's Dance Song) 1:20
- B5 Cucanandy/The Jug Of Brown Ale 3:08