King Crimson - Larks' Tongues In Aspic (1973)
King Crimson 1973

King Crimson - Larks' Tongues In Aspic (1973)

Rock Experimental Prog Rock

King Crimson『Larks' Tongues In Aspic』

King Crimsonの5作目のスタジオ・アルバム。1973年3月23日に英国Islandから出た作品で、日本では『太陽と戦慄』の題でも知られる。前作『Islands』後の体制をいったん整理し、ロバート・フリップが新しい編成で録音した1枚である。

制作背景・エピソード

『Islands』ツアー後、フリップは音楽面でも人間関係でも合わないとして、Mel Collins、Boz Burrell、Ian Wallaceと別れ、作詞のPeter Sinfieldも前年に離脱していた。1972年夏に集められた新メンバーは、ジョン・ウェットン(ベース、ヴォーカル)、デヴィッド・クロス(ヴァイオリン、キーボード)、ビル・ブルーフォード(ドラム)、ジェイミー・ミューア(パーカッション)。ブルーフォードは1972年7月、『Close to the Edge』の録音を終えたばかりのイエスを脱退して加わった。より開かれた即興的な演奏を求めていたという。フリップの誘いは「バンドを考えている。そこには君が入っている」というもので、ブルーフォードは契約を抜けるため、後任のAlan Whiteに機材ケースと『Close to the Edge』の印税の半分を渡したという。

ミューアはDerek BaileyやEvan Parkerと即興演奏グループMusic Improvisation Companyで活動していた打楽器奏者で、通常のドラム・セットではなく、チャイム、ムビラ、ミュージカル・ソー、金属板、オートハープなどを使い、クレジットも「Percussion and Allsorts」。ステージでは血糊のカプセルも使ったとされ、フリップの統制された演奏を何度も挑発しようとしていたと語っている。アルバム・タイトルもミューアの発案で、フリップに音楽がどんな音に聞こえるかと聞かれ、「そりゃ、ヒバリの舌のアスピック(ゼリー寄せ)さ。ほかに何がある?」と答えたという。フリップは、実在する料理ではないかもしれないが「貴重なものが閉じ込められているが、見えている」という意味だと説明している。ブルーフォードは後年、ミューアを「最大の影響」と呼び、技術ではなく音色に目を開かせ、ドラマーは音楽に仕えるものだと教えてくれたと語った。

録音は1973年1〜2月、ロンドンのCommand Studios。プロデュースはバンド自身、エンジニアはNick Ryan。管楽器の存在感が強かった以前の時期から、ここではヴァイオリンが前面に出る。「Larks' Tongues In Aspic, Part One」は、『Islands』期のバンドが録音していた「A Peacemaking Stint Unrolls」を作り直したもの。「Exiles」のメロトロンのイントロは、1969年の初期メンバーが演奏していた「Mantra」から流用された。「Easy Money」はフリップがヴァースを書き、ウェットンが後からサビを付けて組み立てた曲で、歌詞はリチャード・パーマー=ジェイムスが共作者としてクレジットされている。

この5人編成は長続きせず、ミューアは発売の1週間余り後にバンドを去った。マネジメントは「ステージ上の負傷」と発表したが、本人は否定し、約半年の経験を経て音楽をやめる決意をしたと述べている。のちに彼はスコットランド南部のチベット仏教寺院サムイェ・リンで僧院生活に入った。この5人編成によるスタジオ・アルバムは本作だけである。

時代の文脈

ブルーフォードは、イエスを「誰も今日が何曜日かすら合意できない混沌」と振り返り、そこから離れてこのバンドに加わっている。フリップはこの時期、バルトーク、ストラヴィンスキー、ジミ・ヘンドリックス、そしてフリー・インプロヴィゼーションを手がかりにしていた。

研究者Bill Martinは、この作品を1973年のプログレッシヴ・ロック作品の中でも、純粋な形式上の創意という点で重要な1枚に位置づけている。発売当時の反応も割れていて、Rolling StoneのAlan Niesterは「踊れはしない」と書きつつヴァイオリンを評価し、Billboardは「間違いなくこれまでで最高の作品」と評した。一方でRobert Christgauは器楽部分が「うまくまとまっていない」としてB−を付けている。全英20位、全米61位、イタリア8位、日本26位。

後世への影響

のちの評価は高く、Rolling Stoneの「史上最高のプログレ・アルバム50枚」では20位、Q誌とMojo誌の「コズミック・ロック・アルバム40枚」では22位に選ばれ、『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』にも入っている。「Part Two」はDream TheaterやMurmurがカバーしている。

2012年の40周年記念盤では、ロバート・フリップとスティーヴン・ウィルソンによる新しいステレオ・ミックスと5.1ミックスが制作されたほか、この5人編成の現存する録音を集めた『The Complete Recordings』も登場した。さらに2023年の50周年には新しいミックスも発表されている。

初回盤の特徴

このUK初回盤は、ピンク・リムのIslandラベル、背表紙の両端がつぶれた仕様、裏ジャケット下部のパブリッシング表記や印刷者クレジットがない点が特徴。内袋は、白い汎用スリーブか、歌詞と図版を刷った仕様のどちらかが使われた例がある。表ジャケットやシュリンクに楕円形の「King Crimson」ステッカーが付いた個体もあった。

トラックリスト

  1. A1 Larks' Tongues In Aspic, Part One 13:36
  2. A2 Book Of Saturday 2:59
  3. A3 Exiles 7:37
  4. B1 Easy Money 7:51
  5. B2 The Talking Drum 7:28
  6. B3 Larks' Tongues In Aspic, Part Two 7:10

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

King Crimson

King Crimson

King Crimson(キング・クリムゾン)は、1968年にロンドンで結成されたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドである。ギタリストのRobert Fripp(...

King Crimson のプロフィール・作品一覧

King Crimson の他のレビュー

Share
戻る

あわせて聴きたい "Prog Rock"

toast