Supersister - To The Highest Bidder (1971)
Supersister 1971

Supersister - To The Highest Bidder (1971)

Rock Prog Rock

Supersister『To The Highest Bidder』について

オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、Supersisterが1971年に発表した2作目のアルバムが『To The Highest Bidder』だ。前作『Present from Nancy』で見せたひねりの多い構成や、ジャズ寄りの感覚をさらに押し進めた内容で、バンドの代表作としてよく挙げられる1枚である。1970年代初頭の欧州プログレの中でも、英国勢とは少し違う、オランダらしい柔らかさと複雑さが同居する作品として語られてきた。

本作は、派手なヒットで知られるタイプのアルバムではないが、当時の評価は高く、Supersisterが「アルバム単位で聴かれるバンド」として存在感を固めた重要作でもある。英国ではジョン・ピールのDandelion経由で紹介され、現地の進歩的な音楽シーンにも届いていた。オランダ国内でも好意的に受け止められ、バンドの名前を決定づけた盤として扱われている。

1971年のオリジナル盤と、1979年オランダ盤

オリジナルは1971年リリース。今回の盤は1979年にオランダで出たPolydor盤で、品番は2485 133。PolyGram系の7桁カタログ番号が採用されたのは1970年4月以降なので、この番号の盤は70年代後半の再発売にあたる。レーベルはPolydor、LCは0309表記。オリジナル時代の空気をそのまま伝えるというより、70年代後半の流通環境に合わせて出し直された盤として見るのが自然だ。

Supersisterの初期作は、後年の再発でも比較的見かけるタイトルだが、1979年盤は1971年当時の初版とは別の流通段階にある。とはいえ、内容そのものはオリジナルと同じで、作品の骨格を知るうえでは十分に重要な一枚である。

作品の位置づけ

Supersisterは1967年にSweet OK Supersisterとして始まり、1968年に現在の名義へ移行したオランダのプログレッシブ・ロック・バンドだ。活動初期から、単純なギター主体のロックよりも、キーボードを軸にした組み立てや、曲中での展開の多さが目立つ。本作『To The Highest Bidder』は、その方向性がより明確になった2作目であり、バンドの手つきがかなり整理されている。

制作面では、前作から間を置かずに録音されたことが知られている。勢いを保ったまま曲作りと録音に入ったことで、演奏の密度がそのまま盤に残っている。プロデュースにはGiorgio Gomelskiが関わり、録音環境の面でも整えられていた。オランダの再評価記事では、最終的なサウンドをまとめた仕事ぶりが高く見られている。

音の印象

実際に聴くと、まず耳に入るのはRobert Jan Stipsのキーボードだ。旋律の置き方が細かく、リズムの上で軽く跳ねるようなフレーズが多い。そこに、ジャズ由来の動きや、少し芝居がかった展開が重なる。英国プログレの重厚さとは違い、音の重さで押すより、細かい変化を積み重ねていく作りが目立つ。曲ごとの切り替えも早く、演奏の表情がよく変わる。

また、メロディの運びに独特の明るさがある。複雑な構成を持ちながら、完全に硬質には寄らない。このバランスがSupersisterらしさで、同時代のYesやGenesisのような英国勢と比べると、より軽やかで、時にユーモラスな感触も残る。ジャズ・ロック寄りの耳で聴くと、演奏の受け渡しや間の取り方が面白い。

同時代の文脈

1971年という時期は、欧州のプログレが各地で成熟し始めた時代でもある。英国では長大な組曲や壮大なコンセプト作が増え、オランダでも同じ流れを受けつつ、土地ごとの感覚が反映された作品が生まれていた。Supersisterはその中で、ジャズ、ロック、室内楽的な要素を無理なく混ぜるバンドとして目立っていた。

この盤は、単なる「変拍子の多いロック」では終わらず、曲の構造そのものを楽しませる作りになっている。演奏技術の見せ場だけでなく、フレーズの受け渡しや、パート間のつながりに耳が向くアルバムだ。そうした部分が、後年のオランダ・プログレ再評価の中でも重要視されてきた。

代表作としての意味

Supersisterは1974年に一度解散し、その後再結成や再始動を何度か挟むが、初期の核として語られるのはやはりこの時期の作品群だ。その中でも『To The Highest Bidder』は、バンドの個性が前面に出た2作目として扱われることが多い。地元紙でもかなり高く評価され、のちのバンド史でも「進歩的なアルバム・バンド」としての立場を固めた盤と見なされている。

収録曲の中で特定の大ヒット曲が独立して語られるタイプではないが、アルバム全体の流れで印象を残す作りがこの作品の特徴だ。曲単位よりも、通して聴いたときの構成の細かさが前に出る。Supersisterの音楽が好きな人にとって、このアルバムはバンドの中核を確認できる重要な記録である。

まとめ

『To The Highest Bidder』は、1971年のオリジナル発表時点でSupersisterの評価を押し上げた作品であり、1979年オランダ盤はその内容を70年代後半の形で受け継いだ再発売盤だ。キーボード主体の緻密な展開、ジャズの感触を含んだ演奏、英国勢とは少し異なる軽やかさ。オランダ・プログレの個性が、かなりはっきり出ているアルバムである。

トラックリスト

  1. A1 A Girl Named You 10:50
  2. A2 No Tree Will Grow (On Too High A Mountain) 7:20
  3. B1 Energy (Out Of Future) 16:20
  4. B2 Higher 2:56

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Supersister

Supersister

Supersisterは、オランダのプログレッシブ・ロック・バンドだ。1967年にSweet OK Supersisterとして活動を始め、学校バンドのThe BlubsやThe Provocat...

Supersister のプロフィール・作品一覧

Supersister の他のレビュー

Share
戻る

あわせて聴きたい "Prog Rock"

toast