The Moody Blues - Seventh Sojourn (1972)
The Moody Blues『Seventh Sojourn』――クラシック期を締めくくる1972年作
The Moody Bluesは、1964年にバーミンガムで結成された英国ロック・グループだ。フルート、メロトロン、オーケストラ的な音像を前面に出した作風で知られ、60年代後半から70年代前半にかけて独自の位置を築いた。本作『Seventh Sojourn』は1972年発表の8作目のスタジオ・アルバムで、いわゆる“クラシック期”の最後を飾る重要作になる。
日本盤は1973年リリース。Thresholdレーベルからの国内盤で、OBIと小型ブックレット付きの仕様。オリジナルの発売から少し後に出た日本盤として、当時の英米盤とはパッケージ面で差がある。Thresholdはメンバー主導で立ち上げられたレーベルで、ムーディー・ブルース自身の作品を軸に展開した点も、この時代のバンドの自立性を示している。
アルバムの位置づけ
『Seventh Sojourn』は、商業面でも強い結果を残した作品だ。UKアルバム・チャートでは最高5位、米Billboardではバンド初の全米1位を記録し、5週間その座を保った。「Isn’t Life Strange」と「I’m Just a Singer (In a Rock and Roll Band)」の2曲がシングルとしても広く知られている。
ただ、内容はヒット作らしい派手さだけで押し切るものではない。前作までの神秘性や幻想性を引き継ぎながら、ここでは疲労感、内省、区切りの気配が前に出る。バンドの長い活動の一段落を、そのまま音にしたような印象が残る。
制作とサウンド
制作は順調とは言いにくい。最初はマイク・ピンダーの自宅ガレージのスタジオで始まり、その後ロンドンのデッカ・スタジオへ移ったが、長いセッションの末に初期の作業の多くが破棄されたとされる。そのため、完成版は緻密に整えられていながら、どこか張りつめた空気を持つ。
このアルバムで目立つのが、ピンダーのメロトロンに加えてチェンバリンが使われている点だ。ストリングスやブラスの質感が、従来よりも少し生々しく、厚みのある鳴り方になる。ムーディー・ブルースの特徴であるシンフォニックな音作りが、より立体的に感じられる一枚だ。
また、ジャスティン・ヘイワードのギターとヴォーカル、ジョン・ロッジのベースとヴォーカル、レイ・トーマスのフルートやハーモニカ、グレアム・エッジのドラムが、それぞれ前に出る場面が明確だ。パート同士の役割分担がはっきりしていて、曲ごとの輪郭もつかみやすい。
代表曲「Isn’t Life Strange」「I’m Just a Singer (In a Rock and Roll Band)」
「Isn’t Life Strange」は、ムーディー・ブルースらしいメロディの流れと、厚い鍵盤の響きが印象に残る曲だ。シングルとしても成功しており、本作の中でも特に知られた1曲になる。
「I’m Just a Singer (In a Rock and Roll Band)」は、アルバムの中でややロック寄りの手触りを持つナンバーだ。大きく構えた演奏と、反復するフレーズの押し出しが強い。バンドの持つ叙情性だけでなく、ロック・バンドとしての骨格も見せる曲として機能している。
同時代の文脈
この時期の英国ロックでは、長尺曲、鍵盤主体のアレンジ、アルバム単位の構成が重要な要素になっていた。ムーディー・ブルースは、その流れの中でも早い段階から独自の形を作ってきたバンドで、King CrimsonやYes、Genesisと並べて語られることもある。ただ、彼らの音はより歌心が前に出ていて、メロディの流れを保ちながら大きな音像を組み立てる点に特徴がある。
『Seventh Sojourn』は、そうしたバンドの蓄積が一度まとまった作品でもある。壮大さを狙いながら、同時に個々の曲は比較的明快で、聴き進めるうちにアルバム全体の流れが見えてくる構成だ。
まとめ
『Seventh Sojourn』は、The Moody Bluesのクラシック期を閉じる作品として位置づけられる。英米での高い評価、ヒット曲の存在、そして制作の紆余曲折が重なり、単なる人気作以上の意味を持つ。メロトロン主体の音作り、内省的な空気、ロック色の強い表情が同居した一枚で、バンドの到達点と区切りの両方が見えるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Lost In A Lost World 4:42
- A2 New Horizons 5:11
- A3 For My Lady 3:58
- A4 Isn't Life Strange 6:09
- B1 You And Me 4:21
- B2 The Land Of Make-Believe 4:52
- B3 When You're A Free Man 6:06
- B4 I'm Just A Singer (In A Rock And Roll Band) 4:18