Ofege - Try And Love (1973)
Ofege『Try And Love』(1973)について
ナイジェリアの若いバンド、Ofegeが1973年に残したデビュー作が『Try And Love』である。ラゴスの名門セント・グレゴリーズ・カレッジの在学中に結成されたグループで、平均年齢は16歳前後。学校の仲間うちから始まったバンドが、そのままEMIナイジェリアのスタジオに入り、アルバムとして形になったのが本作という流れである。ナイジェリアの70年代ロック/ファンクの中でも、学生バンドがここまで完成度の高い作品を残した例としてよく知られている。
この作品の中心にあるのは、ギターのうねりとリズムの推進力である。アフロビートの文脈に寄りつつ、サンタナ、ジェフ・ベック、レッド・ツェッペリン、オシビサなどからの影響が背景にあるとされ、実際に聴くと、ロックの歪んだギターと西アフリカ的なリズム感が自然に混ざっている。歌メロだけを前に出す作りではなく、演奏そのものが曲の芯になっている印象が強い。EMIナイジェリアのプロデューサー、オディオン・イルオジェの厳しい指導のもとで録音されたという経緯も、このまとまりに結びついている。
作品の位置づけ
『Try And Love』は、Ofegeの出発点として重要な一枚である。後年の再評価で知られるようになったが、当時はまずナイジェリア国内で人気を集め、のちに国外でアフロロックの重要作として掘り起こされた。バンドは1978年までに4作のアルバムを残して活動を終えるが、その第一作である本作には、まだ高校生だったメンバーが持っていた勢いと、スタジオで鍛え上げられた演奏の両方が入っている。
バンド名の“Ofege”は、学校を抜け出すことを指す学生スラングに由来するとされる。実際にメンバーが学校を抜け出して最初のセッションに向かったというエピソードも残っている。こうした背景を踏まえると、本作は単なる若手ロックバンドのデビュー盤ではなく、ラゴスの学校文化と70年代ナイジェリアのロック・ムーブメントが交差した記録としても読める。
サウンドの特徴
このアルバムで目立つのは、ファズのかかったギター、オルガンの揺れ、そしてリズム隊の粘りである。曲によっては、ストーンズを思わせるような60年代ロック寄りのボーカルが前に出る一方で、演奏はかなり攻めている。メロディを追うというより、フレーズの反復や即興的な展開で引っ張る場面が多く、歌よりもインストゥルメンタルの推進力が記憶に残る構成である。
レビューや再評価の文脈では、Ofegeの楽曲は「歌のための曲」というより、ギターを中心にした演奏のための土台として機能していると語られることが多い。本作でもその傾向ははっきりしていて、旋律の親しみやすさと、サイケデリックな展開の両方が同居している。ナイジェリアの同時代バンドでいえば、BLO、Monomono、The Funkees、Ofo The Black Companyなどと並べて語られることが多いが、その中でもOfegeは、若さゆえの勢いがそのまま録音に残った点が特徴的である。
収録曲と代表性
本作はアルバム全体で聴かれることが多い作品で、特定の一曲だけが突出したヒットとして知られるタイプではない。とはいえ、タイトル曲『Try And Love』はアルバムの性格をよく示す中心曲として扱われることが多い。甘いコーラスとギターの歪みが同居し、当時のナイジェリアン・ロックの空気をわかりやすく伝える。曲単位の派手さより、アルバムを通した流れで輪郭が見えてくる作りである。
オリジナル盤について
オリジナルのリリースは1973年、リリース国はナイジェリア、レーベルはEMIのNEMI (LP) 0032である。ジャケットはナイジェリアで印刷され、「Sleeve Printed in Nigeria By RMNL」と記されている。70年代ナイジェリア盤らしく、現地制作の空気がそのまま残る仕様で、コレクターの間でもオリジナル盤は重要視されてきた。その後、2000年代以降に再発が重ねられたことで、オリジナル盤はさらに入手が難しい部類になっている。
Ofegeの『Try And Love』は、ナイジェリアの若い学生バンドが、当時のロック、ファンク、サイケデリックな要素を自分たちの手つきでまとめ上げた作品である。派手な知名度より先に、演奏の熱量と時代の記録性が残ったアルバムとして、70年代アフロロックの中でも独特の存在感を持っている。
トラックリスト
- A1 Nobody Fails
- A2 Whizzy Ilabo
- A3 Gbe Mi Lo
- A4 Try And Love
- B1 It's Not Easy
- B2 Ofege
- B3 You Say No
- B4 Lead Me On