Teruo Nakamura - Rising Sun (1976)
Teruo Nakamura『Rising Sun』
1964年に単身渡米し、ニューヨークのジャズ・シーンの最前線で活動していた日本人ベーシスト/プロデューサーの中村照夫が、自身率いるライジング・サン・バンドとともに1976年に発表した和ジャズ・フュージョンの金字塔。本盤はキティ・レコード(Kitty Records)からリリースされた日本盤オリジナルLPである。
制作背景・エピソード
レコーディングは1976年4月、ニューヨークの名門A&Rスタジオにて敢行された。マイルス・デイヴィス・グループ出身の俊英スティーヴ・グロスマン(サックス)、オルガンの巨頭ドクター・ロニー・スミスやハリー・ウィテカー(キーボード)らNYの第一線ジャズ・マンに加え、日本から気鋭のトロンボーン奏者・向井滋春が参加。中村照夫の太く推進力に満ちたベースラインを土台に、国境を越えた屈指の名手たちが濃密なインタープレイを繰り広げている。
アルバムの白眉は、世界的なクラブ・クラシックとして語り継がれる「Cat」である。疾走するパーカッシヴなドラムと唸るベース、緊張感あふれるホーン・セクションが融合した圧巻のジャズ・ファンクを展開。さらに、メロウな美しさを湛えた表題曲「Rising Sun」や、スピリチュアルな深遠さと躍動感が交錯する組曲「Morning Mist ~ Steppin' With Lord」など、完成度の高いトラックが揃っている。
時代の文脈
1970年代半ば、日本のミュージシャンが本場ニューヨークの精鋭たちと対等に渡り合い、世界水準のジャズ・ファンク/フュージョンを録音・発信した意義は極めて大きい。中村照夫は単なるプレイヤーにとどまらず、バンドリーダーおよびプロデューサーとして卓抜したヴィジョンを発揮し、当時のNYジャズ・シーンの熱気をダイレクトに作品へ封じ込めた。
後世への影響
「Cat」は1990年代以降のアシッド・ジャズ/クラブ・ジャズ・ムーヴメントにおいてフロア・アンセムとして爆発的な支持を獲得。さらにヒップホップ・シーンでも多くのプロデューサーにサンプリングされるなど、時代と世代を超えて聴き継がれている。世界的な和ジャズ再評価の潮流においても、最高峰のマスターピースとして揺るぎない評価を確立している。
盤について
1976年発売の日本オリジナル盤(Kitty Records MKF 1004)。重厚な見開きゲートフォールド・ジャケット仕様で、表のアルバム名および裏のアーティスト名には特殊な銀箔押し(リフレクティブ・フォイル)が施されている。帯およびカラー写真入りブックレットが付属。
なお、USポリドール盤(Polydor PD-1-6097)とはA面の曲順が異なるほか、A3「Morning Mist ~ Steppin' With Lord」にはUS盤未収録の貴重なショート・イントロが含まれており、日本オリジナル盤ならではの魅力的な仕様となっている。
トラックリスト
- A1 Rising Sun 4:05
- A2 Cat 7:18
- A3 Morning Mist ~ Steppin With Lord 9:30
- B1 Red Shoes 3:04
- B2 Precious One 6:40
- B3 Sweet Pea & Collard Greens 7:12