Egdon Heath - In The City (1987)
Egdon Heath『In The City』について
Egdon Heathは、1981年に結成されたオランダ北部拠点のプログレッシブ・ロック・バンドである。『In The City』は1987年にオランダ盤として登場したデビュー作で、バンド名が広く知られるきっかけになった初期作品にあたる。レーベルはOmnibus (OB 30113)。録音とマスタリングはオランダのSpitsbergen Studio Zuidbroekで行われ、制作は1987年1月。歌詞とクレジットを載せたインサート付きという仕様も、この時代のローカルなプログレ作品らしいまとまりを見せている。
作品の位置づけ
本作は、Egdon Heathの出発点として置かれる1枚である。後年の再発によって存在が広く知られるようになった作品でもあり、当時の流通規模や話題性は大きくなかった。とはいえ、のちの評価では、このデビュー作がバンドの方向性をそのまま示した重要な記録として扱われている。バンドの名義や演奏の骨格を確認するうえでも、最初に触れておきたいタイトルだ。
音の印象
音楽面では、キーボードを軸にしたシンフォニック・ロック色の強いネオ・プログレ作品としてまとまっている。楽曲は比較的追いやすい流れを持ちながら、ところどころに拍のずらし方や展開の切り替えが入るため、単純なメロディ重視で終わらない。演奏は整っていて、曲ごとの構成もきちんと組まれている印象がある。
一方で、録音の質感はかなり時代相応で、音像はやや硬く、厚みの作り込みよりも実演の輪郭が前に出るタイプである。ボーカルは前面に出るが、楽器隊のまとまりに比べると少し控えめに感じられる場面もある。そうした点も含めて、派手な完成度より、初期バンドの手触りがそのまま残った作品として聴こえる。
同時代の文脈
1980年代のオランダ産プログレは、70年代の大作志向とは少し距離を置きつつ、シンセサイザーやコンパクトな曲構成を取り入れたネオ・プログレの流れの中で語られることが多い。Egdon Heathもその文脈に置かれるバンドで、英国のシンフォニック・ロックの影響を受けながら、北欧寄りの整った質感を持つ。大げさなドラマ性を前に出すより、楽曲の組み立てと音の配置で聴かせるタイプである。
クレジット上ではEddie Mulderのキーボードが中心的な役割を担っている。バンド名義の作品ではあるが、実際の印象としても鍵盤の存在感は大きく、曲の骨組みを決める場面で重要な働きをしている。ギターやリズム隊はその土台を支え、全体としてはシンフォニックな色合いが前景に出る。
制作面と流通
本作はSpitsbergen Studio Zuidbroekで録音・マスタリングされ、IDC - Dalfsenによって流通した。さらにHolland Cutting Roomによるディスクカッティング、ICMによる出版といった記載もあり、オランダ国内の制作・流通の流れの中で組み上げられた1枚であることがわかる。こうした背景は、作品の性格にもそのまま反映されていて、国際的大ヒットを狙うより、地域のシーンから自然に出てきたアルバムという印象を強めている。
再評価の流れ
発売当初は大きな話題作ではなかったが、後年の再発で改めて注目された。とくに再発盤の流通によって、Egdon Heathというバンド名と『In The City』の内容が広く知られるようになった。オリジナル盤は1987年の初出盤として扱われ、現在ではその初期の記録性に価値が置かれている。中古市場でも見かける機会はあり、バンドの最初期を確認する資料的な意味合いも持つ。
まとめ
『In The City』は、Egdon Heathの出発点を示す1987年作であり、オランダ産ネオ・プログレ/シンフォニック・ロックの流れの中で位置づけられる作品である。録音の古さや歌唱面の素朴さは残るが、キーボード主体の構成、曲の運び、初期バンドならではの集中力がはっきり入っている。後年の再発で再評価が進んだ理由も、この1枚を聴くとわかりやすい。
トラックリスト
- A1 Pyromania
- A2 Echoes Of Celandine
- A3 Secret Fence
- A4 Coming Out Of The Mist
- B1 When All Is Said
- B2 Run For Life
- B3 Losing A Friend
- B4 In The City