Derek And The Dominos - Layla And Other Assorted Love Songs (1970)
Derek & The Dominos 1970

Derek And The Dominos - Layla And Other Assorted Love Songs (1970)

Rock Blues Rock

Derek And The Dominos『Layla And Other Assorted Love Songs』(1970)

Derek And The Dominosの『Layla And Other Assorted Love Songs』は、1970年に発表された唯一のスタジオ・アルバムで、エリック・クラプトンのキャリアの中でも特に重要な位置を占める作品だ。バンド名義ではありながら、実質的にはクラプトンを中心に、ボビー・ホイットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードン、そしてゲスト参加のデュアン・オールマンが強い存在感を残した録音として知られている。ブルース・ロックを土台にしつつ、ソウル寄りのバンド感と、ツイン・ギターの厚みが同居する内容で、のちに代表作として語られることが多い。

録音とバンドの背景

このアルバムは、フロリダ州マイアミのAtlantic Sound-Criteria Studiosで録音された。制作にはトム・ダウドが関わり、短期間のセッションで濃密な演奏がまとめ上げられている。デレク・アンド・ザ・ドミノス自体は1970年春に結成され、1971年には解散してしまう短命なグループだが、その限られた活動期間の中で残したこの1枚が、結果的に強い印象を持つ作品となった。

メンバー構成も興味深い。クラプトンのギターとヴォーカルに加え、ホイットロックのピアノやオルガン、レイドルのベース、ゴードンのドラムがしっかりと土台を作る。そこへデュアン・オールマンがスライド・ギターで参加し、曲によっては演奏の輪郭をくっきりさせている。オールマンはキャプリコーン・レコード所属のアーティストとして特別参加しており、その立場がこの録音の背景にも見える。

『Layla』という曲の存在感

この作品を語るうえで、「Layla」を外すことはできない。アルバムを象徴する代表曲であり、クラプトンの個人的な感情が強く投影された楽曲として知られている。曲の後半に置かれたピアノのコーダも有名で、リタ・クーリッジが自伝でその部分の作曲に関わったと述べていることでも話題になった。クレジットの扱いについては長く議論があるが、少なくともこのエンディングが曲全体の印象を決定づけているのは確かだろう。

実際に聴くと、「Layla」は単独の名曲というだけでなく、アルバム全体の緊張感を引っ張る中心軸として機能している。前半の切迫したギター・リフと、後半のピアノ主導の展開がはっきり分かれていて、1曲の中で感情の振れ幅が大きい。こうした構成は、70年代ロックの中でもかなり強い印象を残す。

アルバム全体の内容

2枚組として発表された本作は、「Layla」だけでなく、ブルース・ナンバーやソウルの影響を感じさせる曲、スローなバラードまで幅広く収めている。演奏は派手に装飾されるというより、バンドとしての呼吸を前面に出したものだ。クラプトンのギターはもちろんだが、ホイットロックの歌と鍵盤、レイドルとゴードンのリズム隊も重要で、曲ごとの温度を細かく支えている。

当時のクラプトンは、クリームやブラインド・フェイスを経て、よりバンド的なスタイルへ移ろうとしていた時期にあたる。その流れの中で、このアルバムは「ギター・ヒーローのソロ作」というより、複数の演奏者が同じ方向を向いたセッション・アルバムとして成立している。後年のクラプトン作品と比べても、ここでは個人の技巧より、アンサンブルの熱量が前に出ているように聴こえる。

同時代の文脈と評価

1970年前後のブルース・ロックは、クラプトン、デュアン・オールマン、オールマン・ブラザーズ・バンド、レッド・ツェッペリンなど、さまざまな形で展開していた時期だ。その中で『Layla And Other Assorted Love Songs』は、英国的なブルース解釈とアメリカ南部の空気感が混ざった作品として位置づけられることが多い。とくにデュアン・オールマンのスライドは、のちの南部ロックやジャム志向のバンドにも参照されやすい要素になった。

発売当初は大ヒット作というより、後から評価が広がったタイプのアルバムとして知られる。だが、時間がたつほどに楽曲の強さと演奏の密度が見直され、クラプトンの代表作のひとつとして定着した。商業的な一過性よりも、録音そのものの切迫感と、メンバー同士のぶつかり合いが残る作品だと言える。

1970年盤としての仕様

このUS盤はATCO RecordsのSD 2-704で、イエローのAtcoラベル仕様。マトリクスには「T」刻印や「CTH」スタンプが見られる個体があり、Columbia Records Pressing Plant, Terre Hauteでのプレスを示している。見開きの未ラミネート・ジャケットで、社内スリーブには「From The ATCO Catalog」と印字されたものが使われている。オリジナル期のUS盤らしい作りで、70年代初頭のAtlantic系レーベルの標準的な仕様がそのまま反映されている。

レーベル面には「Mfg. By Atlantic Recording Corp., 1841 Broadway, New York, N.Y.」の表記があり、米国での発売形態がはっきりしている。こうした盤面やジャケットの細部も、当時のリリースの空気を伝える要素になっている。

まとめ

『Layla And Other Assorted Love Songs』は、Derek And The Dominosという短命なバンドが残した唯一のスタジオ作でありながら、70年代ロックの中で長く参照され続けてきたアルバムだ。代表曲「Layla」の存在感は大きいが、それだけでなく、全編を通してバンド演奏の緊張感が途切れない点が印象に残る。クラプトン、オールマン、ホイットロック、レイドル、ゴードンという組み合わせが一度きりで終わったことも、この作品の特別さを際立たせている。

トラックリスト

  1. A1 I Looked Away 3:04
  2. A2 Bell Bottom Blues 5:06
  3. A3 Keep On Growing 6:22
  4. A4 Nobody Knows You When You're Down And Out 4:57
  5. B1 I Am Yours 3:32
  6. B2 Anyday 6:37
  7. B3 Key To The Highway 9:47
  8. C1 Tell The Truth 6:45
  9. C2 Why Does Love Got To Be So Sad? 4:50
  10. C3 Have You Ever Loved A Woman 6:51
  11. D1 Little Wing 5:23
  12. D2 It's Too Late 3:45
  13. D3 Layla 7:10
  14. D4 Thorn Tree In The Garden 2:51

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