Evinha - Cartão Postal (1971)
Evinha『Cartão Postal』
リオデジャネイロ出身の女性シンガー、エヴィーニャ(Evinha)が1971年にオデオン(Odeon)より発表したソロ通算3作目のアルバム『Cartão Postal』。幼少期から兄弟姉妹グループ「トリオ・エスペランサ(Trio Esperança)」のリード・シンガーとして活躍し、国民的知名度を誇った彼女が、大人のシンガーとしての表現力を深めた初期の代表作である。
制作背景と豪華な作家陣
本作の制作では、オデオンの名ディレクターであるミルトン・ミランダ(Milton Miranda)が監修を務め、エリス・レジーナやミルトン・ナシメントらを手掛けた巨匠シキーニョ・ジ・モラエス(Chiquinho de Moraes)が壮麗なオーケストレーションとアレンジを担当。実兄であるゴールデン・ボーイズ(Golden Boys)のヘナート・コレイア(Renato Corrêa)がソングライティングの中心を担った。
楽曲提供陣も当時のブラジル音楽界の精鋭が揃い、マルコス&パウロ・セルジオのヴァーリ兄弟による軽快でグルーヴィーな「Que Bandeira」、ミナス新世代「街角クラブ(Clube da Esquina)」のベト・ゲヂス、ロー・ボルジェス、フェルナンド・ブラントによる「Feira Moderna」、ロベルト&エラズモ・カルロスの「De Tanto Amor」などを収録。多彩な名曲が彼女の可憐な歌声で彩られている。
時代の文脈とサウンドの魅力
1970年代初頭のブラジルは、軍事政権下の社会情勢の一方で、ボサノヴァ以降のMPB、トロピカリズモ、そしてアメリカからのソウル/ファンクやロックが交差し、豊穣なクロスオーバー・サウンドが花開いた黄金期であった。本作は、そうしたブラジリアン・ポップスの洗練されたアレンジと、ブラック・リオ前夜のソウルフルなグルーヴが高純度で結晶化した一枚である。
「Esperar Pra Ver」と後世への影響
なんといっても最大のハイライトは、ヘナート・コレイアとグアラビラの共作によるA面ラストの「Esperar Pra Ver」。重厚なドラム・ブレイクと躍動感あふれるベースライン、華麗なホーン&ストリングス、そしてエヴィーニャの伸びやかで力強いスウィート・ヴォーカルが炸裂するブラジリアン・ソウル/ファンク屈指のキラー・トラックである。
発売当時からヒットを記録した同曲は、のちに世界中のDJやコレクターに「究極のブラジリアン・レアグルーヴ」として発掘され、サンプリングやクラブ・プレイを通じて時代を超えたフロア・アンセムとなった。エヴィーニャの歌声の魅力と1970年代ブラジルの音楽的豊かさを凝縮した、不朽の傑作アルバムである。
トラックリスト
- A1 Que Bandeira
- A2 Feira Moderna
- A3 Cartão Postal
- A4 Olha O Futuro
- A5 De Tanto Amor
- A6 Esperar Prá Ver
- B1 Tema De Adão
- B2 Só Quero
- B3 Rico Sem Dinheiro
- B4 Encontro
- B5 Por Mera Coincidência
- B6 Onze E Quinze