W. Ambros - Es Lebe Der Zentralfriedhof (1975)
Wolfgang Ambros 1975

W. Ambros - Es Lebe Der Zentralfriedhof (1975)

Rock Pop Blues Blues Rock Acoustic

W. Ambros『Es Lebe Der Zentralfriedhof』(1975)

Wolfgang Ambros、通称W. Ambrosの『Es Lebe Der Zentralfriedhof』は、1975年に発表されたオーストリアのAustropopを語るうえで外せないアルバムだ。ウィーン訛りや都市の空気をそのまま持ち込んだ歌づくりで知られるAmbrosが、一気に広い支持を得た転機の一枚でもある。ブルース・ロックやアコースティック寄りの質感を土台にしながら、歌の内容はもっと身近で、ウィーンの街の感覚がはっきり残る。

この作品が注目される理由のひとつは、収録曲の強さにある。タイトル曲「Es Lebe Der Zentralfriedhof」は、その名の通りウィーン中央墓地を題材にした曲で、地元の空気感とユーモアを前面に出した代表曲として扱われている。さらに「Zwickt’s mi」「De Kinettn wo i schlof」「Heite drah i mi ham」といった曲が並び、アルバム単位での印象を強くしている。特に「Zwickt’s mi」は先行シングルとして大きくヒットし、オーストリアで1位を記録した。

作品の背景と位置づけ

Ambrosはそれ以前に「Da Hofa」で成功をつかんでいたが、その後に続く決定打を探していた時期でもあった。本作はその流れの中で生まれ、結果として彼のキャリアを決定づける重要作になった。作詞のJoesi Prokopetzとの連携も大きく、1974年にウィーン中央墓地の「100年」記念の表示を見たことが発想のきっかけになったとされる。そこから題名が立ち上がり、歌としてまとまっていった経緯が残っている。

収録曲の言葉遣いにも、この時代のAustropopらしさが出ている。オーストリア盤では「Zwickt’s mi」が方言色の強い形で収められているのに対し、ドイツ盤ではやや標準語寄りの歌詞になっている。今回の1976年ドイツ盤では、その違いが内容の印象にもつながる。地元の言葉をそのまま前に出すか、少しだけ外向きに調整するか、その差がはっきり見える。

1976年ドイツ盤について

この盤はドイツ盤として1976年に出たもので、オリジナルの1975年作を少し後追いする形になる。クレジットには「Aufgenommen im März/April 1975 im Mueller Sound Studio, Wien und Europasound-Studio Offenbach. Mischung im Europasound-Studio.」とあり、録音はウィーンとオッフェンバッハで行われ、ミックスもオッフェンバッハのEuropasound-Studioで仕上げられている。ジャケットや盤面の表記からも、「Made in Germany」の流通盤として整理できる。

付属物としては、肖像写真と歌詞を載せたプリント内袋が入っている。こうした体裁は、1970年代中盤のLPらしいまとまりがある。Bellaphon盤らしく、資料上はレーベルデザインの世代差も意識される時期で、初期のオーストリア盤とは見え方が少し違う。音楽そのものは同じでも、盤としてはドイツ市場向けに整えられた一枚という印象が残る。

曲と当時の反応

アルバムの中核にあるのは、タイトル曲と「Zwickt’s mi」だ。前者はウィーン中央墓地をめぐる視点の面白さがそのまま曲の推進力になっていて、後者はAmbrosの代表曲として独立して語られることが多い。どちらも、単なる流行歌ではなく、街の言葉と生活感をそのまま歌にしたところに特徴がある。

同時代の文脈で見ると、Ambrosの音楽はウィーンのシンガーソングライターたち、たとえばGeorg Danzerらと並べて語られることが多い。大げさな演出よりも、語り口とメロディ、そして方言の扱いで個性を出す流れの中にこのアルバムがある。ブルース・ロックの骨格に、アコースティックな響きと会話に近い歌が乗る構図で、Austropopの輪郭をはっきり示した作品として見られている。

まとめ

『Es Lebe Der Zentralfriedhof』は、W. Ambrosを一気に代表的存在へ押し上げたアルバムだ。ヒット曲の存在だけでなく、ウィーンの空気、方言、都市の景色をそのまま音楽に落とし込んだ点が大きい。1976年のドイツ盤は、その1975年作を広い市場に届けた版として位置づけられる。オーストリア盤との歌詞の違いも含めて、この作品の輪郭を確認できる一枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 Es Lebe Der Zentralfriedhof 5:12
  2. A2 Wem Heut Net Schlecht Is 3:10
  3. A3 Espresso 4:50
  4. A4 G'söchta 3:07
  5. A5 Heite Drah I Mi Ham 4:00
  6. B1 Zwickt's Mi 3:45
  7. B2 Familie Pingitzer 2:49
  8. B3 De Kinettn Wo I Schlof 4:02
  9. B4 A Gulasch Und A Seitl Bier 4:00
  10. B5 I Glaub I Geh Jetzt 3:55

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Blues Rock"

toast