Crosby, Stills, Nash & Young - Déjà Vu (1970)
Crosby, Stills, Nash & Young 1970

Crosby, Stills, Nash & Young - Déjà Vu (1970)

Rock Folk Rock Classic Rock Country Rock

Crosby, Stills, Nash & Young『Déjà Vu』(1970)

Crosby, Stills, Nash & Youngの『Déjà Vu』は、1970年にAtlanticから発表された、いわゆるCSNY名義での代表作にあたるアルバムである。前作であるCrosby, Stills & NashにNeil Youngが加わった体制で作られ、4人それぞれの作家性がぶつかり合う形でまとまった作品として知られている。フォーク・ロックを土台にしながら、カントリー・ロックや当時のアメリカン・ロックの感触を強く持つ内容で、70年代初頭の空気をそのまま封じ込めたような1枚になっている。

CSNYという編成の重み

CSNの3人にNeil Youngが加わったことで、音の厚みだけでなく、曲ごとの性格もかなりはっきりした。David Crosby、Stephen Stills、Graham Nash、Neil Youngの4人は、それぞれが曲を書く人であり、歌う人でもあるため、1枚のアルバムの中に複数の主張が並ぶ構成になっている。バンドというより、同時進行するソロの集合体に近い感触もあるが、そのぶつかり方がこの作品の特徴でもある。

制作はかなり難航したと伝えられており、Stephen Stillsの証言では800時間ものスタジオ・タイムを費やしたという。実際、録音は4人が同時に一体となって進めるというより、個別のセッションを重ねて組み立てられた曲が多い。緊張感のある制作背景が、そのまま音の細部に残っている。

収録曲と聴きどころ

このアルバムを語るうえで外せないのが、「Carry On」「Teach Your Children」「Our House」「Woodstock」「Almost Cut My Hair」といった曲である。特に「Teach Your Children」は、Graham Nashらしい明快なメロディと、CSNYのハーモニーがよく分かる代表曲として定着している。「Our House」は穏やかな日常を描く内容で、アルバム全体の中でも温度の低い時間を作っている。

一方で「Almost Cut My Hair」には、当時の空気がより直接的に出ている。ヒッピー文化や70年代初頭のアメリカ西海岸のムード、そこにある自己意識の揺れが、曲の勢いとともに表れている。「Woodstock」はJoni Mitchellの曲のカヴァーで、CSNY版として広く知られる1曲でもある。もともとの曲が持っていた時代の記録性を、別の角度から引き受けた形になっている。

個人的な背景がにじむ内容

この作品は、メンバー個々の私生活の変化とも重なっている。Graham NashはJoni Mitchellとの関係をすでに終えていた時期で、「Our House」にはその記憶が反映されている。Nash自身が、前作の頃とは状況が大きく変わっていたと振り返っており、恋愛関係の終わりや身近な人の死が重なる中で制作が進んだことが分かる。そうした背景を踏まえると、アルバム全体に漂う落ち着きと張りつめた感じの両方が見えやすい。

Atlantic US盤としての存在感

今回のUS盤はAtlanticのSD 7200。オリジナルの1970年盤として扱うと、当時のAtlanticらしい重厚なパッケージも印象に残る。見開きジャケットで、テクスチャーのあるフェイクレザー調の表紙に金の箔押し文字、さらにセピア調写真を貼り込んだ仕様になっている。中面の写真もセピア調で、マーブル紙の上に載っているように見せるデザインでまとめられている。音だけでなく、物としての作りにも手が込んでいる。

Atlanticはこの時期、すでにロックの重要レーベルとして確立しており、CSNYのような大型アクトを支える器にもなっていた。録音の密度、歌の重なり、曲ごとの個性が強いこのアルバムは、同時代のフォーク・ロックの中でも存在感が大きい。Buffalo SpringfieldやThe Byrds、あるいは同時期のJames TaylorやJoni Mitchell周辺の流れと並べて考えると、アメリカン・ロックが内省と社会性の両方を抱えていた時代の典型例として見えてくる。

作品の位置づけ

『Déjà Vu』は、CSNYの中でも最も広く認知されたアルバムであり、同時に、4人の関係性そのものが音になった作品でもある。ハーモニーの美しさだけでなく、各メンバーの距離感や緊張感まで含めて残っている点が、このアルバムの面白さになっている。70年という年の空気、ロックの拡張、個人の感情の揺れ、その複数の要素が1枚のLPに収まった記録盤である。

トラックリスト

  1. A1 Carry On 4:25
  2. A2 Teach Your Children 2:53
  3. A3 Almost Cut My Hair 4:25
  4. A4 Helpless 3:30
  5. A5 Woodstock 3:52
  6. B1 Déjà Vu 4:10
  7. B2 Our House 2:59
  8. B3 4 + 20 1:55
  9. Country Girl 5:05
  10. B5 Everybody I Love You 2:20

動画プレイリスト

Share
戻る

あわせて聴きたい "Country Rock"

toast