Dr. Strangely Strange - Heavy Petting (1970)
DR. Strangely Strange 1970

Dr. Strangely Strange - Heavy Petting (1970)

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Dr. Strangely Strange『Heavy Petting』(1970)

『Heavy Petting』は、アイルランド出身のフォーク/サイケデリック・グループ、Dr. Strangely Strangeが1970年にUKのVertigoから発表した2作目のアルバムである。デビュー作『Kip of the Serenes』で見せた英国フォーク寄りの感触を引き継ぎながら、この作品ではもう少し電気的な響きや、遊びのあるアレンジが前に出てくる。Vertigoの初期を象徴する“swirl”ラベル期の一枚としても知られていて、同レーベルのプロッグ/サイケ路線を語るうえで外せない存在だ。

Vertigo初期らしい装丁と盤面

このUK盤は、複雑なギミック仕様のジャケットで、メインのスリーブに二つのダイカット・フラップが折り重なる作りになっている。盤はVertigoの“swirl”レーベル。A面全面にトラックリストが入る初期デザインで、1970年という時期らしいレーベルの個性がそのまま残っている。ジャケットと盤面を含めて、音だけでなく物としての存在感が強い時代の作品だ。

バンドの位置づけ

Dr. Strangely Strangeは1967年にダブリンで結成されたグループで、Tim BoothとIvan Pawleを中心に活動を始めた。メンバーの入れ替わりを経ながら、フォークの感触を核にしつつ、サイケデリックな要素や即興的な感覚を織り込んでいく。この『Heavy Petting』は、そうしたバンドの方向性が前作よりも少し広がった段階の記録として位置づけられる。のちにバンドは1971年にいったん解散しており、結果として2枚目のアルバムとなった本作は、初期活動のまとまった姿を示す重要作でもある。

制作陣と演奏面の特徴

制作はジョー・ボイドが担当している。Vertigo周辺の作品群でも重要な人物で、当時の英国フォークやサイケデリック作品の空気をよく捉えたプロデューサーとして知られる。演奏面では、フェアポート・コンヴェンションのデイヴ・マタックスが参加し、さらに若き日のゲイリー・ムーアが加わっている点が大きい。再発盤の解説などでも、ムーアの流麗なギターがアルバムのロック色を強めた要素として触れられている。実際に聴くと、フォーク基調の曲の中に、ギターの輪郭がはっきり立つ場面があり、バンドの持つ柔らかさだけでなく、少し硬質な推進力も感じられる。

音の印象

全体としては、素朴なフォークの響きに、サイケデリックな遊びとジャズ/ブルース寄りの感触が混ざる作りである。前作と比べると、アコースティックな輪郭だけに寄らず、バンド全体のアンサンブルが少し広がった印象がある。曲によっては軽いユーモアを含んだような運びもあり、重厚なプログレというより、もっと素朴で、しかし一筋縄ではいかない構成が続く。派手なヒット性を狙った作品というより、1970年前後の英国/アイルランド系フォーク・サイケの流れの中で、独自の立ち位置を保っているアルバムだ。

同時代の文脈

この時期のVertigoは、プログレッシブ・ロックの有力レーベルとして知られ始めていたが、その中でDr. Strangely Strangeは、よりフォーク寄りの感覚を持ち込んでいたグループといえる。Fairport Conventionやその周辺、あるいはPentangleのような英国フォークの流れと並べて語られることが多く、そこにサイケデリックな色彩を足した存在として見られてきた。アイルランド出身という点でも、英国ロックの中心地とは少し異なる空気を持ち込んでおり、その素地が作品全体の質感に反映されている。

作品の受け止められ方

当時の評価はおおむね好意的だったとされる。少なくとも、後年の回顧では、Vertigoの新譜群の一枚として紹介されることが多く、同レーベルの初期カタログの中でも印象を残す作品として扱われている。チャート上の大ヒット作というよりは、レーベル史や英国フォーク・サイケ史の中で参照されるタイプのアルバムである。収録曲の中で広く知られた代表曲が前面に出るというより、アルバム全体の流れで聴かれる性格が強い。

まとめ

『Heavy Petting』は、Dr. Strangely Strangeの初期活動を代表する2作目であり、Vertigoの“swirl”期を象徴する一枚でもある。フォークの骨格、サイケデリックな感触、そしてゲイリー・ムーアの参加に見られるロック的な押し出しが、1970年という時代の空気の中でまとまっている。ジャケット、レーベル、制作陣、演奏の手触りまで含めて、当時の英国盤らしさが濃く残る作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Ballad Of The Wasps
  2. A2 Summer Breeze
  3. A3 Kilmanoyadd Stomp
  4. A4 I Will Lift Up Mine Eyes
  5. A5 Sign On My Mind
  6. B1 Gave My Love An Apple
  7. B2 Jove Was At Home
  8. B3 When Adam Delved
  9. B4 Ashling
  10. B5 Mary Malone Of Moscow
  11. B6 Goodnight My Friends

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